税理士試験の合格率は「約20%」と紹介されることが多いのですが、この数字だけで難易度を測ると実態を見誤ります。
この試験には性質の違う合格率が3種類あり、令和7年度でいうと21.6%、17.8%、1.5%という開きがあります。
さらに科目別の合格率は年によって激しく動き、財務諸表論は令和6年度の8.0%から令和7年度は31.9%へ4倍近く跳ね上がりました。
この記事では、国税庁が公表している試験結果表から難易度の実態を確認します。
編集部のアドバイス

税理士試験は1年で5科目そろえる試験ではなく、合格した科目が一生有効な「科目合格制」です。そのため一般的な資格試験の合格率と同じ感覚で見ると数字が噛み合いません。自分が受ける科目の合格率を1つずつ見るのが正しい読み方で、全体の合格率は参考になりません。
税理士試験の合格率は3種類ある

令和7年度(第75回)の結果を、3つの定義で並べたものです。
| 定義 | 計算 | 令和7年度 |
|---|---|---|
| 合格者数合計/受験者数(実人員) | 7,847人÷36,320人 | 21.6% |
| 科目別の合格率(延人員) | 9,280人÷52,236人 | 17.8% |
| 5科目到達者/受験者数(実人員) | 527人÷36,320人 | 1.5% |
← 横にスクロールできます →
いちばん上の21.6%が「税理士試験の合格率」として最も多く引用される数字です。
ただしこの分子7,847人には、5科目に到達した527人だけでなく、1科目でも合格した7,320人が含まれています。
つまり「今年1科目受かった人」も合格者に数えた数字です。
いちばん下の1.5%が、その年に5科目そろった人の割合です。
斉藤さやか「合格率20%なら宅建と同じくらい」と考えると危険です。5科目そろえる割合で見れば1.5%で、ここが税理士試験が難関と言われる理由です。ただし1年で決める試験ではないので、1.5%という数字に怯える必要もありません。
令和6年度との比較
| 項目 | 令和6年度(第74回) | 令和7年度(第75回) |
|---|---|---|
| 受験申込者数 | 43,919人 | 45,517人 |
| 受験者数(実人員) | 34,757人 | 36,320人 |
| 受験率 | 79.1% | 79.8% |
| 延受験者数 | 49,676人 | 52,236人 |
| 5科目到達者数 | 578人 | 527人 |
| 一部科目合格者数 | 5,184人 | 7,320人 |
| 合格者数合計 | 5,762人 | 7,847人 |
| 合格率 | 16.6% | 21.6% |
← 横にスクロールできます →
合格率は16.6%から21.6%へ5ポイント上がりました。
ただし増えたのは一部科目合格者(5,184人→7,320人)で、5科目到達者は578人から527人へ減っています。
受験者数は34,757人から36,320人へ増加しました。
科目別の合格率は年によって大きく動く

ここが税理士試験でいちばん注意が必要なところです。
| 科目 | 令和7年度 受験者 | 令和7年度 合格者 | 令和7年度 合格率 | 令和6年度 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 簿記論 | 18,466人 | 2,058人 | 11.1% | 17.4% |
| 財務諸表論 | 15,629人 | 4,980人 | 31.9% | 8.0% |
| 所得税法 | 1,120人 | 146人 | 13.0% | 12.6% |
| 法人税法 | 3,606人 | 488人 | 13.5% | 16.4% |
| 相続税法 | 2,413人 | 333人 | 13.8% | 18.7% |
| 消費税法 | 7,064人 | 712人 | 10.1% | 10.3% |
| 酒税法 | 590人 | 72人 | 12.2% | 12.1% |
| 国税徴収法 | 1,671人 | 231人 | 13.8% | 13.0% |
| 住民税 | 439人 | 78人 | 17.8% | 18.2% |
| 事業税 | 310人 | 38人 | 12.3% | 13.7% |
| 固定資産税 | 928人 | 144人 | 15.5% | 18.0% |
| 合計 | 52,236人 | 9,280人 | 17.8% | 13.5% |
← 横にスクロールできます →
注目すべきは財務諸表論です。
令和6年度は8.0%でしたが、令和7年度は31.9%になりました。
同じ科目で1年のうちに4倍近く動いています。
逆に簿記論は17.4%から11.1%へ下がりました。
会計科目の2つが正反対に動いた年だった、ということです。
「例年◯%」という目安が通用しない
科目別合格率の振れ幅を整理すると次のようになります。
| 科目 | 2年間の変動幅 |
|---|---|
| 財務諸表論 | 8.0% → 31.9%(23.9ポイント上昇) |
| 簿記論 | 17.4% → 11.1%(6.3ポイント低下) |
| 相続税法 | 18.7% → 13.8%(4.9ポイント低下) |
| 法人税法 | 16.4% → 13.5%(2.9ポイント低下) |
| 消費税法 | 10.3% → 10.1%(ほぼ横ばい) |
← 横にスクロールできます →
税法科目は10〜18%台に収まっていますが、会計科目は大きく動きます。
科目を選ぶときに前年の合格率だけを見るのは危険だということです。
なお受験者数が最も多いのは簿記論の18,466人、最も少ないのは事業税の310人でした。
科目合格制なので、1年あたりに置ける科目数が結果を左右します。
科目単位で受講できる講座は税理士講座の科目別料金にまとめています。
年齢が上がるほど合格率は下がる

