税理士試験に必要な勉強時間について、国税庁が示した公的な目安はありません。
流通している「1科目◯◯時間」という数字は、資格スクールや合格者の経験則です。
そのかわり、公表データから計画の立て方は逆算できます。
この試験は合格した科目が生涯有効な科目合格制で、受験者1人あたりの受験科目数は平均1.4科目でした。
この記事では、公的データをもとに勉強時間の考え方と独学の現実を整理します。
編集部のアドバイス

勉強時間の目安を探す前に、何年かけるかを先に決めてください。税理士試験は1年で5科目そろえる試験ではありません。令和7年度に5科目へ到達したのは527人で、受験者36,320人の1.5%です。「1年2科目で3年」なのか「1年1科目で5年」なのかを決めると、1年あたりに必要な時間が自動的に決まります。
公的な標準勉強時間は示されていない

国税庁は税理士試験の出題範囲や日程は公告していますが、標準学習時間は示していません。
そのため「簿記論は450時間」といった数字は、すべて民間の目安です。
出発点によって必要時間が変わるため、まず次の点を確認したほうが実用的です。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 日商簿記の学習経験があるか | 簿記論・財務諸表論の下地になる |
| 実務で会計に触れているか | 会計事務所勤務なら学習と実務が噛み合う |
| 選ぶ税法科目 | 法人税法・所得税法はボリュームが大きいとされる |
| 1年に何科目受けるか | 総時間より1年あたりの配分が重要 |
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受験者1人あたりの受験科目数は平均1.4科目
計画を立てるうえでいちばん参考になる公的データがこれです。
| 項目 | 令和7年度(第75回) |
|---|---|
| 受験者数(実人員) | 36,320人 |
| 延受験者数 | 52,236人 |
| 1人あたりの受験科目数 | 約1.4科目 |
| 5科目到達者数 | 527人 |
| 一部科目合格者数 | 7,320人 |
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※延受験者数÷受験者数は編集部が算出
実際の受験者は、1年に1〜2科目を受けているのが標準です。
3科目以上をまとめて受ける人は少数派だということが、この数字から読み取れます。
5科目に到達した527人は、受験者の1.5%でした。
斉藤さやか「1年で5科目」を前提に時間を計算すると、現実離れした数字になります。まず年間で受ける科目数を1つか2つに決めて、そこから逆算するほうが計画は続きます。
合格した科目は生涯有効
税理士試験の最大の特徴は科目合格制です。
1年でまとめて合格する必要はなく、合格した科目は次年度以降も有効です。
そのため学習計画は「総時間をどう確保するか」ではなく「毎年8月にどの科目を仕上げるか」という組み立てになります。
令和7年度に一部科目合格した人は7,320人で、5科目到達者527人の約14倍です。
大半の受験者が積み上げの途中にいる試験だということです。
科目選びで負担が変わる
受験者数と合格率を見ると、科目ごとの位置づけが見えてきます。
| 科目 | 令和7年度 受験者 | 令和7年度 合格率 | 令和6年度 合格率 |
|---|---|---|---|
| 簿記論 | 18,466人 | 11.1% | 17.4% |
| 財務諸表論 | 15,629人 | 31.9% | 8.0% |
| 消費税法 | 7,064人 | 10.1% | 10.3% |
| 法人税法 | 3,606人 | 13.5% | 16.4% |
| 相続税法 | 2,413人 | 13.8% | 18.7% |
| 国税徴収法 | 1,671人 | 13.8% | 13.0% |
| 所得税法 | 1,120人 | 13.0% | 12.6% |
| 固定資産税 | 928人 | 15.5% | 18.0% |
| 酒税法 | 590人 | 12.2% | 12.1% |
| 住民税 | 439人 | 17.8% | 18.2% |
| 事業税 | 310人 | 12.3% | 13.7% |
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必須の簿記論と財務諸表論に受験者が集中しています。
税法科目では消費税法の7,064人が最多で、事業税の310人が最少です。
ただし合格率は年によって大きく動きます。
財務諸表論は令和6年度の8.0%から令和7年度は31.9%になりました。
前年の合格率が低い科目を避ける、という選び方は機能しないということです。
同じ時間帯の科目は同時に受けられない
科目選びには日程上の制約もあります。
| 日程 | 時間 | 科目 |
|---|---|---|
| 8月4日(火) | 9:00〜11:00 | 簿記論 |
| 8月4日(火) | 12:30〜14:30 | 財務諸表論 |
| 8月4日(火) | 15:30〜17:30 | 消費税法又は酒税法 |
| 8月5日(水) | 9:00〜11:00 | 法人税法 |
| 8月5日(水) | 12:00〜14:00 | 相続税法 |
| 8月5日(水) | 15:00〜17:00 | 所得税法 |
| 8月6日(木) | 9:00〜11:00 | 国税徴収法 |
| 8月6日(木) | 12:00〜14:00 | 固定資産税 |
| 8月6日(木) | 15:00〜17:00 | 住民税又は事業税 |
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簿記論と財務諸表論は同じ8月4日の午前と午後なので、同日に2科目受験できます。
初年度に会計2科目を受ける人が多いのは、この配置によるものです。
一方、消費税法と酒税法、住民税と事業税は同じ枠なので、どちらか一方しか選べません。
独学で受験することはできる

