一級建築士の受験資格は、令和2年に大きく変わりました。
それまで受験に必要だった実務経験が、免許登録の要件へ移りました。
つまり指定科目を修めて卒業していれば、実務経験が0年でも受験できます。
この記事では、建築技術教育普及センターが公表している受験資格の条件と、合格者が実際にどのルートで受けているかを確認します。
編集部のアドバイス

「受験できる」と「免許を登録できる」は別だという点がこの資格の要です。試験に合格しても、実務経験を満たすまで一級建築士を名乗ることはできません。学生のうちに学科だけ通しておいて、就職後に製図と登録を進めるという組み立てが可能になったのが令和2年以降の変化です。
一級建築士の受験資格は4つのルートがある

建築技術教育普及センターが示している条件です。
| ルート | 内容 |
|---|---|
| 学歴 | 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者 |
| 資格 | 二級建築士 |
| 資格 | 建築設備士 |
| その他 | 国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等) |
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学歴で受ける場合、入学した年によって表現が変わります。
| 入学年 | 条件 |
|---|---|
| 平成21年度以降 | 国土交通大臣の指定する建築に関する科目(指定科目)を修めて卒業 |
| 平成20年度以前 | 所定の課程を修めて卒業 |
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大学を出ていなくても、二級建築士か建築設備士の資格があれば受験できます。
建築系の学校に行かなかった人にとっては、二級建築士を先に取るのが現実的な入口になります。
二級建築士の条件は二級建築士の受験資格にまとめています。
なお外国大学等を学歴として使う場合は、建築士法第14条第三号の審査を受けたうえで、国土交通大臣の確認が必要です。
実務経験は受験ではなく登録の要件になった

令和2年の変更点です。
センターは次のように説明しています。
| 時期 | 実務経験の扱い |
|---|---|
| 令和元年以前 | 受験するために実務経験が必要だった |
| 令和2年以降の合格者(既受験者を含む) | 登録時に実務経験を審査する |
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原文は「従来の『実務経験要件』について、令和2年以降に一級建築士試験を合格された方(既受験者も含む)は、登録時に実務経験を審査することになりました」と書かれています。
この変更により、大学を卒業した直後から受験できるようになりました。
合格しても実務経験が足りていなければ免許登録はできませんが、試験だけを先に済ませられます。
斉藤さやか実務経験が要らなくなったわけではありません。移動しただけです。ただ「働きながら勉強して、経験年数が貯まった時点で登録する」という順番が組めるようになったのは大きい変化です。
登録に必要な要件は別の団体が案内している
免許登録の手続きと必要な実務経験については、センターではなく日本建築士会連合会が案内しています。
受験の可否はセンター、登録の可否は登録機関、と窓口が分かれている点に注意してください。
合格者の7割は大学ルートで受験している

