「ITパスポートは意味ない」という声は、IT業界での評価を基準にしたときに出てきます。
ただしIPAが公表している応募者の内訳を見ると、この試験を受けているのはIT業界の人ではありません。
令和7年度の社会人応募者は、非IT系企業が179,995人、IT系企業が40,715人でした。
非IT系企業からの応募が、IT系企業の約4.4倍です。
この記事では、公式データをもとに「誰が何のために取っている資格なのか」を整理します。
編集部のアドバイス

「意味ない」と言われる資格には2種類あります。誰にとっても効果が薄い資格と、評価される場所が限られている資格です。ITパスポートは明確に後者で、しかも評価される場所はIT業界ではなく非IT系の職場です。自分がどちら側にいるかで、答えは変わります。
ITパスポートを受けているのは非IT系の人が多数派

まず事実から確認します。
| 令和7年度の社会人応募者 | 人数 |
|---|---|
| 非IT系企業 | 179,995人 |
| IT系企業 | 40,715人 |
← 横にスクロールできます →
非IT系企業からの応募が約4.4倍です。
学生の内訳も同じ傾向を示しています。
| 令和7年度の学生応募者(抜粋) | 人数 |
|---|---|
| 大学(情報系以外の文系) | 23,337人 |
| 大学(理工系の情報系) | 7,250人 |
← 横にスクロールできます →
情報系以外の文系大学からの応募が、理工系の情報系の3倍を超えています。
つまりITパスポートは、ITの専門家がスキルを証明する資格ではなく、IT以外の仕事をしている人がIT の共通知識を身につけるための試験として使われています。
応募者数は2年連続で30万人超
| 年度 | 応募者数 |
|---|---|
| 令和7年度 | 307,266人 |
| 令和6年度 | 309,068人 |
| 令和5年度 | 297,864人 |
← 横にスクロールできます →
応募者数は2年連続で30万人を超え、累計応募者数は260万人を突破しています。
「意味ない」と言われながら、毎年30万人が申し込んでいる試験だということです。
斉藤さやかデータを見ると、この資格の用途がはっきりします。IT企業の人が名刺代わりに取るものではなく、営業や事務や製造の人が「社内のIT化についていくため」に取っている。評価の土俵が違うんです。
「意味ない」と言われる4つの理由
否定的な意見にも、それぞれ根拠があります。
理由1:IT業界では評価されにくい
ITエンジニアの採用では、より上位の基本情報技術者試験や実務経験が見られます。
IT業界への転職で決定打になる資格ではありません。
理由2:独占業務がない
ITパスポートを持っていないとできない仕事はありません。
業務独占資格ではないため、「持っていると仕事が回ってくる」タイプの資格でもありません。
理由3:合格率が高い
令和7年度の合格率は48.6%で、受験者の半数近くが合格しています。
希少性で評価される資格ではないため、「簡単だから意味がない」という言われ方をします。
理由4:会社や学校から言われて受けることが多い
企業の研修や学校の授業の一環として受験するケースが多く、自分で選んだ実感を持ちにくい資格です。
取得後の達成感が薄くなりやすい面があります。
非IT系の受験者が多数派なので、基礎から教える教材が向いています。
初学者向けの講座は初学者向けのITパスポート講座にまとめています。
それでもITパスポートに意味がある場面

一方で、次のような場面では明確に機能します。
非IT職のIT基礎として
前述のとおり、応募者の多数派は非IT系企業の社会人です。
情報セキュリティ、ネットワーク、データの扱い、法務、経営戦略といった内容を一通り押さえられるため、IT部門と会話するための共通言語になります。
社内のシステム導入やDXの議論についていけるかどうかは、この基礎知識の有無で変わります。
国家試験としての位置づけがある
ITパスポート試験は、情報処理技術者試験のひとつです。
IPAは試験のメリットとして、次のような活用を挙げています。
- ITの知識・技能に関する共通の評価指標としての活用
- 企業等の組織での活用
- 大学・高等学校等の教育機関での活用
- 国家試験等の一部免除、公的制度の応募資格・募集条件など
民間の検定ではなく、国が実施する試験であることは履歴書上の位置づけに影響します。
上位資格への足がかりになる
ITパスポートの出題範囲は、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系の3分野です。
この3分野の構成は、基本情報技術者試験にもつながります。
いきなり基本情報から始めて挫折するより、ITパスポートで全体像を押さえてから進むほうが無理がありません。
学習コストに対して得られる範囲が広い
合格基準は総合評価点600点/1,000点満点と、3分野それぞれ300点/1,000点満点です。
満点を取る必要はなく、広く浅く押さえれば届く設計になっています。
難易度の詳細はITパスポートの難易度と合格率で解説しています。
学習の進め方はITパスポートの勉強時間と独学の進め方にまとめました。
向いている人・そうでない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 非IT系の企業で働いている | ITエンジニアとして転職したい |
| 社内のIT化・DXに関わる立場 | 実務経験で評価される段階にいる |
| ITの用語を体系的に押さえたい | 独占業務のある資格を探している |
| 基本情報技術者試験の前段として使いたい | 希少性で差をつけたい |
← 横にスクロールできます →
ITエンジニアとしてのキャリアを進めたい人にとっては、通過点にもなりにくい資格です。
逆に、営業・事務・企画・製造といった非IT職の人が、社内のIT化に対応する土台をつくる目的なら合理的な選択になります。
斉藤さやか「意味ない」と検索する方の多くは、実は非IT職の方です。データ上、その層こそがこの資格の主な使い手なので、他人の評価より「自分の職場で使うかどうか」で判断してください。
ITパスポートに関するよくある質問
ITパスポートは本当に意味がないのですか?
評価される場所が限られている、というのが正確です。
IT業界での転職では決定打になりませんが、令和7年度の社会人応募者は非IT系企業が179,995人でIT系企業の約4.4倍であり、非IT職のIT基礎としては広く使われています。
履歴書に書けますか?
書けます。
ITパスポート試験は情報処理技術者試験のひとつで、国が実施する試験です。
就職や転職で有利になりますか?
IT職の採用では、より上位の資格や実務経験が重視されます。
一方、非IT職では社内のIT化に対応できる基礎知識の証明として評価される場面があります。
学生が取る意味はありますか?
令和7年度は情報系以外の文系大学から23,337人が応募しており、理工系の情報系7,250人を上回っています。
IT系に進まない学生でも、社会人になってから必要になる知識を先に押さえられます。
基本情報技術者試験とどちらを受けるべきですか?
ITの用語自体が初めてなら、出題範囲の全体像をつかめるITパスポートから始めるほうが無理がありません。
すでに実務でITに触れているなら、基本情報技術者試験を直接目指す選択もあります。
まとめ|評価の土俵はIT業界ではない
- 令和7年度の社会人応募者は非IT系企業179,995人、IT系企業40,715人で約4.4倍の差
- 学生も情報系以外の文系大学23,337人が理工系情報系7,250人を上回る
- 応募者数は2年連続30万人超、累計260万人を突破
- 「意味ない」の理由はIT業界での評価・独占業務なし・合格率の高さ・受け身の受験
- 国家試験であり、企業・教育機関での活用や一部免除など公的な位置づけがある
- 合格基準は総合600点+3分野それぞれ300点で、広く浅く押さえれば届く
ITパスポートが機能するのは、IT業界ではなく非IT職の現場です。
自分の職場でIT化の話についていく必要があるなら、取る意味は十分にあります。
ITパスポート通信講座おすすめ11選で、初学者向けの教材を比較してみてください。


コメント