漢方の資格を探すと、いくつもの名前が出てきます。
漢方養生指導士、漢方薬・生薬認定薬剤師、薬膳アドバイザー、国際中医師。
どれも並んで紹介されますが、性格はまったく違います。
先に結論を書くと、漢方の資格に国家資格はありません。
すべて団体が認定する民間資格です。
そして漢方薬を店頭で売るために必要なのは、そのどれでもなく登録販売者という別の制度です。
この記事では、漢方の資格の中身を公式データで確認し、何ができて何ができないのかを整理します。
編集部のアドバイス

漢方の資格でよくある誤解は「難しい資格を取れば漢方薬を扱える」というものです。漢方養生指導士の上位資格をすべて取っても、一般用医薬品を販売する権限は得られません。仕事として漢方薬に関わりたい場合と、自分や家族の食生活に活かしたい場合では、進む道がまったく違います。先にどちらなのかを決めてください。
漢方の資格に国家資格はなくすべて民間資格
漢方を名前に含む国家資格は存在しません。
国家資格にあたるのは薬剤師で、漢方はその中の専門分野という扱いです。
漢方の資格として一般に案内されているものを整理します。
| 資格 | 認定団体 | 性格 |
|---|---|---|
| 漢方養生指導士 | 日本漢方養生学協会 | 民間資格。コース修了者のみ受験できる |
| 薬膳・漢方検定 | 日本漢方養生学協会 | 民間の検定。受験資格なし |
| 薬膳アドバイザー | 日本中医食養学会 | 民間資格。40時間の履修後に申請 |
| 国際中医師 | 世界中医薬学会連合会 | 民間資格。所定の学習時間が必要 |
| 薬剤師 | 国(厚生労働省) | 国家資格 |
| 登録販売者 | 都道府県 | 都道府県の試験に合格して登録する |
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漢方の民間資格は、知識を体系的に学んだことの証明です。
診断や治療、医薬品の販売はできません。
漢方の資格で体系がはっきりしているのは漢方養生指導士

漢方の民間資格のなかで、レベルと費用が公式に公開されているのは漢方養生指導士です。
日本漢方養生学協会が認定し、薬日本堂漢方スクールが講座を提供しています。
| 資格 | 受験費用(税込) | 試験時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| ベーシック | 6,600円 | 75分 | 正解率80% |
| アドバンス | 8,800円 | 90分 | 正解率80% |
| 漢茶マスター | 13,200円 | 75分 | 記載なし |
| 薬膳マスター | 13,200円 | 75分 | 正解率80% |
| 薬物学マスター | 16,500円 | 90分 | 正解率80% |
| 臨床マスター | 17,600円 | 90分 | 記載なし |
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順序はベーシックから始まり、アドバンスに進みます。
その先で漢茶マスター、薬膳マスター、薬物学マスターに分かれ、臨床マスターは薬物学マスターの合格者だけが受講できます。
試験は四者択一の50問です。
ベーシック、アドバンス、薬膳マスター、薬物学マスターは筆記とCBTのどちらかを選べます。
CBTなら47都道府県のテストセンターから会場を選べます。
ただし漢茶マスターと臨床マスターにCBTの設定はなく、薬日本堂漢方スクールの校舎で筆記を受けることになります。
そして全レベルに共通する条件がひとつあります。
受験できるのは各コースの修了者だけで、独学で試験だけを受けることはできません。
受験資格のない検定を探している場合は、同じ協会の薬膳・漢方検定が該当します。
こちらは受験料6,500円、100問4択を最大60分、概ね正答率70%以上で合格です。
詳しくは薬膳・漢方検定の受験料と合格基準にまとめています。
斉藤さやか漢方の資格は「講座とセット」が基本です。受験料だけを見て安いと判断すると、実際にはコース受講料が別にかかります。総額で比べてください。
漢方の資格の合格率は公式が95%と88%を公表している
協会は漢方養生指導士の認定率を公表しています。
ベーシックが95%、アドバンスが88%です。
さらに過去の回ごとの受験者数と認定者数も、グラフのかたちで公開されています。
漢方養生指導士ベーシックの推移です。
| 回 | 実施 | 受験者数 | 認定者数 | 公式表示の認定率 |
|---|---|---|---|---|
| 第19回 | 2018年2月 | 458 | 425 | 96% |
| 第20回 | 2018年8月 | 511 | 454 | 91% |
| 第21回 | 2019年2月 | 433 | 391 | 93% |
| 第22回 | 2019年8月 | 518 | 450 | 91% |
| 第23回 | 2020年 | 547 | 517 | 95% |
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アドバンスも同じ水準です。
| 回 | 実施 | 受験者数 | 認定者数 | 公式表示の認定率 |
|---|---|---|---|---|
| 第18回 | 2018年1月 | 248 | 220 | 90% |
| 第19回 | 2018年7月 | 233 | 215 | 93% |
| 第20回 | 2019年1月 | 293 | 272 | 95% |
| 第21回 | 2019年7月 | 238 | 223 | 96% |
| 第22回 | 2020年 | 305 | 290 | 95% |
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なお、公式が表示している認定率は、同じグラフの受験者数と認定者数の比とは一部の回で数ポイント差があります。
たとえば第22回ベーシックは表示が91%ですが、450を518で割ると86.9%です。
差の理由は公式に説明がないため、本記事では公式の表示値を主に置き、実数も併記しました。
申込者数の推移も公開されています。
| 年 | 申込者数 |
|---|---|
| 2015年 | 1,091人 |
| 2016年 | 1,451人 |
| 2017年 | 1,420人 |
| 2018年 | 1,450人 |
| 2019年 | 1,506人 |
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※2020年4月現在と注記
このデータは2020年4月および2021年8月時点の掲載値で、それ以降の更新は確認できません。
漢方の資格には認定率0%の回もある

