通関士試験の合格率は、令和7年(第59回)が15.1%でした。
直近8年で見ると12.4%から24.2%の間で動いています。
ただしこの試験の難しさは合格率の数字よりも、3科目すべてで基準点を超えないと合格にならない構造にあります。
しかもその基準は年によって引き下げられることがあります。
この記事では税関が公表している結果データだけを使って、難易度の実態を確認します。
編集部のアドバイス

通関士試験は「合計何点」で決まる試験ではありません。3科目それぞれに合格基準があり、1科目でも下回れば他が満点でも不合格です。勉強の配分を決めるときは、総合的な得点力より先に「どの科目も落とさない」という設計から入ってください。
通関士試験の合格率は直近8年で12.4%から24.2%

税関が公表している受験者数と合格率の推移です。
| 年 | 回 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 平成30年 | 52 | 6,218人 | 905人 | 14.6% |
| 令和元年 | 53 | 6,388人 | 878人 | 13.7% |
| 令和2年 | 54 | 6,745人 | 1,140人 | 16.9% |
| 令和3年 | 55 | 6,961人 | 1,097人 | 15.8% |
| 令和4年 | 56 | 6,336人 | 1,212人 | 19.1% |
| 令和5年 | 57 | 6,332人 | 1,534人 | 24.2% |
| 令和6年 | 58 | 6,135人 | 759人 | 12.4% |
| 令和7年 | 59 | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
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最も高い令和5年の24.2%と、その翌年の令和6年12.4%では2倍近い差があります。
受験者数はどちらも6,100人台から6,300人台で、ほとんど変わっていません。
つまり受験者層が変わったのではなく、試験の側の難度が年ごとに動いています。
「通関士の合格率は10%台」とまとめられることが多いのですが、実際には年による振れ幅が大きい試験です。
第1回から第59回までの累計では15.6%
通関士試験は昭和42年に始まり、令和7年で59回を数えます。
| 項目 | 第1回〜第59回 累計 |
|---|---|
| 願書提出者 | 481,314人 |
| 受験者 | 353,124人 |
| 受験率 | 73.4% |
| 合格者 | 54,943人 |
| 合格率 | 15.6% |
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59回を通した合格率は15.6%です。
直近の令和7年15.1%は、長期平均とほぼ同じ水準にあります。
過去最低は平成18年(第40回)の7.0%、過去最高は昭和43年(第2回)の30.4%でした。
願書を出した48万人のうち、実際に受験したのは35万人です。
受験率73.4%という数字は、願書を出しながら受験しなかった人が4分の1以上いることを示しています。
斉藤さやか願書を出したのに受けない人が4分の1いる、というのは通関士試験のわかりやすい特徴です。受験手数料は受けなくても還付されないと法律に書かれています。それでも受けない人が多いのは、10月の試験日までに準備が間に合わないケースが少なくないからだと考えられます。
通関士の難易度を決めるのは3科目すべて6割のライン

通関士試験は3科目で、それぞれに合格基準が設けられています。
令和7年(第59回)の合格基準です。
| 科目 | 合格基準 |
|---|---|
| 通関業法 | 満点の60%以上 |
| 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 | 満点の60%以上 |
| 通関書類の作成要領その他通関手続の実務 | 満点の60%以上 |
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財務省は受験案内で「試験合格のためには、掲げる試験科目すべてで合格基準を満たす必要があります」と明記しています。
得意科目で稼いで苦手科目を捨てる、という戦い方が成立しません。
科目ごとの満点は次のとおりです。
| 科目 | 選択式 | 択一式 | 選択式・計算式 | 満点 |
|---|---|---|---|---|
| 通関業法 | 41点(13問) | 4点(4問) | — | 45点 |
| 関税法等 | 49点(17問) | 11点(11問) | — | 60点 |