実際にどのルートが使われているかは、合格者の属性から分かります。
令和7年の設計製図試験の合格者3,988人の内訳です。
| 資格取得ルート | 構成比 |
|---|---|
| 大学 | 70.6% |
| 二級建築士 | 18.4% |
| 専修学校 | 5.9% |
| 建築設備士 | 1.3% |
| その他 | 3.8% |
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大学ルートが70.6%で圧倒的多数です。
次いで二級建築士からのルートが18.4%を占めます。
専修学校が5.9%、建築設備士は1.3%でした。
つまり合格者の9割弱は、大学か二級建築士のどちらかで受験資格を得ています。
学科の段階では二級建築士ルートの比率が下がる
同じ年の学科合格者と比べると、違いが見えます。
| 資格取得ルート | 令和7年 学科合格者 | 令和7年 製図合格者 |
|---|---|---|
| 大学 | 69.7% | 70.6% |
| 二級建築士 | 11.5% | 18.4% |
| 専修学校 | 6.7% | 5.9% |
| 建築設備士 | 1.2% | 1.3% |
| その他 | 10.9% | 3.8% |
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二級建築士ルートは学科合格者では11.5%ですが、製図合格者では18.4%に増えます。
製図の受験者には過去の学科合格者も含まれるため、単年の比較ではありませんが、二級建築士を持つ層が製図を通過している割合は低くないと読めます。
二級建築士の試験で設計製図を経験していることが関係している可能性があります。
受験資格の確認が済めば、あとは試験対策だけが残ります。
学科と製図のどちらから手を付けるかは一級建築士の講座を学科・製図別に見るの講座構成が参考になります。
受験資格はセンターの審査で確定する
受験資格は申し込めば自動的に認められるわけではありません。
令和8年試験のスケジュールです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年4月1日〜4月14日 | 受験申込受付(インターネット) |
| 令和8年4月17日 | 申込書類の提出期限(当日消印有効) |
| 令和8年4月下旬〜6月中旬 | 受験資格の判定・受験有資格者の確定 |
| 令和8年7月10日頃 | 受験票の発行 |
| 令和8年7月26日 | 学科の試験 |
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申込から試験まで約4か月ありますが、その大半が資格判定の期間です。
センターは4月下旬から6月中旬にかけて受験資格を判定し、有資格者を確定します。
とくに学歴で受験する場合は、申込書類を簡易書留で送る必要があります。
卒業証明書や単位修得証明書の取り寄せに時間がかかることもあるため、4月14日の締切から逆算して早めに準備する必要があります。
斉藤さやか学校に証明書を請求すると発行まで1〜2週間かかることがあります。申込期間は2週間しかないので、書類集めは3月のうちに始めておくと安全です。
二級建築士から狙う場合の順番
建築系の学歴がない場合、二級建築士を経由することになります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 二級建築士の受験資格を満たす(学歴または実務経験) |
| 2 | 二級建築士試験に合格する |
| 3 | 二級建築士として一級建築士試験の受験資格を得る |
| 4 | 一級建築士試験(学科・設計製図)に合格する |
| 5 | 実務経験を満たして免許登録する |
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二級建築士は学科と設計製図の2段階で、一級建築士と同じ構成です。
先に二級で製図の作法を身につけられる点は、遠回りに見えて実務的な利点があります。
二級建築士の難易度は二級建築士の難易度で確認できます。
受験資格を満たしてからも合格まで9か月かかる
受験資格の確認が終わっても、その年のうちに結果が出るとは限りません。
令和8年試験の全体スケジュールです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年4月1日〜4月14日 | 受験申込 |
| 令和8年7月26日 | 学科の試験 |
| 令和8年9月2日 | 学科の試験の合格者発表 |
| 令和8年10月11日 | 設計製図の試験 |
| 令和8年12月23日(予定) | 合格者の発表 |
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申込の4月1日から最終発表の12月23日まで、およそ9か月あります。
設計製図の試験を受けられるのは学科の合格者だけです。
学科の発表が9月2日で製図が10月11日なので、製図の準備期間は実質1か月余りしかありません。
そのため学科の手応えを見て、発表を待たずに製図対策へ入る人が多くなります。
日程の詳細は一級建築士試験の試験日と受験手数料にまとめました。
一級建築士の受験資格に関するよくある質問
実務経験がなくても受験できますか?
できます。
令和2年以降、実務経験は受験要件ではなく登録時に審査される要件になりました。
大学を出ていなくても受験できますか?
できます。
二級建築士または建築設備士の資格があれば受験資格を満たします。
指定科目とは何ですか?
国土交通大臣が指定する建築に関する科目です。
平成21年度以降に入学した人は、この指定科目を修めて卒業していることが条件になります。
合格すればすぐ一級建築士になれますか?
なれません。
免許登録の際に実務経験が審査されるため、経験年数を満たすまで登録できません。
どのルートの合格者が多いですか?
令和7年の製図合格者では大学が70.6%、二級建築士が18.4%でした。
外国の大学を卒業した場合はどうなりますか?
建築士法第14条第三号の審査を受け、国土交通大臣の確認を受ける必要があります。
二級建築士から目指すのは遠回りですか?
合格者の18.4%が二級建築士ルートです。
建築系の学歴がない場合は、実質的にこのルートが入口になります。
まとめ|一級建築士の受験資格は学歴か二級建築士が入口
- 受験資格は指定科目を修めた卒業、二級建築士、建築設備士、大臣が認める者の4つ
- 平成21年度以降の入学者は指定科目の履修が条件
- 令和2年以降、実務経験は受験要件から登録要件へ移った
- そのため実務経験0年でも受験できる
- ただし合格しても実務経験を満たすまで免許登録はできない
- 令和7年の製図合格者は大学70.6%、二級建築士18.4%
- 建築系の学歴がない場合は二級建築士が現実的な入口になる
合格率と基準点は一級建築士の難易度にまとめています。
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