「需要のある資格ランキング」で検索すると、たくさんのランキングが出てきます。
ただ、その順位が何を根拠に決まっているのかを書いている記事は、ほとんどありません。
実際に上位の記事を調べたところ、「他社サイトで紹介されていた回数の多い順」だったり、「自社の講座申込数の順」だったりします。
とくに注意したいのが、通信講座会社の「人気ランキング」です。
あれは受講申込数の順であって、世の中でその資格が必要とされている順ではありません。
この記事では、厚生労働省が公開している職業別の有効求人倍率という公的データを使って、「実際に人手が足りていない資格」を順番に並べます。
数字はすべて出典つきです。
編集部のアドバイス

本記事は2026年7月時点の公的統計をもとに作成しました。今回データを並べてみて、正直おどろいたことがあります。多くの資格サイトが「需要がある」と推している社労士・行政書士・FPは、有効求人倍率で見ると1倍を下回っていました。逆に、ほとんど紹介されていない土木施工管理技士は16.30倍です。もちろん求人倍率だけがすべてではありませんが、まずは事実から見てください。
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需要のある資格ランキングは何を根拠にすべきか
「人気ランキング」の正体は受講申込数
通信講座会社が出している「人気資格ランキング」は、自社サイトからの受講申込数を集計したものです。
そのため、上位には趣味・実用系の講座が並ぶことがあります。
売れている講座と、社会が必要としている資格は、別の話です。
この記事は「職業別の有効求人倍率」で並べます
有効求人倍率とは、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示す数字です。
2倍なら1人につき2件の求人があり、1倍を下回ると求職者のほうが多い(=競争が厳しい)ことを意味します。
この記事では、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」が公開している職業別有効求人倍率(令和6年度)を根拠に使います。
ちなみに全職業の平均は1.17倍(令和8年5月・季節調整値)です(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」)。
有効求人倍率で測れないものもある
ただし、この指標には限界があります。
有効求人倍率はハローワークの求人をもとにした「雇われる仕事の需要」であり、独立・開業して稼ぐタイプの資格には当てはまりません。
行政書士や社労士の倍率が低いのは、そもそも「雇われずに開業する」人が多い資格だからです。
この点は記事の後半できちんと解説します。
斉藤さやか数字は万能ではありません。求人倍率が高い=あなたにとって良い資格、とは限らないからです。夜勤がある、体力が要る、転勤があるといった条件も、求人が多い理由の一部です。だからこの記事では「求人倍率」と「働きやすさ」の両方から見ていきます。数字はあくまで出発点として使ってください。
需要のある資格ランキング15選【有効求人倍率順】
職業別有効求人倍率(厚労省 job tag・令和6年度)の高い順に並べました。
| 順位 | 資格 | 有効求人倍率 | 受験資格 |
|---|---|---|---|
| 1 | 介護福祉士 | 28.85倍(訪問介護員) | 実務経験3年+研修等 |
| 2 | 土木施工管理技士 | 16.30倍 | 2級一次は17歳以上 |
| 3 | ケアマネジャー | 6.89倍 | 実務経験5年等 |
| 4 | 第二種電気工事士 | 3.80倍 | 不問 |
| 5 | 登録販売者 | 3.56倍 | 不問 |
| 6 | 保育士 | 3.16倍 | 学歴等の要件あり |
| 7 | 社会福祉士 | 3.09倍(施設介護員) | 養成課程等の要件あり |
| 8 | 電験三種 | 2.68倍(電気技術者) | 不問 |
| 9 | ITパスポート | 4.77倍(システムエンジニア) | 不問 |
| 10 | 宅地建物取引士 | 3.00倍(住宅・不動産営業) | 不問 |
| 11 | 第一種衛生管理者 | 1.97倍 | 実務経験必須 |
| 12 | 医療事務 | 1.61倍 | 不問 |
| 13 | 登録日本語教員 | 1.45倍 | 不問 |
| 14 | 日商簿記 | — | 不問 |
| 15 | 危険物取扱者 乙4 | — | 不問 |
1位:介護福祉士(訪問介護員28.85倍)
数字が突出しています。
訪問介護員の有効求人倍率は28.85倍で、求職者1人に対して約29件の求人がある計算です。
厚生労働省の推計では、介護職員は2022年度の215万人から、2040年度には約272万人が必要とされています(出典:厚生労働省)。
