販売士1級の合格率は、ネット試験になってから19.0%です。
同じ期間の2級は54.1%なので、35.1ポイントも下がります。
ただし、1級が難しい本当の理由は合格率ではありません。
3級と2級の合格基準が「平均70点以上かつ1科目ごと50点以上」なのに対し、1級だけは「各科目70点以上」です。
平均では判定されず、5科目すべてで70点を取らなければ合格になりません。
さらに1級だけ記述式の問題が出ます。
この記事では、販売士1級の難しさがどこから来るのかを公式の制度で確認します。
編集部のアドバイス

販売士1級は5科目すべてで70点を取る試験なので、1科目でも取りこぼすとその回は落ちます。ただし70点以上を取った科目は「科目合格」として翌年度末まで持ち越せます。1回で決めるのではなく、2回に分けて全科目を埋める前提で計画したほうが現実的です。
販売士1級の合格率は19.0%で2級から35ポイント落ちる

日本商工会議所が公表している1級のネット試験データです。
| 期間 | 実受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2021.7.28〜2022.3.31 | 795人 | 137人 | 17.2% |
| 2022年度 | 1,033人 | 218人 | 21.1% |
| 2023年度 | 1,091人 | 222人 | 20.3% |
| 2024年度 | 1,010人 | 184人 | 18.2% |
| 2025年度 | 1,297人 | 222人 | 17.1% |
| 2026年度4〜6月 | 239人 | 54人 | 22.6% |
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合計すると実受験者5,465人・合格者1,037人で、合格率は19.0%です(当サイトで算出)。
年度別では17.1%から22.6%で、一貫して2割前後です。
3級・2級と並べると段差の位置が見えます。
| 級 | 合格率 | 前の級からの差 |
|---|---|---|
| 3級 | 58.3% | ― |
| 2級 | 54.1% | -4.2ポイント |
| 1級 | 19.0% | -35.1ポイント |
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※合計と差は当サイトで算出
3級から2級はほぼ横ばいで、2級から1級で一気に落ちます。
受験者数も同じ形をしています。
同じ期間の実受験者は3級43,777人、2級30,772人に対し、1級は5,465人です。
2級の6分の1以下しか受けていません。
最後の統一試験(2021年2月の第87回)の1級合格率は25.0%でした。
ネット試験移行後の19.0%とは6.0ポイントの差があります。
3級が13.1ポイント、2級が19.3ポイント下がっているのと比べると、1級の下げ幅は小さめです。
斉藤さやか1級は「受ける人が絞られている試験」です。受験者5,465人のなかにはすでに2級を持ち、実務で管理職をしている人が多くいます。そのうえで2割しか受からないと考えると、合格率の数字の重さが変わってきます。
販売士1級の難易度は合格基準が別物であることに尽きる

級ごとの合格基準を並べると、1級だけ形が違います。
| 級 | 合格基準 |
|---|---|
| 3級 | 平均の得点が70点以上で、1科目ごとの得点が50点以上 |
| 2級 | 平均の得点が70点以上で、1科目ごとの得点が50点以上 |
| 1級 | 各科目70点以上 |
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3級と2級には「平均」という逃げ道があります。
得意科目で90点を取れば、苦手科目が55点でも平均でカバーできます。
1級にはその逃げ道がありません。
5科目すべてで70点というのは、どこか1つでも仕上がっていなければ落ちるということです。
日本商工会議所はこの基準について「2021年度から変更」と注記しています。
もう1つの違いが出題形式です。
| 級 | 出題形式(1科目あたり) |
|---|---|
| 3級 | 択一式正誤問題10問+択一式穴埋問題10問 |
| 2級 | 択一式正誤問題10問+択一式穴埋問題10問 |
| 1級 | 記述式穴埋問題10問+択一式穴埋問題10問 |
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1級では半分が記述式になります。
日本商工会議所は記述式穴埋問題について「問題文中の空欄に、最も適当な語句・短文を入力していただく形式」と説明しています。
選択肢から選ぶのではなく、自分で書きます。
用語を「見れば分かる」レベルで覚えていても通用しません。
択一式なら選択肢が記憶を呼び起こしてくれますが、記述式にその助けはありません。
試験時間は90分で、5科目合計100問です。
3級の60分、2級の70分より長いですが、記述が入るぶん時間の余裕は変わりません。
販売士1級の科目合格は落ちた回も無駄にしない仕組み

