司法書士の平均年収を示す公的なデータはありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査に、司法書士に対応する職種区分が設けられていないためです。
そのかわり、この資格が法律上どう位置づけられ、何ができるのかははっきり決まっています。
この記事では、独占業務と登録者数の構造を確認したうえで、年収を左右する要素を整理します。
編集部のアドバイス

司法書士の年収を調べると「400万円台」から「1,000万円超」まで幅のある数字が出てきます。これは勤務司法書士と独立開業した司法書士を混ぜているためです。雇われて働くのか自分で事務所を持つのかで収入の作り方がまったく変わるので、まずどちらを想定しているかを決めてから数字を見てください。
司法書士の年収に公的な平均値はない
資格単体の平均年収として示せる公的データはありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には職種別の賃金データがありe-Statで公開されていますが、司法書士という職種区分は設けられていません。
そのため「司法書士の平均年収は○○万円」として流通している数字は、民間の調査や求人情報の集計です。
対象や集計方法が調査ごとに違うため、額そのものを比べても実態はつかめません。
かわりに確認すべきなのは、この資格がどういう仕組みで成り立っているかです。
法律で定められた業務は6つ

司法書士法第3条第1項が列挙する業務です。
| 号 | 業務 |
|---|---|
| 一 | 登記又は供託に関する手続について代理すること |
| 二 | 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること |
| 三 | 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること |
| 四 | 裁判所若しくは検察庁に提出する書類、筆界特定の手続において法務局等に提出する書類を作成すること |
| 五 | 前各号の事務について相談に応ずること |
| 六 | 簡易裁判所における一定の手続について代理すること |
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中心になるのは第1号の登記手続の代理です。
不動産の売買や相続、会社の設立や役員変更といった場面で発生します。
無資格者はこの業務を行えない
司法書士法第73条第1項は、司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者は、第3条第1項第1号から第5号の業務を行ってはならないと定めています。
違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます(同法第78条第1項)。
また第73条第3項により、司法書士でない者は司法書士またはこれに紛らわしい名称を用いてはならないとされています。
業務と名称の両方が法律で守られている構造です。
斉藤さやか資格手当や採用条件の前提にあるのがこの規定です。事務所側から見ると有資格者は「いないと登記業務ができない人員」なので、資格保有が募集要件になっているケースが多くあります。
司法書士は全国に23,505人

登録者数から市場の規模を確認します。
| 項目 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 全国の会員数 | 23,505人 | 100% |
| 男性 | 18,689人 | 約80% |
| 女性 | 4,816人 | 約20% |
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全国で23,505人です。
令和7年度の合格者は751人でしたので、会員数の3.2%にあたる人数が毎年加わっている計算になります。
参考として、令和7年度合格者の男女比は男70.3%・女29.7%でした。
会員全体の男女比(約80%対20%)と比べると、新しく入る層では女性の比率が高くなっています。
合格者は都市部に集中している

