税理士試験の受験資格は、令和5年度(第73回)から緩和されています。
簿記論と財務諸表論の2科目は受験資格の制限がなくなり、誰でも受験できるようになりました。
一方で税法に属する科目は、学識・資格・職歴の3分野のうちいずれか1つを満たす必要があります。
この記事では、国税庁が公表している受験資格の要件を分野ごとに整理します。
編集部のアドバイス

「大学は出ているけれど法学部でも経済学部でもないから受験資格がない」と思い込んでいる方が多いのですが、令和5年度の改正で対象科目の範囲が大きく広がりました。心理学や統計学、教育学、社会学でも該当します。しかも教養科目・共通科目として履修したものでも対象です。まず自分の卒業証明書と成績証明書を確認してみてください。
会計科目は誰でも受験できる

令和5年度(第73回)税理士試験から、会計学に属する科目の受験資格の制限がなくなりました。
| 科目区分 | 該当科目 | 受験資格 |
|---|---|---|
| 会計学に属する科目 | 簿記論、財務諸表論 | 制限なし(どなたでも受験可能) |
| 税法に属する科目 | 所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税 | 学識・資格・職歴のいずれか1つ |
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会計学に属する科目のみを受験申込みする場合は、証明書類等の提出も必要ありません。
つまり高校卒業でも、簿記の資格がなくても、簿記論と財務諸表論から始められるということです。
実際、令和7年度は簿記論に18,466人、財務諸表論に15,629人が受験しており、11科目のなかで突出して多くなっています。
斉藤さやか受験資格を気にして足踏みしている方は、まず会計2科目から入るという道があります。この2科目は税理士試験の必須科目でもあるので、遠回りにはなりません。
税法科目の受験資格は3分野

税法に属する科目は、次の3つの分野のいずれか1つを満たせば受験できます。
学識による受験資格
| 要件 |
|---|
| 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 |
| 大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者 |
| 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 |
| 司法試験合格者 |
| 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限る) |
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「一定の専修学校の専門課程」とは、修業年限が2年以上で、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間以上のものを指します。
資格による受験資格
| 要件 |
|---|
| 日商簿記検定1級合格者(日本商工会議所主催) |
| 全経簿記検定上級合格者(全国経理教育協会主催・昭和58年度以降の合格者に限る) |
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日商簿記は2級ではなく1級である点に注意が必要です。
職歴による受験資格
| 要件 |
|---|
| 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者 |
| 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者 |
| 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者 |
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「会計に関する事務」とは、複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等をいいます。
重要なのは通算できる点です。
異なる勤務先等の職歴は、通算して2年以上となれば受験資格があります。
1社で2年続ける必要はない、ということです。
「社会科学に属する科目」の範囲は広い