介護福祉士の試験は第38回(令和8年1月)の合格率が70.1%で、受験には実務経験3年と実務者研修などが必要です。
すぐには受けられませんが、無資格・未経験で働き始めて3年後に取る、というルートが用意されている資格です。
2位:土木施工管理技士(16.30倍)
ほとんどの資格サイトが紹介していない、隠れた最高倍率資格です。
土木施工管理技術者の有効求人倍率は16.30倍。
建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制(原則 月45時間・年360時間)が適用され、人手不足が加速しています(出典:厚生労働省)。
2級の第一次検定は「当該年度に17歳以上」であれば学歴・実務経験を問わず受験でき、令和7年度の合格率は49.7%でした(出典:全国建設研修センター)。
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3位:ケアマネジャー(6.89倍)
介護支援専門員として、ケアプランの作成を担う仕事です。
有効求人倍率は6.89倍。
受験には介護福祉士などとしての実務経験5年が必要で、介護のキャリアを積んだ先にある資格です。
体力仕事から事務・調整業務へ移りたい人にとって、長く働き続けるための現実的な出口になります。
4位:第二種電気工事士(3.80倍)
受験資格が一切なく、需要が確実にある——このバランスが最も良い資格です。
年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験でき、受験料は11,100円(ネット申込)。
令和7年度上期の合格率は学科57.7%・技能72.0%で、しっかり対策すれば十分に届きます(出典:電気技術者試験センター)。
経済産業省の資料では、第1種電気工事士は2020年代前半に約2万人が不足すると見込まれています。
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5位:登録販売者(3.56倍)
ドラッグストアなどで市販薬を販売できる国家資格です。
受験資格は不問で、学歴も実務経験も必要ありません。
令和6年度の全国合格率は46.7%(受験54,526人・合格25,459人/出典:厚生労働省)。
ただし合格率は都道府県で大きく差があり、北海道62.3%に対して沖縄県24.5%と開きがあるため、受験地選びも戦略になります。
資格手当がつく職場が多く、パート・時短の求人も豊富です。
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6位:保育士(3.16倍)
慢性的な人手不足が続く国家資格です。
受験手数料は12,700円(+事務手数料)。
受験資格には学歴要件があり、短大卒以上、または高卒+児童福祉施設での実務2年かつ2,880時間などのルートがあります。
年2回受験でき、合格した科目は3年間有効なので、働きながら少しずつ積み上げられるのが特徴です。
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7位:社会福祉士(施設介護員3.09倍)
福祉の相談援助を担う国家資格です。
第38回(令和8年2月)の合格率は60.7%(受験25,430人・合格15,438人)でした(出典:厚生労働省)。
受験には福祉系大学や養成施設の課程修了、あるいは実務4年などのルートが必要です。
介護の現場より、相談・支援の仕事に軸足を置きたい人に向いています。
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8位:電験三種(電気技術者2.68倍)
第三種電気主任技術者、通称「電験三種」。
ビルや工場の電気設備を保安監督する、選任義務のある国家資格です。
受験資格は不問ですが、令和7年度の合格率は13.0%(受験48,942人・合格6,365人)と難関です(出典:電気技術者試験センター)。
経済産業省の資料では、第3種電気主任技術者は2045年度に約3,900人が不足すると見込まれています。
難しいぶん、取得後の希少性が高い資格です。
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9位:ITパスポート(システムエンジニア4.77倍)
IT分野の需要は、国の推計でも裏付けられています。
経済産業省の調査では、IT人材は2030年に約45万人が不足すると見込まれています(中位シナリオ/出典:経済産業省)。
ITパスポートは受験料7,500円、令和7年度の合格率は48.6%(受験271,352人・合格132,012人)です。
ただし正直に書くと、IT人材の不足はエンジニア職の話であり、ITパスポートを取ればIT職に就けるわけではありません。