働く場所を考える材料として、受験地別の合格者分布を見ておきます。
| 受験地 | 令和7年度 合格者数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 東京 | 178人 | 23.7% |
| 大阪 | 85人 | 11.3% |
| 横浜 | 84人 | 11.2% |
| 名古屋 | 69人 | 9.2% |
| 福岡 | 50人 | 6.7% |
| さいたま | 47人 | 6.3% |
| 神戸 | 42人 | 5.6% |
| 京都 | 38人 | 5.1% |
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※割合は編集部が算出
東京・横浜・さいたま・千葉の首都圏4か所で342人となり、全体の45.5%を占めます。
このほか仙台30人、広島27人、高松24人、札幌18人、静岡17人、那覇9人で合計751人です。
登記の件数は不動産取引や会社設立の多い地域ほど多くなるため、この分布は仕事量の分布ともある程度対応します。
収入の話は、資格を取ったあとに初めて意味を持ちます。
合格までにかかる費用は司法書士講座の費用とサポートで把握できます。
年収を左右する4つの要素
公的な平均値はありませんが、収入が何で決まるかは整理できます。
要素1:勤務か独立開業か
最も大きい要素です。
司法書士事務所や司法書士法人に雇われる場合は、給与規程に沿った月給になります。
独立開業した場合は、受任した案件の報酬から経費を引いた額が収入です。
司法書士の報酬は自由化されており、事務所ごとに定めています。
要素2:扱う業務の種類
第3条の業務のうち、どこを主力にするかで単価と件数が変わります。
| 業務 | 特徴 |
|---|---|
| 不動産登記 | 売買・相続・抵当権設定など。件数が多く事務所の基盤になりやすい |
| 商業登記 | 会社設立・役員変更など。法人顧客との継続取引になりやすい |
| 簡易裁判所の訴訟代理 | 一定額以下の民事事件。認定を受けた司法書士が行う |
| 裁判所提出書類の作成 | 相続放棄や後見申立てなど |
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要素3:簡裁訴訟代理の有無
司法書士法第3条第1項第6号の簡易裁判所における代理は、訴訟の目的の価額が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないものが対象です。
上訴の提起、再審、強制執行に関する事項については代理できません。
この業務を扱えるかどうかで、受任できる案件の幅が変わります。
要素4:地域と事務所の規模
不動産取引や会社設立の件数は地域によって差があります。
合格者の45.5%が首都圏に集中していることからも、案件の分布に偏りがあることがうかがえます。
資格を使うには司法書士会への入会が必要
年収の話をする前提として、合格しただけでは業務ができません。
| 段階 | 必要なこと |
|---|---|
| 試験合格 | 司法書士試験に合格する(令和7年度の合格率5.2%) |
| 登録・入会 | 司法書士会に入会している司法書士でなければ第3条第1項第1号から第5号の業務を行えない |
| 欠格事由 | 未成年者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者等は登録できない |
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司法書士会への入会には会費がかかります。
独立開業する場合は、これに事務所の賃料や設備費が加わります。
合格者の平均年齢は42.05歳
キャリアの入り方を示すデータです。
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| 平均年齢 | 42.05歳 |
| 最低年齢 | 17歳(1人) |
| 最高年齢 | 74歳(1人) |
| 合格者数 | 751人 |
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平均年齢42.05歳は、新卒で取る資格というより社会人が転身のために取る資格の分布です。
受験資格に制限がないため、前職の経験を活かして特定分野に強い事務所をつくるという入り方もあります。
斉藤さやか42歳が平均というのは、他業種からの転身が多いということです。不動産業界や金融機関の出身者が、その人脈と知識を活かして開業するというルートは実際によく聞きます。
求人を見るときに確認したい項目
条件を読み違えないために、次の点を確認してください。
- 勤務形態(司法書士法人の社員か、使用人か)
- 資格手当の有無と金額(基本給に含まれていないか)
- 担当する業務(不動産登記中心か、商業登記中心か)
- 簡裁訴訟代理を扱うかどうか
- 司法書士会の会費を事務所が負担するか
- 補助者からのスタートか、有資格者としての採用か
司法書士会の会費を事務所が負担するかどうかは、実質的な手取りに効いてきます。
司法書士の年収に関するよくある質問
司法書士の平均年収はいくらですか?
資格単体の平均年収として示せる公的データはありません。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査に、司法書士に対応する職種区分が設けられていないためです。
司法書士の独占業務は何ですか?
司法書士法第3条第1項第1号から第5号の業務です。
司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者がこれらを行うと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。
司法書士は何人いますか?
全国で23,505人です(2026年4月1日現在)。
内訳は男性18,689人(約80%)、女性4,816人(約20%)です。
独立と勤務ではどちらが収入が高いですか?
公的なデータがないため比較できません。
勤務は事務所の給与規程、独立は受任案件の報酬から経費を引いた額という違いがあります。
資格手当はもらえますか?
勤務先の規程によります。
有資格者であることが応募要件になっている職種では、手当ではなく基本給に織り込まれている場合もあります。
何歳から目指せますか?
試験に年齢制限はありません。
令和7年度は17歳から74歳までの合格者がおり、平均年齢は42.05歳でした。
ただし未成年者は登録の欠格事由にあたります。
まとめ|年収より先に「勤務か独立か」を決める
- 資格単体の平均年収を示す公的データはない
- 業務は司法書士法第3条に6つ列挙され、無資格者が行うと罰則がある
- 司法書士は全国に23,505人(男性約80%・女性約20%)
- 令和7年度の合格者751人は会員数の3.2%にあたる
- 合格者の45.5%が首都圏に集中している
- 年収を左右するのは勤務か独立か・業務の種類・簡裁訴訟代理の有無・地域の4要素
- 業務を行うには司法書士会への入会が必要で、会費もかかる
働き方のイメージがついたら、次は資格の取り方です。
司法書士になるにはで2つのルートを確認できます。
難易度は司法書士試験の難易度にまとめています。
行政書士と迷っている方は司法書士と行政書士の違いをご覧ください。


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