令和5年度の改正でいちばん大きく変わったのがここです。
改正前は「法律学又は経済学」に属する科目に限られていましたが、「社会科学に属する科目」へ拡充されました。
| 区分 | 該当する科目の例 |
|---|---|
| 旧「法律学に属する科目」 | 法学、法律概論、日本国憲法、民法、刑法、商法、行政法、労働法、国際法等 |
| 旧「経済学に属する科目」 | (マクロ又はミクロ)経済学、経営学、経済原論、経済政策、経済学史、財政学、国際経済論、金融論、貿易論、会計学、簿記学、商品学、農業経済、工業経済等 |
| 改正で追加された範囲 | 社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等 |
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国税庁は、文系学部・理系学部を問わず多くの学生に履修の機会があると考えられる科目として、これらを挙げています。
さらに、その科目が「専門科目」ではなく、いわゆる「教養科目」や「共通科目」として位置づけられている場合であっても対象になります。
理系学部を卒業した方でも、1・2年次の教養課程で統計学や心理学を履修していれば該当する可能性があります。
斉藤さやかここは実際に成績証明書を取り寄せて確認する価値があります。「自分は対象外」と思い込んでいた方が、教養科目1つで条件を満たしていたというケースは珍しくありません。
国税審議会の個別認定を受けられる場合もある
上記に当てはまらなくても、あらかじめ国税審議会の個別認定を受けることで受験資格が認められる場合があります。
| 対象 |
|---|
| 海外の大学を社会科学に属する科目を履修した上で卒業した者について、日本の大学等の卒業者と同等であると認められる場合 |
| 商工会・青色申告会における記帳指導事務に2年以上従事した者 |
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これらは事前の認定手続きが必要です。
なお国税庁は「上記は受験資格のうち主なもの」としており、その他の受験資格についてはQ&Aで確認するよう案内しています。
会計科目は誰でも受けられるので、受験資格の確認が済めば次は対策です。
簿記論・財務諸表論から始める講座は会計科目から学べる税理士講座にあります。
受験申込みでは証明書類の提出が必要
受験資格を有することを証する書面は、受験申込みの際に受験願書とともに提出します。
| 受験する科目 | 証明書類 |
|---|---|
| 会計学に属する科目のみ | 不要 |
| 税法に属する科目を含む | 必要 |
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具体的な証明書類は、学識・資格・職歴のどれで申請するかによって変わります。
卒業証明書や成績証明書は発行に時間がかかることがあるため、申込期間の前に手配しておくと安全です。
令和8年度の受験申込受付期間は令和8年4月20日から5月8日までで、約3週間しかありません。
受験資格の緩和で受験者はどう変わったか
令和5年度の緩和後、学歴別の合格率に変化が表れています。
| 学歴 | 令和7年度 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 大学卒 | 25,893人 | 5,377人 | 20.8% |
| 大学在学中 | 2,811人 | 896人 | 31.9% |
| 高校・旧中卒 | 3,179人 | 786人 | 24.7% |
| 専門学校卒 | 3,049人 | 448人 | 14.7% |
| 短大・旧専卒 | 695人 | 83人 | 11.9% |
| その他 | 693人 | 257人 | 37.1% |
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大学在学中が31.9%、高校・旧中卒が24.7%で、いずれも大学卒の20.8%を上回っています。
会計科目の受験資格が撤廃されたことで、これらの層が会計2科目に参入した影響と読めます。
受験者数全体も令和6年度の34,757人から令和7年度は36,320人へ増えました。
税理士試験の受験資格に関するよくある質問
税理士試験は誰でも受けられますか?
簿記論と財務諸表論の2科目(会計学に属する科目)は、令和5年度から受験資格の制限がなくなり誰でも受験できます。
税法に属する科目は、学識・資格・職歴のいずれか1つを満たす必要があります。
高卒でも受験できますか?
会計学に属する科目は受験できます。
税法科目については、日商簿記1級や全経簿記上級の合格、または会計事務等に2年以上従事することで受験資格を満たせます。
どの学部を出ていれば受験資格がありますか?
学部の指定はありません。
大学・短大・高専を卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修していれば該当します。
社会学・政治学・心理学・統計学・教育学なども対象で、教養科目や共通科目でも構いません。
日商簿記2級では受験資格になりますか?
なりません。
資格による受験資格として認められるのは日商簿記検定1級と、全経簿記検定上級(昭和58年度以降の合格者)です。
職歴は同じ会社で2年必要ですか?
必要ありません。
異なる勤務先等の職歴は、通算して2年以上となれば受験資格があります。
大学3年生でも受験できますか?
社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得していれば受験できます。
令和7年度は大学在学中の受験者が2,811人おり、合格率は31.9%でした。
まとめ|まず会計2科目から始められる
- 令和5年度(第73回)から受験資格が緩和された
- 簿記論・財務諸表論は制限なしで、証明書類の提出も不要
- 税法科目は学識・資格・職歴の3分野のいずれか1つを満たす
- 「社会科学に属する科目」は心理学・統計学・教育学等まで含み、教養科目でも可
- 資格ルートは日商簿記1級または全経簿記上級(2級は対象外)
- 職歴ルートは異なる勤務先の通算で2年以上あればよい
- 海外大学卒や記帳指導事務は国税審議会の個別認定で認められる場合がある
受験できることが分かったら、次は日程の確認です。
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科目ごとの難しさは税理士試験の難易度にまとめています。
資格取得までの全体像は税理士になるにはをご覧ください。


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