MENU

司法書士と行政書士の違いは?独占業務・試験・なり方を条文で比較

司法書士と行政書士の違い。司法書士は法務局・裁判所、行政書士は官公署への書類を扱う
  • URLをコピーしました!

司法書士と行政書士の違いは、扱う書類の提出先で分かれます。

司法書士は法務局への登記、行政書士は官公署に提出する書類の作成が中心です。

そしてもう一つ大きな差があります。

行政書士は弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を持つ人に自動的に与えられますが、司法書士にそうした付与はありません。

この記事では、両者の違いを条文と公的な試験データで整理します。

編集部のアドバイス

斉藤さやか
斉藤さやか

「どちらを取るか」で迷っているなら、まず行政書士から入るという順番が現実的です。行政書士は試験が年1回で範囲も司法書士より狭く、司法書士は合格率5.2%で3つの足切りがある試験です。実際ダブルライセンスとして両方を持つ人もいますが、同時並行はおすすめしません。

目次

本コンテンツは、当サイト(ママキャン資格部)の制作ガイドラインに基づく編集プロセスを経て作成しています。 >>コンテンツ制作ガイドライン

独占業務が違う

根拠法と中心業務の違い

それぞれの法律が業務を定めています。

項目司法書士行政書士
根拠法司法書士法(昭和25年法律第197号)行政書士法(昭和26年法律第4号)
中心業務登記又は供託に関する手続の代理官公署に提出する書類の作成
主な提出先法務局・地方法務局、裁判所、検察庁官公署(許認可を扱う役所)
業務の条文第3条第1条の3・第1条の4

← 横にスクロールできます →

司法書士法第3条は、司法書士が行う事務を次のように定めています。

号業務
一登記又は供託に関する手続について代理すること
二法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること
三法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること
四裁判所若しくは検察庁に提出する書類、筆界特定の手続において法務局等に提出する書類を作成すること
五前各号の事務について相談に応ずること
六簡易裁判所における一定の手続について代理すること

← 横にスクロールできます →

一方、行政書士法第1条の3は、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とすると定めています。

加えて第1条の4で、書類の提出手続の代理、契約書類の代理作成、書類作成の相談を業とできるとされています。

行政書士の不服申立て代理は「特定行政書士」限定

行政書士法第1条の4第1項第2号は、許認可等に関する審査請求など行政庁に対する不服申立ての手続の代理を定めています。

ただしこの業務は誰でもできるわけではありません。

日本行政書士会連合会が会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(特定行政書士)に限り行えると、同条第2項に定められています。

行政書士の資格を取っただけでは、この代理業務はできないということです。

斉藤さやか斉藤さやか

「行政書士は書類を作るだけ」と説明されることがありますが、提出手続の代理までは第1条の4で認められています。ただし不服申立ての代理は研修を修了した特定行政書士に限られます。ここは押さえておくと違いが立体的に見えてきます。

司法書士は簡易裁判所の訴訟代理ができる

司法書士法第3条第1項第6号は、簡易裁判所における手続の代理を認めています。

対象となるのは、訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないものです。

同号のただし書きで、上訴の提起、再審、強制執行に関する事項については代理できないとされています。

この点が行政書士との大きな違いです。

行政書士には裁判手続の代理権がありません。

資格の取り方が根本的に違う

資格が与えられるルートの違い

ここが実は最も差が出る部分です。

項目司法書士行政書士
資格の付与司法書士試験の合格者/裁判所事務官等として通算10年以上+法務大臣の認定行政書士試験の合格者/弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者/公務員として行政事務20年(高卒17年)
他資格からの自動付与なしあり(弁護士・弁理士・公認会計士・税理士)
根拠司法書士法第4条行政書士法第2条

← 横にスクロールできます →

行政書士は、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を持つ人に自動的に与えられます。

公務員として行政事務を通算20年(高等学校卒業者等は17年)担当した人も対象です。

一方の司法書士は、試験に合格するか、裁判所事務官・裁判所書記官・法務事務官・検察事務官として通算10年以上従事したうえで法務大臣の認定を受けるかの2つだけです。

他資格を持っていても司法書士にはなれません。

どちらを目指すか決まったら、次は対策の手段を選ぶ番です。

司法書士側の講座は司法書士の通信講座を比較するにまとめています。

試験の難易度を数字で比べる

令和7年度 司法書士試験の実績

司法書士試験の直近の実績です。

項目令和7年度 司法書士試験
受験者数14,418人
合格者数751人
合格率5.2%
筆記試験合格点350点中255.0点以上
基準点(足切り)午前105点中78点/午後多肢択一105点中72点/記述式140点中70.0点
試験の方法筆記及び口述(口述は筆記合格者について行う)

← 横にスクロールできます →

司法書士試験は筆記と口述の2段階で、筆記には3つの基準点があります。

いずれか1つでも下回ると、総合点が足りていてもそれだけで不合格です。

行政書士試験は総務大臣が定めるところにより、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について毎年1回以上行われ、施行に関する事務は都道府県知事が行うと定められています。