令和7年度の年齢別の結果です。
| 年齢 | 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 20歳以下 | 1,742人 | 617人 | 35.4% |
| 21〜25歳 | 6,752人 | 1,987人 | 29.4% |
| 26〜30歳 | 6,420人 | 1,638人 | 25.5% |
| 31〜35歳 | 5,100人 | 1,266人 | 24.8% |
| 36〜40歳 | 4,674人 | 1,000人 | 21.4% |
| 41歳以上 | 11,632人 | 1,339人 | 11.5% |
← 横にスクロールできます →
20歳以下の35.4%に対し、41歳以上は11.5%です。
3倍の開きがあります。
ただし41歳以上は受験者が11,632人と最も多く、全受験者の32.0%を占めています。
働きながら長期戦で挑む層が厚いため、1年あたりの合格率は下がりやすい構造です。
学歴別では高校卒が大学卒を上回っている
学歴別の結果は、直感に反する並びになります。
| 学歴 | 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| その他 | 693人 | 257人 | 37.1% |
| 大学在学中 | 2,811人 | 896人 | 31.9% |
| 高校・旧中卒 | 3,179人 | 786人 | 24.7% |
| 大学卒 | 25,893人 | 5,377人 | 20.8% |
| 専門学校卒 | 3,049人 | 448人 | 14.7% |
| 短大・旧専卒 | 695人 | 83人 | 11.9% |
← 横にスクロールできます →
高校・旧中卒の24.7%が、大学卒の20.8%を上回っています。
令和5年度から会計科目の受験資格が撤廃され、学歴を問わず受験できるようになった影響が出ていると読めます。
学歴が合否を決める試験ではない、ということです。
斉藤さやかこの表は「学歴が低くても受かる」という話というより、受験資格が緩和されて若い層や大学在学中の人が会計科目に入ってきた結果だと見るのが正確だと思います。
女性の受験者は全体の28.7%
令和7年度の女性の内訳です。
| 項目 | 全体 | 女性 | 女性の割合 |
|---|---|---|---|
| 受験者数 | 36,320人 | 10,439人 | 28.7% |
| 5科目到達者数 | 527人 | 141人 | 26.8% |
| 一部科目合格者数 | 7,320人 | 2,113人 | 28.9% |
| 合格者数合計 | 7,847人 | 2,254人 | 28.7% |
← 横にスクロールできます →
受験者に占める女性の割合が28.7%、合格者に占める割合も28.7%で一致しています。
合格しやすさに男女差は見られません。
令和8年度から全受験者に得点が通知される
難易度を測るうえで大きな変更があります。
これまで税理士試験では、5科目合格者には合格証書、一部科目合格者には合格した旨のみを記載した結果通知書が送られ、得点は通知されていませんでした。
得点が通知されるのは、合格点に達しなかった科目がある人だけでした。
令和8年度(第76回)からは、5科目合格者と一部科目合格者にも新たに得点が通知されます。
これにより、令和8年度以降は全ての受験者が各受験科目の得点を確認できるようになります。
国税審議会は、一部科目合格者等から得点通知を求める要望が高まっていることを踏まえた受験者サービスの向上と説明しています。
合格した科目が何点だったのかが分かるため、次の科目の目標設定がしやすくなります。
税理士試験の難易度に関するよくある質問
税理士試験の合格率は何%ですか?
令和7年度(第75回)は21.6%でした。
ただしこれは1科目でも合格した人を含む数字で、5科目に到達した人の割合は527人÷36,320人で1.5%です。
一番難しい科目はどれですか?
令和7年度の合格率が最も低かったのは消費税法の10.1%、次いで簿記論の11.1%でした。
ただし科目別合格率は年によって大きく動くため、単年の数字で判断することはできません。
財務諸表論の合格率はなぜ変動したのですか?
令和6年度8.0%から令和7年度31.9%へ変わった理由は公表されていません。
公表されているのは受験者数と合格者数の実績のみです。
数字の解釈については出典元をご確認ください。
何年で合格できますか?
期間を示した公的データはありません。
合格した科目は生涯有効な科目合格制で、令和7年度に5科目へ到達した人は527人でした。
40代からでも合格できますか?
できます。
令和7年度は41歳以上の受験者が11,632人で全体の32.0%を占め、1,339人が合格しています。
ただし合格率は11.5%で他の年代より低い水準です。
学歴は合否に影響しますか?
令和7年度は高校・旧中卒の合格率24.7%が大学卒の20.8%を上回りました。
令和5年度から会計科目の受験資格が撤廃されており、学歴が合否を決める試験ではありません。
まとめ|見るべきは自分が受ける科目の合格率
- 税理士試験の合格率は定義が3種類あり、令和7年度は21.6%/17.8%/1.5%
- よく引用される21.6%は1科目合格者を含む数字
- 5科目に到達したのは527人で受験者の1.5%
- 科目別合格率は年によって大きく動き、財務諸表論は8.0%→31.9%
- 税法科目は10〜18%台で比較的安定している
- 年齢別では20歳以下35.4%に対し41歳以上11.5%
- 令和8年度から全受験者に各科目の得点が通知される
科目ごとの難易度が分かったら、次は受験できるかどうかの確認です。
税理士試験の受験資格で会計科目と税法科目の違いを確認できます。
日程は税理士試験の日程と受験手数料にまとめています。
講座で対策する場合は税理士通信講座おすすめ8選で比較してください。


コメント