合格率95%という数字だけを見ると、漢方の資格はすべて簡単だと思えます。
しかし上位に進むと様子が変わります。
臨床マスター(グラフ上の旧称は漢方臨床指導士)の実績です。
| 回 | 実施 | 受験者数 | 認定者数 | 公式表示の認定率 |
|---|---|---|---|---|
| 第15回 | 2017年2月 | 23 | 16 | 70% |
| 第16回 | 2017年8月 | 15 | 15 | 100% |
| 第17回 | 2019年1月 | 22 | 16 | 76% |
| 第18回 | 2019年7月 | 2 | 0 | 0% |
| 第19回 | 2020年 | 38 | 31 | 82% |
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第18回は受験者2名に対し認定者0名で、認定率は0%です。
第16回は15名全員が認定されて100%でした。
受験者が数十人規模のため、回によって数字が大きく振れます。
ここから読み取れるのは、漢方の資格は入口が広く、上に行くほど受験者が絞られるということです。
ベーシックが年500人規模なのに対し、臨床マスターは1回あたり2名から38名です。
漢方の講座を費用や学習形態で見比べたい場合は漢方が学べる通信講座を費用で比較した記事に各社の条件をまとめています。
斉藤さやか「合格率95%だから誰でも取れる」という説明は、ベーシックの話です。上位資格は母数自体が小さく、同じ物差しでは測れません。どのレベルを目指すのかを決めてから難易度を調べてください。
漢方の資格を学んでいるのは会社員が半数で女性が96%
協会は受講者の属性も公開しています。
職業別の内訳です。
| 職業 | 割合 |
|---|---|
| 会社員・職員 | 48.9% |
| 主婦 | 13.9% |
| 自営・専門職 | 9.6% |
| 健康・美容専門職 | 7.1% |
| 医療関係従事者 | 6.9% |
| 薬剤師・登録販売者 | 4.2% |
| 飲食・サービス業 | 2.4% |
| その他 | 7.4% |
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※2021年8月現在と注記
年代は40代32%、30代29%、50代23%、20代11%で、10代と60〜70代を合わせて5%です。
性別は女性96%、男性4%でした。
医療関係の仕事をしている人は、医療関係従事者6.9%と薬剤師・登録販売者4.2%を足して11.1%です。
つまり9割近くは、医療や薬の仕事をしていない人が学んでいます。
女性が96%、30代から50代で84%という構成も特徴です。
仕事に直結させるためというより、暮らしの中で使うために学ぶ人が多い資格だと読み取れます。
漢方薬を売るなら漢方の資格ではなく登録販売者