税理士試験に受験形態の制限はありません。
会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)は受験資格の制限がなく、証明書類の提出も不要です。
受験手数料も科目数に応じた金額のみです。
| 受験申込科目数 | 受験手数料 |
|---|---|
| 1科目 | 4,000円 |
| 2科目 | 5,500円 |
| 3科目 | 7,000円 |
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ただし独学には条件面での制約があります。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 公式の過去問公開 | 国税庁は試験問題を公表しているが、解答・解説は公表していない |
| 標準学習時間 | 示されていない |
| 出題法令の基準日 | 令和8年度は令和8年4月3日現在施行のもの |
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とくに注意が必要なのが出題法令の基準日です。
税法科目は毎年改正があるため、古い教材では答えが変わっている箇所が出ます。
独学で税法科目を受ける場合、最新年度版の教材をそろえる必要があります。
斉藤さやか会計科目は独学の情報が比較的多いのですが、税法科目は毎年の改正への対応が重い部分です。簿記論・財務諸表論を独学で進めて、税法から講座に切り替えるという組み合わせは現実的だと思います。
令和8年度から得点が分かるようになる

学習計画を立てるうえで大きな変更があります。
これまで税理士試験では、5科目合格者には合格証書、一部科目合格者には合格した旨のみを記載した結果通知書が送られ、得点は通知されていませんでした。
得点が分かるのは、合格点に達しなかった科目がある人だけでした。
令和8年度(第76回)からは、5科目合格者と一部科目合格者にも新たに得点が通知されます。
合格した科目が何点だったのかが分かるため、次の科目にかける時間の見積もりがしやすくなります。
ぎりぎりで通ったのか余裕があったのかで、学習の進め方は変わります。
年齢別の合格率から読み取れること
令和7年度の年齢別の結果です。
| 年齢 | 受験者数 | 合格者数合計 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 20歳以下 | 1,742人 | 617人 | 35.4% |
| 21〜25歳 | 6,752人 | 1,987人 | 29.4% |
| 26〜30歳 | 6,420人 | 1,638人 | 25.5% |
| 31〜35歳 | 5,100人 | 1,266人 | 24.8% |
| 36〜40歳 | 4,674人 | 1,000人 | 21.4% |
| 41歳以上 | 11,632人 | 1,339人 | 11.5% |
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41歳以上の合格率は11.5%で、20歳以下の35.4%の3分の1です。
ただし41歳以上は受験者が11,632人と最も多く、全受験者の32.0%を占めます。
働きながら1年1科目のペースで進める層が厚いため、単年の合格率は下がりやすい構造です。
年齢で不利になるというより、確保できる時間の差が数字に出ていると読むほうが実態に近くなります。
5科目すべてを独学で通した人は多くありません。
科目ごとの講義時間は税理士の通信講座8社比較で比べられます。
独学が向いている人・講座を検討したほうがいい人
判断の目安です。
| 独学が向いている | 講座を検討したほうがよい |
|---|---|
| 日商簿記1級レベルの下地がある | 簿記の学習経験がほとんどない |
| 会計事務所などで実務に触れている | 税法科目の改正対応を自分で追うのが難しい |
| 会計2科目から始める | 最初から税法科目に取り組む |
| 年数をかけてよい | 在学中など期限を区切って仕上げたい |
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会計科目は市販教材が充実している一方、税法科目は毎年の改正対応が必要です。
また税理士試験は理論の記述を含む形式のため、答案の書き方について添削を受けられるかどうかも分かれ目になります。
税理士の勉強時間に関するよくある質問
税理士試験の勉強時間はどのくらい必要ですか?
国税庁が示した公的な標準学習時間はありません。
流通している数字は資格スクールや合格者の経験則です。
1年に何科目受けるのが普通ですか?
令和7年度は受験者36,320人に対し延受験者数が52,236人で、1人あたり約1.4科目でした。
1年に1〜2科目が標準的なペースです。
独学で合格できますか?
受験形態に制限はなく、独学で受験できます。
ただし国税庁は解答・解説を公表しておらず、税法科目は毎年の改正対応が必要になります。
どの科目から始めるのがいいですか?
必須である簿記論と財務諸表論は8月4日の午前と午後に配置されており、同日に2科目受験できます。
令和7年度もこの2科目に受験者が集中しています。
働きながらでも合格できますか?
令和7年度は41歳以上の受験者が11,632人で全体の32.0%を占め、1,339人が合格しています。
合格した科目は生涯有効なため、長期戦で進められる試験です。
合格した科目は何年有効ですか?
期限はありません。
税理士試験は科目合格制で、一度合格した科目は生涯有効です。
まとめ|総時間より「年間何科目」で決める
- 公的な標準学習時間は示されておらず、流通する数字は経験則
- 受験者1人あたりの受験科目数は約1.4科目(令和7年度)
- 5科目到達者は527人で受験者の1.5%、一部科目合格者は7,320人
- 科目別合格率は年によって動き、財務諸表論は8.0%→31.9%
- 簿記論と財務諸表論は同日に受験でき、初年度の定番になっている
- 独学は可能だが解答・解説は非公表で、税法科目は毎年の改正対応が必要
- 令和8年度から全受験者に各科目の得点が通知される
計画が立ったら、申込みの日程を押さえてください。
税理士試験の日程と受験手数料で令和8年度の申込期間を確認できます。
科目ごとの合格率は税理士試験の難易度にまとめています。
独学が不安な方は税理士通信講座おすすめ8選で比較してください。


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