| 通関実務(通関書類の作成要領) | — | — | 20点(2問) | 20点 |
| 通関実務(その他通関手続の実務) | 10点(5問) | 3点(3問) | 12点(6問) | 25点 |
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3科目の合計は150点で、通関実務は2つのパートを合わせて45点です。
配点が最も大きいのは関税法等の60点です。
通関実務のうち「通関書類の作成要領」は2問で20点あり、1問10点という重さになっています。
出題形式は「NACCSを使用して行う輸出申告と輸入申告の問題を各1問」と公告に書かれています。
1問の失点が大きい設計なので、ここを外すと通関実務の6割が一気に遠のきます。
通関士試験の合格基準は年によって下がる
ここが公式資料を読まないと気づけない部分です。
第58回(令和6年)と第59回(令和7年)の合格基準を並べます。
| 科目 | 第58回(令和6年) | 第59回(令和7年) |
|---|---|---|
| 通関業法 | 満点の60%以上 | 満点の60%以上 |
| 関税法等 | 満点の55%以上 | 満点の60%以上 |
| 通関実務 | 満点の60%以上 | 満点の60%以上 |
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第58回は関税法等だけ55%に引き下げられています。
つまり6割という基準は固定ではありません。
その年の出題が難しければ下げられることがあります。
ただし引き下げられた第58回の合格率は12.4%で、直近8年で最も低い数字でした。
基準が下がったからといって受かりやすくなるわけではなく、むしろ「下げなければならないほど難しかった年」だと読むほうが実態に近いといえます。
斉藤さやか「6割取れば受かる」は目安としては正しいのですが、本番で6割ちょうどを狙う計画は危ないです。下がる年もある代わりに、下がらない年は6割のままです。余白を持った目標にしてください。
3科目すべてで6割を取る必要があるため、1科目の取りこぼしが致命傷になります。
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通関士試験の難易度は受験する科目数で大きく変わる

通関士試験には実務経験による科目免除があります。
免除を受けると受験する科目数が減るので、合格率がまったく違う数字になります。
令和7年(第59回)の受験区分別の結果です。
| 区分 | 願書提出者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 全科目受験者 | 7,356人 | 5,584人 | 777人 | 13.9% |
| 2科目受験者 | 663人 | 561人 | 58人 | 10.3% |
| 1科目受験者 | 186人 | 177人 | 119人 | 67.2% |
| 合計 | 8,205人 | 6,322人 | 954人 | 15.1% |
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1科目受験者の合格率は67.2%です。
全科目受験者の13.9%とは5倍近い差があります。
1科目受験者は通関業務または官庁の関税事務に通算15年以上従事した人で、残る1科目は通関業法だけです。
つまり実務経験が長い人はほぼ通る試験であり、初学者が全科目で挑むときの難易度とは別物です。
注目したいのは2科目受験者の10.3%で、全科目受験者の13.9%より低くなっています。
2科目受験者は通関事務に通算5年以上従事して通関実務が免除された人たちです。
実務経験があるのに合格率が下がるという、直感に反する結果が出ています。
残る2科目が通関業法と関税法等、つまり法令の暗記が中心の科目だからだと考えられます。
第58回でも同じ傾向で、全科目11.2%に対し2科目10.4%でした。
「一般に語られる通関士の合格率」は全科目受験者を含む合計値ですが、これから初めて受ける人が見るべきなのは全科目受験者の数字です。
| 年 | 全科目受験者の合格率 | 合計の合格率 |
|---|---|---|
| 令和6年(第58回) | 11.2% | 12.4% |
| 令和7年(第59回) | 13.9% | 15.1% |
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合計より1ポイント前後低くなります。
通関士試験の合格率は試験地で6.7%から21.3%まで開く
税関は試験地別の結果も公表しています。
令和7年(第59回)の13試験地の数字です。