試験の実施主体そのものが違い、司法書士試験は法務大臣が行います。

司法書士試験の科目は憲法・民法・商法・刑法が入る

司法書士法第6条第2項が定める出題事項です。

  • 憲法、民法、商法及び刑法に関する知識
  • 登記、供託及び訴訟に関する知識
  • その他、司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力

刑法まで含む点と、登記・供託・訴訟という実務直結の分野が入る点が特徴です。

どちらも名称と業務が法律で守られている

両方に無資格者を排除する規定があります。

項目司法書士行政書士
業務の制限司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者は、第3条第1項第1号から第5号の業務を行ってはならない(第73条第1項)行政書士または行政書士法人でない者は、報酬を得て業として第1条の3の業務を行うことができない(第19条第1項)
名称の制限司法書士でない者は司法書士またはこれに紛らわしい名称を用いてはならない(第73条第3項)行政書士でない者は行政書士またはこれと紛らわしい名称を用いてはならない(第19条の2第1項)
罰則業務の制限違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第78条第1項)第19条第1項違反に罰則あり(第21条の2)

← 横にスクロールできます →

司法書士の業務制限は「司法書士会に入会している」ことまで要件にしている点が細かい違いです。

会員数から見る規模

司法書士の登録者数です。

項目人数
全国の会員数23,505人
うち男性18,689人(約80%)
うち女性4,816人(約20%)

← 横にスクロールできます →

司法書士は全国で23,505人です。

令和7年度の合格者は751人でしたので、単純計算で会員数の3.2%にあたる人数が毎年加わっている規模感になります。

なお令和7年度の合格者の男女比は男70.3%・女29.7%で、会員全体の80%対20%より女性の比率が高くなっています。

新しく入る層では女性比率が上がっている、と読めます。

司法書士と行政書士の違いに関するよくある質問

司法書士と行政書士はどちらが難しいですか?

司法書士試験は令和7年度の合格率が5.2%で、筆記に3つの基準点(足切り)があり、筆記合格後に口述試験もあります。

試験の実施主体も異なり、司法書士試験は法務大臣、行政書士試験は総務大臣が定めるところにより実施されます。

行政書士ができて司法書士ができないことは何ですか?

行政書士は官公署に提出する書類の作成を業とします(行政書士法第1条の3)。

司法書士の業務は司法書士法第3条に列挙されたもので、登記・供託、法務局や裁判所・検察庁に提出する書類などが中心です。

司法書士は裁判の代理ができますか?

簡易裁判所における一定の手続について代理できます(司法書士法第3条第1項第6号)。

訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないものが対象で、上訴の提起・再審・強制執行に関する事項は除かれます。

税理士や会計士は行政書士になれますか?

なれます。

行政書士法第2条は、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者に行政書士となる資格を認めています。

司法書士にはこうした規定はありません。

行政書士なら不服申立ての代理ができますか?

日本行政書士会連合会の研修課程を修了した特定行政書士に限られます(行政書士法第1条の4第2項)。

資格を取っただけでは行えません。

両方取る意味はありますか?

業務範囲が重ならないため、扱える仕事の幅は広がります。

ただし司法書士試験は合格率5.2%で3つの足切りがあるため、同時並行ではなく順番に取り組むのが現実的です。

まとめ|提出先と資格の付与ルートで分かれる

  • 司法書士は登記・供託と法務局/裁判所への書類、行政書士は官公署への書類
  • 司法書士は簡易裁判所の一定の手続を代理できるが、行政書士に裁判代理権はない
  • 行政書士の不服申立て代理は研修を修了した特定行政書士に限られる
  • 行政書士は弁護士・弁理士・公認会計士・税理士に自動付与されるが、司法書士にはない
  • 司法書士になるのは試験合格か、裁判所事務官等10年以上+法務大臣の認定の2つだけ
  • 令和7年度の司法書士試験は合格率5.2%で、筆記に3つの基準点がある
  • 司法書士の会員数は23,505人(2026年4月1日現在)

方向が決まったら、必要な条件の確認です。

司法書士になるにはで資格取得から登録までの流れを確認できます。

難易度の詳細は司法書士試験の難易度にまとめています。

講座で対策する場合は司法書士の通信講座おすすめ12選で比較してください。

出典一覧

この記事を書いた人

斉藤さやかのアバター 斉藤さやか Mamcamp代表・講師

強みも特技もない一人の主婦から、公式LINE/Instagram/YouTubeなどの運用・監修を1,200件以上経験し、時間と場所に縛られない働き方を実現。

現在はマーケティングコンサルタントとしても活動しながら、これまでに累計900名以上(のべ1,000名近く)の主婦の働き方をサポート。ママキャンでは「強みのない主婦でも、自分に合う仕事は必ず見つかる」という前提で、一人ひとりに合わせた個別サポートに邁進しています。

コメント

コメントする

目次