司法書士試験に必要な勉強時間について、法務省が示した公的な目安はありません。
流通している「3,000時間」などの数字は、資格スクールや合格者の経験則です。
そのかわり、公表データから計画は逆算できます。
この試験は総合点とは別に3つの基準点があり、どれか1つでも下回るとそれだけで不合格になります。
つまり「捨て科目」を作れない試験です。
この記事では、公的データから学習設計の考え方を整理します。
編集部のアドバイス

司法書士試験で時間の見積もりを誤る典型が「得意分野で稼げば足りる」という発想です。午前・午後・記述式にそれぞれ基準点があるので、1つでも手を抜くとそこで終わります。総学習時間を気にするより、3つの区分に時間をどう配分するかを先に決めるほうが実務的です。
公的な標準勉強時間は示されていない
法務省は試験の日程・出題事項・基準点を公表していますが、標準学習時間は示していません。
司法書士法第6条第2項が定める出題事項は次のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 憲法、民法、商法及び刑法に関する知識 |
| 2 | 登記、供託及び訴訟に関する知識 |
| 3 | その他、司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力 |
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四法に加えて登記・供託・訴訟という実務分野が入ります。
出発点によって必要時間が変わるため、次の点を先に確認したほうが実用的です。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 民法の学習経験があるか | 出題の中心で、他科目の土台にもなる |
| 宅建や行政書士の学習経験があるか | 民法と不動産登記で重なる部分がある |
| 記述式に触れたことがあるか | 択一とは別の訓練が必要な形式 |
| 1日に確保できる時間 | 7月の試験日から逆算できる |
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3つの基準点が学習配分を決める

この試験の構造上、時間配分は自動的に決まります。
令和7年度の基準点です。
| 区分 | 満点 | 基準点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 午前の部(多肢択一式問題) | 105点 | 78点 | 74.3% |
| 午後の部(多肢択一式問題) | 105点 | 72点 | 68.6% |
| 記述式問題 | 140点 | 70.0点 | 50.0% |
| 筆記試験合格点(総合) | 350点 | 255.0点以上 | 72.9% |
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※得点率は編集部が算出
法務省は、各成績のいずれかが基準点に達しない場合には、それだけで不合格になると明記しています。
記述式の基準点は満点の50.0%と他より低いものの、配点が140点と大きい点に注意が必要です。
総合255.0点を取るには、記述式で基準点ぎりぎりの70点だと択一で185点(210点満点の88.1%)が必要になります。
記述式を伸ばすほど択一の負担が軽くなる構造です。
斉藤さやか「択一で稼いで記述は基準点だけ通す」という戦略を取る方がいますが、計算するとかなり厳しくなります。記述式140点の配点は総合点の40%です。ここを捨てる設計は成り立ちません。
基準点は毎年動く
令和8年度は多肢択一式の基準点が上がりました。
| 区分 | 令和7年度 | 令和8年度 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 午前の部(多肢択一式問題) | 105点中78点 | 105点中84点 | +6点 |
| 午後の部(多肢択一式問題) | 105点中72点 | 105点中75点 | +3点 |
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令和8年度の午前84点は105点満点の80.0%です。
基準点は試験前に公表されず、受験後に発表されます。
前年の基準点を目標にすると、上振れした年に届かないということです。
試験時間から逆算する
当日の条件です。
| 区分 | 時間 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 午前の部 | 9:30〜11:30 | 2時間 |
| 午後の部 | 13:00〜16:00 | 3時間 |
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午後の部は3時間で、多肢択一式と記述式の両方を解きます。
択一にどれだけ時間を使い、記述式に何分残すかという時間配分そのものが対策項目になります。
午前は択一のみで2時間です。
なお法務省が公表する受験者数は「午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数」とされています。
独学で受験することはできる

受験形態に制限はありません。
司法書士法には受験資格に関する制限の定めがなく、年齢や学歴を問わず受験できます。
費用も受験手数料8,000円(収入印紙で納付)のみです。
ただし独学には条件面での制約があります。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 合格率 | 令和7年度は5.2%(受験14,418人・合格751人) |
| 基準点の事前公表 | なし(受験後に発表される) |
| 記述式の採点 | 自己採点が難しく、客観的な評価を得にくい |
| 出題範囲 | 憲法・民法・商法・刑法と登記・供託・訴訟 |
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とくに難しいのが記述式です。
択一式は正解が公表されるため自己採点できますが、記述式は配点の内訳が分からないため自分では測れません。
筆記試験の成績は希望者に通知される
独学者にとって有用な仕組みがあります。
令和7年度の例では、希望者に対して筆記試験の成績を通知することとされていました。
成績通知は筆記試験合格発表日以降、随時、筆記試験の際に住所・氏名を記入した封筒に成績通知を封入し、郵送で発送されます。
自分が各基準点にどれだけ届いていたのかが分かるため、次年度の配分を決める材料になります。
試験当日の封筒記入を忘れると届かないという点だけ注意が必要です。
出願者は増えているが合格者は751人