| 試験地 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 静岡 | 141人 | 30人 | 21.3% |
| 北海道 | 113人 | 21人 | 18.6% |
| 東京 | 2,195人 | 361人 | 16.4% |
| 神奈川 | 591人 | 93人 | 15.7% |
| 兵庫 | 439人 | 69人 | 15.7% |
| 愛知 | 746人 | 111人 | 14.9% |
| 熊本 | 97人 | 14人 | 14.4% |
| 大阪 | 1,095人 | 152人 | 13.9% |
| 宮城 | 104人 | 13人 | 12.5% |
| 福岡 | 492人 | 61人 | 12.4% |
| 新潟 | 59人 | 6人 | 10.2% |
| 広島 | 190人 | 19人 | 10.0% |
| 沖縄 | 60人 | 4人 | 6.7% |
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最高の静岡21.3%と最低の沖縄6.7%では3倍以上の差があります。
ただしこれは試験地によって問題や採点が違うという話ではありません。
問題は財務大臣が決定した同一のものです。
受験者が60人から100人台の試験地では、合格者が数人動くだけで合格率が大きく変わります。
沖縄は受験者60人で合格者4人、新潟は受験者59人で合格者6人です。
受験者が1,000人を超える東京16.4%と大阪13.9%のほうが、実態に近い水準と考えられます。
斉藤さやか試験地の合格率を「ここは受かりやすい」と読むのは危険です。母数が小さい試験地は毎年大きく上下します。住んでいる場所で受けるのが基本で、選ぶ意味のある差ではありません。
通関士は受験資格がないので受験のハードルは低い
難易度の話をするときに見落とされがちな点です。
財務省は受験案内で受験資格について次のように書いています。
「学歴、年齢、経歴、国籍等についての制限はありませんので、どなたでもこの試験を受けることができます」
実務経験も学歴も不要です。
実務経験が関わるのは科目免除の要件としてだけで、受験そのものには一切影響しません。
受験のハードルが低いぶん、準備が十分でない層も受験者に含まれます。
受験率が73.4%にとどまることや、合格率が10%台で推移することは、この構造と切り離せません。
裏を返すと、必要な学習量を確保できた人にとっての実質的な難易度は、合格率の数字が示すほど高くない可能性があります。
通関士試験の難易度に関するよくある質問
通関士の合格率は何%ですか?
令和7年(第59回)は15.1%でした。
直近8年では12.4%から24.2%の範囲で動いています。
第1回から第59回までの累計は15.6%です。
何点取れば合格できますか?
令和7年(第59回)は3科目すべて満点の60%以上でした。
ただし第58回(令和6年)は関税法等だけ55%に引き下げられており、基準は年によって変わります。
1科目でも基準を下回ると不合格ですか?
不合格です。
財務省は「試験科目すべてで合格基準を満たす必要があります」と受験案内に明記しています。
初めて受ける人の合格率はどのくらいですか?
全科目受験者の合格率が目安になります。
令和7年は13.9%、令和6年は11.2%でした。
一般に公表される合計値より1ポイント前後低くなります。
通関士は独学で合格できますか?
受験資格がないので独学で挑むことは可能です。
必要な学習量の考え方は通関士の独学で整理しています。
実務経験があると有利ですか?
科目免除の対象になれば有利です。
通算15年以上で2科目、通算5年以上で1科目が免除されます。
条件は通関士の受験資格で確認できます。
受験資格はありますか?
ありません。
学歴・年齢・経歴・国籍による制限は一切ないと受験案内に書かれています。
まとめ|通関士の難易度は合格率より基準点の構造で見る
- 令和7年(第59回)の合格率は15.1%、直近8年は12.4%から24.2%
- 第1回から第59回までの累計合格率は15.6%で、受験者は延べ353,124人
- 3科目それぞれに合格基準があり、1科目でも下回れば不合格
- 基準は原則60%だが第58回は関税法等が55%に引き下げられた
- 初めて受ける人の実質的な数字は全科目受験者の13.9%(令和7年)
- 1科目受験者の合格率は67.2%で、免除の有無で難易度がまったく違う
- 試験地別は6.7%から21.3%まで開くが、母数の小さい試験地の振れが原因
- 受験資格はなく、学歴・年齢・経歴・国籍の制限は一切ない
試験日と申込方法は通関士の試験日にまとめています。
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