一級建築士試験の総合合格率は、直近5年でいずれも8.8%から11.4%の間に収まっています。
おおむね1割です。
ただしこの試験の難しさは合格率の低さだけではなく、合格基準点が毎年動くところにあります。
令和8年の学科試験では、国土交通省が「総じて難度が低かったことから」基準点を想定より引き上げたと公表しました。
この記事では、公式に公表された数字だけで難易度の実態を確認します。
編集部のアドバイス

一級建築士は「学科」と「設計製図」の2段階で、両方を通らないと合格になりません。しかも学科は5科目それぞれに足切りがあり、さらに総得点の基準もあります。基準の数が多いので、どこか1つでも崩れると届きません。勉強の配分を決めるときは、合格率より先に基準点の構造を押さえてください。
一級建築士の総合合格率は5年連続でおよそ1割

建築技術教育普及センターが公表している直近5年の結果です。
| 年 | 学科 合格率 | 製図 合格率 | 総合合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年 | 15.2% | 35.9% | 9.9% |
| 令和4年 | 21.0% | 33.0% | 9.9% |
| 令和5年 | 16.2% | 33.2% | 9.9% |
| 令和6年 | 23.3% | 26.6% | 8.8% |
| 令和7年 | 16.5% | 35.0% | 11.4% |
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総合合格率は8.8%から11.4%の範囲で、5年の中で最も高かったのが令和7年の11.4%です。
受験者のおよそ9割が合格に至らない試験だということになります。
注目したいのは、学科と製図で合格率が2倍前後違う点です。
令和7年でいえば学科16.5%に対し、製図は35.0%でした。
学科と製図の人数を追うと構造が見える
同じ年の実人数です。
| 項目 | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|
| 学科 実受験者数 | 28,067人 | 27,489人 |
| 学科 合格者数 | 6,531人 | 4,529人 |
| 製図 実受験者数 | 11,306人 | 11,381人 |
| 製図 合格者数 | 3,010人 | 3,988人 |
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令和7年は学科の合格者が4,529人なのに、製図の受験者は11,381人います。
製図の受験者が学科合格者より多いのは、学科に合格した年に製図が不合格でも、一定期間は製図から受験できる仕組みがあるためです。
つまり製図には、その年の学科合格者と過去の学科合格者が混ざっています。
製図の合格率が3割台なのは、学科を通った人だけが受ける試験だからでもあります。
斉藤さやか「製図は3割受かるなら楽だ」と読むと危険です。母集団が学科を突破した人に限られているうえ、前年に製図で落ちた経験者も含まれています。その中での3割です。
一級建築士の合格基準点は6つあり全部満たす必要がある

令和8年学科試験の配点と基準点です。
| 科目 | 満点 | 合格基準点 |
|---|---|---|
| 学科Ⅰ(計画) | 20点 | 11点 |
| 学科Ⅱ(環境・設備) | 20点 | 11点 |
| 学科Ⅲ(法規) | 30点 | 16点 |
| 学科Ⅳ(構造) | 30点 | 16点 |
| 学科Ⅴ(施工) | 25点 | 13点 |
| 総得点 | 125点 | 94点 |
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各問題は1点です。
国土交通省は「各科目及び総得点の合格基準点すべてに達している者を合格とする」と明記しています。
5科目それぞれの足切りと総得点の基準、あわせて6つの条件を同時に満たさなければなりません。
総得点94点は125点満点の75.2%です。
一方で各科目の基準は11点から16点で、いずれも満点の過半にあたる水準になっています。
得意科目で稼いで苦手科目を捨てる、という戦い方ができない設計です。
一級建築士の合格基準点は毎年動く