漢方の民間資格をいくつ重ねても、漢方薬を販売することはできません。
漢方薬の多くは一般用医薬品の第二類に分類されます。
店舗で販売するには薬剤師または登録販売者が必要です。
登録販売者は都道府県が実施する試験に合格し、登録することで資格を得ます。
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| 受験者数 | 58,996名 |
| 合格者数 | 24,004名 |
| 合格率 | 40.7% |
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※令和8年3月31日現在。同一人が複数の試験を受験している可能性があるため延べ人数
合格率には地域差があります。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 北海道(最高) | 1,598 | 875 | 54.8% |
| 沖縄県(最低) | 887 | 206 | 23.2% |
| 関西広域連合(最多受験) | 9,244 | 3,570 | 38.6% |
| 東京都 | 4,186 | 1,671 | 39.9% |
| 年度計 | 58,996 | 24,004 | 40.7% |
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最高と最低の差は31.6ポイントです。
漢方養生指導士ベーシックの認定率95%と比べると、性格の違いがはっきりします。
前者はコースを修了した人が受ける確認テストで、後者は5万人以上が受けて6割が落ちる試験です。
医薬品の販売制度そのものは厚生労働省「医薬品の販売制度」に区分と通知がまとめられています。
漢方の資格に公的な平均年収はない
漢方の資格を持つ人の平均年収を示す公的な統計はありません。
当サイトで総務省の日本標準職業分類(全416行)を走査したところ、「漢方」「薬膳」「中医」「登録販売者」を含む職業区分は見つかりませんでした。
| 職業区分 | コード |
|---|---|
| 薬剤師 | B-12-124 |
| 栄養士 | B-15-151 |
| 調理人 | E-39-391 |
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※2026年9月30日取得
国家資格である薬剤師には区分がありますが、登録販売者にも固有の区分はありません。
職業区分がなければ、厚生労働省の賃金統計でも集計されません。
産業別の賃金を代わりに見ることはできます。
産業計は340.6千円、医療・福祉は315.7千円、宿泊業・飲食サービス業は277.2千円です。
ただしこれは漢方の資格保有者の収入を表す数字ではありません。
資格を持つ人が特定の産業に集中していないためで、受講者の職業別内訳を見てもそれは明らかです。
漢方の資格は収入を増やすために取る資格ではなく、いまの仕事や暮らしに知識を足す資格だと考えるのが実態に合っています。
斉藤さやか「漢方の資格で年収◯◯万円」という説明を見かけたら、出典を確かめてください。国の統計にその職業区分がない以上、根拠を示せる数字ではありません。
漢方の資格に関するよくある質問
漢方に国家資格はありますか
漢方を名前に含む国家資格はありません。
漢方養生指導士も薬膳アドバイザーも国際中医師も、団体が認定する民間資格です。
国家資格にあたるのは薬剤師で、漢方はその中の専門分野として扱われます。
漢方の資格は独学で取れますか
漢方養生指導士は取れません。
ベーシックから臨床マスターまで、すべて各コースの修了者だけが受験できる仕組みです。
受験資格なしで受けられるのは薬膳・漢方検定で、こちらは受験料6,500円、100問4択、概ね正答率70%以上が合格基準です。
漢方の資格の合格率はどれくらいですか
協会は漢方養生指導士ベーシックを95%、アドバンスを88%と公表しています。
ただし上位の臨床マスターは回によって差が大きく、受験者2名で認定者0名だった回もあります。
漢方の資格があれば漢方薬を販売できますか
できません。
漢方薬の多くは一般用医薬品の第二類にあたり、販売には薬剤師か登録販売者が必要です。
令和7年度の登録販売者試験は受験者58,996名に対し合格者24,004名で、合格率は40.7%でした。
漢方の資格を取っている人はどんな人ですか
協会の公表資料では、会社員・職員が48.9%、主婦が13.9%です。
医療関係従事者と薬剤師・登録販売者を合わせても11.1%で、9割近くは医療や薬を職業としていない人です。
女性が96%、30代から50代で84%を占めます。
まとめ|漢方の資格は民間資格で販売権限は別制度
- 漢方を名前に含む国家資格は存在せず、すべて団体が認定する民間資格
- 体系と費用が公開されているのは日本漢方養生学協会の漢方養生指導士
- レベルはベーシック、アドバンス、漢茶・薬膳・薬物学の各マスター、臨床マスターの順
- 受験費用はベーシック6,600円から臨床マスター17,600円まで
- 試験は四者択一50問で、合格基準は正解率80%
- 漢茶マスターと臨床マスターはCBTの設定がなく筆記のみ
- 全レベルとも受験できるのはコース修了者だけで独学受験はできない
- 公式が公表する認定率はベーシック95%、アドバンス88%
- 公式表示の認定率と受験者数・認定者数の比は一部の回で数ポイント差がある
- 臨床マスターは第18回に受験者2名・認定者0名で認定率0%だった回がある
- 申込者数は2015年1,091人から2019年1,506人で推移している
- 受講者は会社員・職員48.9%、主婦13.9%で、医療・薬の職業は合わせて11.1%
- 女性が96%、30代から50代で84%を占める
- 漢方薬の多くは第二類医薬品で、販売には薬剤師か登録販売者が必要
- 令和7年度の登録販売者試験は受験58,996名・合格24,004名で合格率40.7%
- 合格率は北海道54.8%から沖縄県23.2%まで31.6ポイントの差がある
- 日本標準職業分類に漢方・薬膳・登録販売者の職業区分はなく公的な平均年収は存在しない
受験資格なしで漢方の知識を試したい場合は薬膳・漢方検定から始める方法があります。
講座の費用や学習形態を並べて決めたいときは薬膳・漢方の通信講座おすすめ比較を参考にしてください。


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