競争環境も見ておきます。
| 年度 | 出願者数 | 増減率 |
|---|---|---|
| 令和3年度 | 14,988人 | - |
| 令和4年度 | 15,693人 | +4.7% |
| 令和5年度 | 16,133人 | +2.8% |
| 令和6年度 | 16,837人 | +4.4% |
| 令和7年度 | 17,365人 | +3.1% |
| 令和8年度 | 17,862人 | +2.9% |
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5年連続で増加し、令和3年度から19.2%増えました。
一方で令和7年度の合格者は751人です。
受験者が増えても合格者を大きく増やしていないため、1年あたりの難度は緩んでいません。
また出願者17,365人に対し令和7年度の受験者は14,418人で、約17%が出願しても受験していません。
申請から試験まで約2か月ありますが、その間に仕上がらず欠席する人が一定数いると読めます。
基準点の存在が、独学と講座のどちらを選ぶかを分ける材料になります。
費用の相場は司法書士講座の料金比較で確認してから決めてください。
独学が向いている人・講座を検討したほうがいい人
判断の目安です。
| 独学が向いている | 講座を検討したほうがよい |
|---|---|
| 民法を体系的に学んだ経験がある | 法律科目にまったく触れたことがない |
| 宅建や行政書士に合格している | 記述式の答案の書き方が分からない |
| 複数年かけてよい | 期限を区切って仕上げたい |
| 自分で進度を管理できる | 基準点までの距離を客観的に測りたい |
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択一式は市販教材で対応しやすい一方、記述式は答案の書き方そのものを訓練する必要があります。
添削を受けられるかどうかが、独学と講座の実質的な差になりやすい部分です。
斉藤さやか択一だけなら独学でもかなりのところまで行けます。問題は記述式で、ここだけ講座や答案練習会を使うという組み合わせを選ぶ方も少なくありません。
合格者の年齢層は幅広い
学習期間の参考になるデータです。
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| 平均年齢 | 42.05歳 |
| 最低年齢 | 17歳(1人) |
| 最高年齢 | 74歳(1人) |
| 男女別 | 男528人(70.3%)/女223人(29.7%) |
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平均年齢42.05歳は、社会人が働きながら長期戦で取りに行っている実態を示しています。
17歳から74歳まで合格者が出ており、年齢で不利になる試験ではありません。
司法書士の勉強時間に関するよくある質問
司法書士試験の勉強時間はどのくらい必要ですか?
法務省が示した公的な標準学習時間はありません。
流通している数字は資格スクールや合格者の経験則です。
独学で合格できますか?
受験形態に制限はなく、独学で受験できます。
ただし令和7年度の合格率は5.2%で、記述式は自己採点が難しいという制約があります。
捨て科目を作ってもいいですか?
作れません。
午前の多肢択一式・午後の多肢択一式・記述式にそれぞれ基準点があり、いずれかを下回るとそれだけで不合格になります。
記述式はどれくらい重要ですか?
満点140点で、総合350点の40%を占めます。
令和7年度の記述式の基準点は70.0点(満点の50.0%)でしたが、ここを基準点ぎりぎりにすると択一で210点中185点が必要になります。
何点を目標にすればいいですか?
令和7年度の筆記試験合格点は350点中255.0点以上でした。
ただし基準点は毎年動き、令和8年度の午前は105点中84点(満点の80.0%)へ上がっています。
自分の点数は分かりますか?
希望者には筆記試験の成績が通知されます。
試験の際に住所・氏名を記入した封筒を提出しておく必要があります。
まとめ|総時間より3区分への配分を決める
- 公的な標準学習時間は示されておらず、流通する数字は経験則
- 午前78点・午後72点・記述式70.0点の3つの基準点があり、捨て科目は作れない
- 記述式は140点で総合の40%を占め、軽視できない配分
- 基準点は毎年動き、令和8年度の午前は84点(満点の80.0%)へ上昇
- 試験は午前2時間・午後3時間で、午後は択一と記述の時間配分も対策項目
- 独学は可能だが、記述式は自己採点が難しい
- 希望者には筆記試験の成績が通知される(当日の封筒記入が必要)
配分が決まったら、申請の日程を押さえてください。
司法書士試験の日程と受験手数料で年間スケジュールを確認できます。
合格ラインの詳細は司法書士試験の難易度にまとめています。
記述式の対策に不安がある方は司法書士の通信講座おすすめ12選で比較してください。


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