日本語教師の平均年収として示せる公的な統計はありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査に「日本語教師」という職種区分が設けられていないためです。
そのかわり、年収の水準を左右している構造は公的データで確認できます。
国内の日本語教師等50,309人のうち、常勤は13.6%です。
この記事では、その構造と年収を左右する4つの要素を整理します。
編集部のアドバイス

「日本語教師の年収は◯◯万円」という数字を見かけたら、その調査が誰を対象にしているかを確かめてください。常勤だけを集めた調査、非常勤のコマ給から年換算した数字、海外勤務を含めた数字では、まったく違う額になります。日本語教師は常勤が13.6%しかいない職種なので、「平均」という言葉がとくに当てになりません。
日本語教師の年収に公的な平均値はない
資格単体の平均年収として示せる公的データはありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には職種別の賃金データがありe-Statで公開されていますが、日本語教師という職種区分は設けられていません。
そのため「日本語教師の平均年収」として流通している数字は、民間の調査や求人情報の集計です。
対象や集計方法が調査ごとに異なるため、額そのものを比べても意味が薄くなります。
かわりに見るべきなのは、この職種がどういう雇用形態で成り立っているかです。
国内の日本語教師等50,309人のうち常勤は13.6%

文部科学省の日本語教育実態調査(2024年11月1日現在)による内訳です。
| 職務 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| ボランティア | 26,721人 | 53.1% |
| 非常勤 | 16,741人 | 33.3% |
| 常勤 | 6,847人 | 13.6% |
| 合計 | 50,309人 | 100.0% |
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半数以上がボランティアです。
「年収」という考え方が成り立つのは常勤の6,847人で、これは全体の13.6%にあたります。
非常勤は担当コマ数によって収入が変わるため、同じ資格でも人によって金額が大きく違います。
斉藤さやかここを知らずに求人を見ると「思っていた条件と違う」と感じることになります。日本語教師の求人はもともと非常勤の募集が多い職種です。常勤を目指すなら、はじめからそこを条件に絞って探すことになります。
常勤の人数は前年より減っている
職務別の推移を見ると、常勤は増え続けているわけではありません。
| 年度 | 常勤 | 非常勤 | ボランティア | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 6,166人 | 14,230人 | 18,845人 | 39,241人 |
| 令和4年度 | 6,571人 | 15,891人 | 21,568人 | 44,030人 |
| 令和5年度 | 7,214人 | 15,762人 | 23,281人 | 46,257人 |
| 令和6年度 | 6,847人 | 16,741人 | 26,721人 | 50,309人 |
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全体は46,257人から50,309人へ増えましたが、常勤は7,214人から6,847人へ減りました。
増えた分の多くはボランティアです。
日本語学習者は増えているのに、常勤のポストがそれに比例して増えているわけではないという構図です。
日本語学習者は294,198人まで増えている
需要そのものは伸びています。
| 年度 | 日本語学習者数 |
|---|---|
| 令和3年度 | 123,408人 |
| 令和4年度 | 219,808人 |
| 令和5年度 | 263,170人 |
| 令和6年度 | 294,198人 |
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学習者のうち法務省告示機関が136,232人で46.3%を占めています。
国家資格「登録日本語教員」が設けられた背景には、この学習者の増加に対して専門性のある教師の確保が追いついていないという課題があります。
勤務先によって働き方の性質が変わる

日本語教師等が所属している機関の内訳です。
| 機関 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 法務省告示機関 | 14,424人 | 28.7% |
| 国際交流協会 | 8,329人 | 16.6% |
| 地方公共団体 | 7,855人 | 15.6% |
| 任意団体 | 7,827人 | 15.6% |
| 大学等機関 | 4,456人 | 8.9% |
| 教育委員会 | 2,258人 | 4.5% |
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最も多い法務省告示機関は、留学生を受け入れる日本語学校です。
一方、国際交流協会・地方公共団体・任意団体・教育委員会が合計で52.3%を占めており、こちらは地域の日本語教室が中心でボランティアの比率が高い領域です。
収入を前提に働き先を考えるなら、法務省告示機関や大学等機関が対象になります。
なお認定日本語教育機関で日本語教育課程を担当するには登録日本語教員の資格が必要です。
資格を取ることで応募できる求人の範囲が変わる、という意味での効果があります。
年代の分布は50代以上に偏っている
年代別の内訳です。
| 年代 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 60代 | 10,906人 | 21.7% |
| 50代 | 9,710人 | 19.3% |
| 70代以上 | 7,388人 | 14.7% |
| 40代 | 6,713人 | 13.3% |
| 30代 | 3,554人 | 7.1% |
| 20代 | 2,895人 | 5.8% |
| 10代 | 462人 | 0.9% |
| 不明 | 8,681人 | 17.3% |
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50代以上で55.7%を占めます。
ただし常勤6,847人の内訳を見ると、40代1,672人・50代1,676人・30代1,361人が中心で、60代は935人です。
全体の年代分布が高いのはボランティアに60代・70代以上が多いためで、常勤の分布は別の形をしています。
常勤が13.6%という構造のなかでは、資格の有無が働き方の選択肢を広げます。
資格取得の手段は日本語教師になるための講座から選べます。
日本語教師の年収を左右する4つの要素
公的な平均値はありませんが、収入が何で決まるかは整理できます。
要素1:常勤か非常勤か
最も大きい要素です。
常勤は月給または年俸で、非常勤は担当コマ数に応じた報酬が基本になります。
非常勤は学期ごとにコマ数が変わるため、年間の収入が安定しにくい形です。
要素2:勤務先の種別
法務省告示機関、大学等機関、地方公共団体、任意団体で運営の仕組みが異なります。
大学等機関は学内の規程に沿った処遇になり、地域の日本語教室は無償のボランティアが前提の場が多くあります。
要素3:担当する業務の範囲
授業だけを担当するのか、カリキュラム編成や進路指導、留学生の生活支援まで担うのかで立場が変わります。
主任教員として日本語教育課程の編成や管理を主たる業務とする立場もあります。
要素4:働く場所と形態
国内の教室勤務、海外の機関での勤務、オンラインでの指導で条件はまったく異なります。
海外勤務は現地の賃金水準と生活費が前提になるため、日本円換算の額だけでは比較できません。
斉藤さやか日本語教師の収入を上げている方は、たいてい「授業だけをしていない」印象があります。主任を引き受ける、教材をつくる、オンラインで自分の生徒を持つといった形で、担当の幅を広げているケースが多いです。
学習経験者138人のうち36.2%はオンライン・在宅を希望している