ここがこの試験の特徴です。
国土交通省は令和8年の基準点について、次のように説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定していた基本的な水準 | 各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度 |
| 実際に設定された基準点 | 総得点94点 |
| 理由 | 総じて難度が低かったことから |
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つまり基準点は固定されておらず、その年の難易度に応じて調整されます。
問題が易しければ基準点が上がり、難しければ下がるということです。
令和8年は想定の90点程度から94点へ引き上げられました。
この調整があるため、「毎年何点取れば受かる」という目安は事前には決まりません。
令和8年の学科合格率は26.2%で直近6年の最高だった
基準点を引き上げてもなお、令和8年の合格率は高い水準になりました。
| 項目 | 令和8年 |
|---|---|
| 試験日 | 令和8年7月26日(日) |
| 試験会場 | 全国56会場 |
| 実受験者数 | 29,094人 |
| 合格者数 | 7,619人 |
| 合格率 | 26.2% |
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令和3年から令和7年までの学科合格率は15.2%、21.0%、16.2%、23.3%、16.5%でした。
令和8年の26.2%はこの6年で最も高い数字です。
学科の合格率は隔年で上下する動きが見られますが、総合合格率は1割前後で安定しています。
学科が易しい年は製図に進む人数が増えるため、最終的な合格者数が同じように増えるとは限りません。
6つの基準点を同時に満たす必要があるため、苦手科目を1つ残したままでは通りません。
科目ごとの穴を埋める手段は一級建築士の通信講座6社の比較で費用とあわせて比べられます。
一級建築士の合格者は20代後半が中心
令和8年学科試験の合格者7,619人の年齢構成です。
| 年齢 | 構成比 |
|---|---|
| 23歳以下 | 19.4% |
| 24〜26歳 | 30.2% |
| 27〜29歳 | 15.1% |
| 30〜34歳 | 14.0% |
| 35〜39歳 | 7.8% |
| 40歳以上 | 13.4% |
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最も多いのは24〜26歳の30.2%です。
26歳以下が合わせて49.6%を占めます。
受験資格に指定科目の履修が必要なため、大学等を卒業してすぐ挑戦する層が中心になる構造です。
一方で40歳以上も13.4%を占めており、社会人になってから取得する人も一定数います。
合格者の3割は女性
男女別の構成比です。
| 試験 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 令和8年 学科の試験 | 70.0% | 30.0% |
| 令和7年 設計製図の試験 | 67.8% | 32.2% |
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学科で30.0%、製図で32.2%が女性です。
製図のほうが女性の比率がわずかに高くなっています。
合格者の出身学校は特定の大学に集中していない
一級建築士の難易度を語るときによく話題になるのが出身大学です。
令和7年の設計製図試験の合格者3,988人について、出身学校別の合格者数が公表されています。
| 順位 | 学校名 | 合格者数 |
|---|---|---|
| 1 | 日本大学 | 156人 |
| 2 | 東京理科大学 | 103人 |
| 2 | 芝浦工業大学 | 103人 |
| 4 | 近畿大学 | 91人 |
| 5 | 早稲田大学 | 84人 |
| 6 | 工学院大学 | 77人 |
| 7 | 明治大学 | 69人 |
| 8 | 千葉大学 | 62人 |
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最多の日本大学でも156人で、合格者3,988人に占める割合は3.9%です。
上位8校を合わせても745人で、全体の18.7%にとどまります。
公表されている一覧には国公立大学、私立大学、高等専門学校、専門学校が幅広く並んでおり、特定の大学の出身者が独占している試験ではありません。
指定科目を修めて卒業していれば受験資格を満たすため、学校の種別による差が出にくい構造です。
斉藤さやか大学別のランキングは目を引きますが、母数の大きい大学ほど合格者も多くなるのは当然です。合格率ではなく合格者の実数なので、出身校で有利不利を判断する材料にはなりません。
一級建築士の難易度に関するよくある質問
一級建築士の合格率は何%ですか?
総合合格率は直近5年で8.8%から11.4%です。
令和8年の学科試験単体では26.2%でした。
何点取れば合格できますか?
令和8年の学科は総得点94点(125点満点)でした。
ただし基準点は毎年変わるため、事前に確定した点数はありません。
科目ごとに足切りはありますか?
あります。
令和8年は学科Ⅰ11点・学科Ⅱ11点・学科Ⅲ16点・学科Ⅳ16点・学科Ⅴ13点で、総得点とあわせて6つすべてを満たす必要があります。
学科と製図はどちらが難しいですか?
合格率では学科のほうが低くなります。
ただし製図は学科を通過した人だけが受けるため、単純な比較はできません。
何歳で合格する人が多いですか?
令和8年の学科合格者では24〜26歳が30.2%で最多でした。
26歳以下が全体の49.6%を占めます。
女性の合格者はどのくらいいますか?
令和8年の学科合格者の30.0%、令和7年の製図合格者の32.2%が女性です。
二級建築士とどちらが難しいですか?
一級建築士のほうが難度は高くなります。
二級建築士の数字は二級建築士の難易度で確認できます。
まとめ|一級建築士の難易度は基準点の構造で決まる
- 総合合格率は直近5年で8.8%から11.4%、おおむね1割
- 令和7年は学科16.5%に対し製図35.0%で2倍前後の差がある
- 製図には過去の学科合格者も含まれるため合格率が高く出る
- 合格基準点は5科目それぞれと総得点の6つで、すべて満たす必要がある
- 令和8年の総得点基準は94点(125点満点の75.2%)
- 基準点は固定されず、国交省は「総じて難度が低かったことから」引き上げたと公表
- 令和8年の学科合格率26.2%は直近6年で最高
- 合格者は24〜26歳が30.2%で最多、女性は30.0%
受験資格は一級建築士の受験資格にまとめています。
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