事務職としての基礎教養、あるいはIT分野へ進む第一歩として位置づけるのが現実的です。
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10位:宅地建物取引士(住宅・不動産営業3.00倍)
不動産取引の重要事項説明などを行える、独占業務のある国家資格です。
不動産業者には従業者5人に1人以上の設置義務があるため、需要が制度で担保されています。
受験料8,200円、受験資格は不問。
令和7年度の合格率は18.7%(受験245,462人・合格45,821人)でした(出典:不動産適正取引推進機構)。
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11位:第一種衛生管理者(1.97倍)
従業員50人以上の事業場に選任義務がある、必置の国家資格です。
令和7年度の合格率は46.8%(受験66,401人・合格31,046人/出典:安全衛生技術試験協会)。
受験には大卒後1年以上、高卒後3年以上などの実務経験が必要です。
今の職場で評価を上げたい人、社内でキャリアを広げたい人に向いた資格です。
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12位:医療事務(1.61倍)※制度変更に注意
ここは、他のサイトが書いていない重要な話をします。
医療事務は「女性におすすめの資格」として必ず紹介されますが、有効求人倍率は1.61倍で、介護(28.85倍)や建設(16.30倍)と比べると大幅に低い水準です。
そしてもう一つ。
医療事務の代表的な資格とされてきた「診療報酬請求事務能力認定試験」は、実施団体である公益財団法人日本医療保険事務協会が令和8年(2026年)3月31日をもって解散し、試験事業を終了しました(出典:日本医療保険事務協会)。
2025年12月14日に実施された第63回が最終回です。
医療事務という仕事がなくなるわけではなく、メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)など他の民間資格は継続していますが、「診療報酬請求事務能力認定試験を目指す」という選択肢はもう存在しません。
講座を申し込む前に、その講座がどの試験に対応しているかを必ず確認してください。
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斉藤さやか協会は試験終了の理由として、少子化による受験者数の減少と、レセプト業務の電子化による効率化を挙げています。つまり「医療事務の仕事そのものが、デジタル化で変わりつつある」ということです。医療事務を否定するつもりはありません。求人は今もあります。ただ、10年先まで見据えるなら、この変化は知ったうえで選んでほしいのです。
13位:登録日本語教員(日本語教師1.45倍)
2024年に始まったばかりの国家資格です。
受験資格は年齢・学歴・国籍を問いません。
令和7年度の合格率は全体で67.5%でしたが、これは経過措置による科目免除者を含んだ数字で、全試験を受験した人だけで見ると35.7%です(出典:文部科学省)。
「合格率67.5%だから簡単」と紹介している記事もありますが、実態は違います。
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14位:日商簿記
簿記に対応する職業分類がないため求人倍率は出せませんが、経理・会計の求人で歓迎要件として登場する頻度が非常に高い資格です。
受験料は3級3,300円・2級5,500円。
ネット試験の合格率は3級40.8%・2級32.9%(2025年4月〜2026年3月/出典:日本商工会議所)。
在宅の経理代行やフリーランスの記帳代行にもつながり、働き方の自由度がもっとも高い資格のひとつです。
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15位:危険物取扱者 乙種第4類
ガソリン・灯油などを扱える国家資格で、通称「乙4」。
受験料5,300円、受験資格は不問です。
令和6年度の合格率は31.7%(受験223,846人・合格71,023人/出典:消防試験研究センター)。
ガソリンスタンド・工場・タンクローリーなど、求人が全国にあるのが強みです。
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需要ランキング常連なのに、求人倍率が1倍を切る資格
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
多くの資格サイトが「需要がある」として上位に置いている資格を、有効求人倍率で見るとこうなります。
| 資格 | 有効求人倍率 | 意味 |