当サイトを運営するSNSテクノロジーズ株式会社では、日本語教師(登録日本語教員)の資格取得に向けて学習した経験のある138名にアンケートを実施しました。
資格取得・学習後に実現したい働き方についての回答です。
| 実現したい働き方 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| オンライン・在宅で日本語を教える | 50件 | 36.2% |
| 海外で教える | 35件 | 25.4% |
| まだ教える活動はしていない(これから探す) | 23件 | 16.7% |
| 国内の日本語学校・教育機関で教える | 21件 | 15.2% |
| 地域のボランティア等で教える | 9件 | 6.5% |
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※n=138、調査期間2026年7月10日〜7月17日
国内の日本語学校・教育機関で教えたいという回答は15.2%でした。
オンライン・在宅と海外を合わせた61.6%が、日本語学校への就職とは別の働き方を想定していることになります。
なお本調査の有効回答は138名で、資格取得を目指す方全体を代表するものではありません。
回答は自己申告に基づいています。
日本語を教える仕事を収入の面から考える場合、「日本語学校の常勤になる」以外の道筋を前提にしている方が多いという傾向が見えます。
求人を見るときに確認したい項目
条件を読み違えないために、次の点を確認してください。
- 雇用形態(常勤・非常勤・委託)
- 非常勤の場合はコマ給の額と想定される担当コマ数
- 機関の種別(法務省告示機関・認定日本語教育機関・大学・地域の教室など)
- 登録日本語教員の資格が要件になっているか
- 授業以外の業務(教材作成・進路指導・生活支援)の範囲
- 授業準備の時間が報酬に含まれるか
非常勤の求人では、コマ給の額だけでなく担当コマ数の見込みを確認しないと年間の収入が見積もれません。
日本語教師の年収に関するよくある質問
日本語教師の平均年収はいくらですか?
資格単体の平均年収として示せる公的データはありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査に日本語教師という職種区分が設けられていないためです。
日本語教師は常勤で働けますか?
働けますが、人数としては少数です。
文部科学省の日本語教育実態調査(2024年11月1日現在)では、日本語教師等50,309人のうち常勤は6,847人で13.6%でした。
日本語教師の需要は増えていますか?
学習者数は増えています。
日本語学習者数は令和5年度263,170人から令和6年度294,198人へ増加しました。
一方で同じ期間に常勤の教師は7,214人から6,847人へ減っています。
国家資格になって収入は上がりますか?
資格を取れば収入が上がると示す公的データはありません。
ただし認定日本語教育機関で日本語教育課程を担当するには登録日本語教員が必要なため、応募できる求人の範囲が変わります。
海外で教えたほうが稼げますか?
現地の賃金水準と生活費が前提になるため、日本円換算の額だけでは比較できません。
当サイトの調査では、学習経験者138名のうち25.4%が海外で教えることを希望していました。
ボランティアが多いのはなぜですか?
地域の日本語教室が国際交流協会・地方公共団体・任意団体・教育委員会によって運営されており、これらで全体の52.3%を占めているためです。
これらの場は無償の活動が前提になっているところが多くあります。
まとめ|年収より先に「どの雇用形態で働くか」を決める
- 日本語教師の平均年収を示す公的データはない(賃金構造基本統計調査に職種区分がない)
- 国内の日本語教師等50,309人のうち常勤は6,847人で13.6%、ボランティアが53.1%
- 全体は前年から4,052人増えたが、常勤は7,214人から6,847人へ減った
- 日本語学習者は294,198人へ増加し、うち46.3%が法務省告示機関
- 収入を左右するのは雇用形態・勤務先の種別・業務範囲・働く場所の4要素
- 当サイトの調査では学習経験者138人のうち36.2%がオンライン・在宅を希望
- 求人では非常勤のコマ給だけでなく担当コマ数の見込みを確認する
収入の前提が分かったら、次は資格を取る道筋です。
日本語教師の国家資格「登録日本語教員」とはで資格の取り方を確認できます。
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出典一覧
- 文部科学省「日本語教育実態調査令和6年度報告」
- ママキャン資格部(SNSテクノロジーズ株式会社)「日本語教師(登録日本語教員)資格取得の学習経験に関するアンケート」(n=138)


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