|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 0.89倍 | 求職者のほうが多い |
| ファイナンシャル・プランナー | 0.57倍 | 求職者のほうが多い |
| 行政書士 | 0.43倍 | 求職者のほうが多い |
| キャリアコンサルタント | 0.15倍 | 求職者のほうが大幅に多い |
ただし「雇われる需要」が低いだけ
誤解しないでいただきたいのですが、これは「取っても意味がない」という話ではありません。
有効求人倍率はハローワークの求人をもとにした数字なので、独立・開業して自分で仕事を取るタイプの資格は、そもそもこの指標で測れません。
行政書士も社労士も、開業して顧問契約を取っていく資格です。
求人が少ないのは、雇われる前提の資格ではないから、というのが正確な理解です。
「就職したい」のか「独立したい」のかで選ぶ資格は変わる
つまり、こういうことです。
雇われて安定して働きたいなら、求人倍率の高い資格(介護・電気・登録販売者・保育)を選ぶ。
自分で事務所を持ちたい、副業から始めたいなら、行政書士・社労士のような独立型を選ぶ。
「需要のある資格」を探す前に、自分がどちらを望んでいるかを決めることが先です。
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これから需要が伸びる4つの分野(公的推計)
介護:2040年度に約272万人が必要
介護職員は2022年度の215万人から、2026年度に約240万人、2040年度には約272万人が必要と推計されています。
今から18年間、需要が増え続けることが国の推計で示されている、数少ない分野です。
IT:2030年に約45万人不足
経済産業省の推計では、IT人材は2030年に約45万人が不足するとされています(中位シナリオ)。
ITパスポートはその入口として、事務職からIT寄りの職種へ移りたい人の足がかりになります。
建設・物流:2024年問題の影響
2024年4月から、建設業と自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用されました。
国土交通省の資料では、対策を講じない場合、2030年度には輸送能力が約34%(9億トン相当)不足すると試算されています(出典:国土交通省)。
施工管理技士の求人倍率が突出して高いのは、この構造が背景にあります。
電気保安:2045年度に約3,900人不足
経済産業省の電力安全小委員会の資料では、第3種電気主任技術者が2045年度に約3,900人不足すると見込まれています。
電気は社会インフラであり、AIに置き換えられにくい現場仕事です。
長期で見て、もっとも安定した需要が見込める分野のひとつといえます。
需要のある資格に関するよくある質問
いちばん需要のある資格は何ですか?
有効求人倍率で見るなら、介護分野(訪問介護員28.85倍)が圧倒的です。
ただし介護福祉士の受験には実務経験3年が必要なため、すぐに受けられる資格ではありません。
「受験資格なしで、今すぐ挑戦できて、需要も高い」という条件なら、第二種電気工事士(3.80倍)と登録販売者(3.56倍)が最有力です。
これから需要がなくなる資格はありますか?
「なくなる」と断定できる資格はありません。
ただ、事実として、診療報酬請求事務能力認定試験は2025年12月の第63回をもって終了し、実施団体も解散しました。
協会は理由として、受験者数の減少とレセプト業務の電子化を挙げています。
定型的な事務作業は、デジタル化の影響を受けやすいと考えておくのが現実的です。
需要がある=稼げる、ということですか?
いいえ、そうとは限りません。
有効求人倍率は「求人数÷求職者数」であって、収入を保証する数字ではありません。
求人が多いということは「採用されやすい」ということであり、就職のしやすさの指標として使ってください。
40代・50代でも需要のある資格は取れますか?
取れます。
第二種電気工事士・登録販売者・電験三種・危険物取扱者は、いずれも受験資格が不問で年齢制限もありません。
介護分野は年齢を問わず求人が豊富で、未経験からの入職も一般的です。
まとめ:需要のある資格は「求人倍率」で選ぶ
需要のある資格ランキングは、根拠を確かめてから読むものです。
「人気」は受講申込数、「需要」は求人倍率。
この2つはまったく別の数字です。
公的データで見る限り、人手が足りていないのは介護・建設・電気・登録販売者・保育の分野。
そのなかで「受験資格が不問で、今すぐ挑戦できる」のは、第二種電気工事士・登録販売者・電験三種・危険物取扱者です。
まずはこの4つから、自分の生活に収まるものを選んでみてください。


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