各科目70点という厳しい基準とセットで、1級には救済制度があります。
科目合格制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 1級のみ |
| 内容 | 不合格でも70点以上を取得した科目は科目合格が適用される |
| 有効期限 | 科目合格をした受験日の属する年度の翌年度末まで |
| 試験時間 | 科目合格者も5科目受験者と同様に90分 |
| 受験料 | 全科目受験と同じ |
| 手続き | 試験申込時に合格済み科目のスコアレポート画像をマイページから登録 |
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たとえば2026年9月に受験して「マーケティング」で70点以上を取れば、その回が不合格でも2028年3月末まで科目合格が適用されます。
期間内なら何度受験してもその科目は持ち越されます。
複数回に分けて受ける場合、証書の管理が要ります。
1回目で小売業の類型、2回目でマーチャンダイジングを科目合格した場合、3回目の申込には1回目と2回目の両方の証書が必要です。
ここで混同しやすいのが、3級・2級の「科目免除」との違いです。
| 制度 | 対象級 | 仕組み |
|---|---|---|
| 科目免除 | 3級・2級 | 養成講習会や養成通信教育講座の修了で「販売・経営管理」が免除される |
| 科目合格 | 1級 | 試験で70点以上を取った科目が次回以降に持ち越される |
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1級に科目免除制度はありません。
講座を修了しても試験科目が減ることはなく、5科目すべてを自力で70点まで持っていく必要があります。
1級には養成講習会そのものが設定されていません。
公式ハンドブックだけでは埋まらない部分が残ります。
1級に対応した講座は販売士1級に対応した講座で確認できます。
販売士1級の公式テキストは出題の7割しかカバーしない
学習材料の面でも1級は条件が違います。
| 級 | 公式テキスト | ハンドブックからの出題比率 |
|---|---|---|
| 3級 | 販売士ハンドブック(基礎編) | 90%以上 |
| 2級 | 販売士ハンドブック(応用編) | 80%以上 |
| 1級 | 販売士検定試験ハンドブック(1級編) | 70%以上 |
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3級は公式テキストを潰せば9割以上をカバーできます。
1級は3割がテキストの外から出ます。
各科目70点という基準と組み合わせると、この3割が効いてきます。
テキストを完璧にしても理論上の上限が見えている状態で、70点を5科目そろえることになります。
学習方法の選択肢も1級だけ少なくなります。
| 級 | 日本商工会議所が案内する学習方法 |
|---|---|
| 3級 | ハンドブックによる独学/養成講習会/指定通信教育講座/指定外の講座 |
| 2級 | ハンドブックによる独学/養成講習会/指定通信教育講座/指定外の講座 |
| 1級 | ハンドブックによる独学/指定の通信教育講座 |
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さらに日本商工会議所が1級の指定教育機関として挙げているのは1団体だけです。
| 級 | 日本商工会議所が指定する通信教育機関 |
|---|---|
| 3級 | 日本販売士協会/公開経営指導協会 |
| 2級 | 日本販売士協会/公開経営指導協会 |
| 1級 | 公開経営指導協会 |
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斉藤さやか1級を独学で狙う場合、テキストの外の3割をどう埋めるかが分かれ目になります。実務で経営数値を見ている人ならそこが強みになりますし、売場の経験しかないなら財務まわりで70点を割りがちです。自分がどの科目で70点を切りそうかを先に見極めるほうが早いです。
販売士1級の受験料は8,800円で3級の倍
費用も級によって変わります。
| 費目 | 3級 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|---|
| 受験料(税込) | 4,400円 | 6,600円 | 8,800円 |
| 事務手数料(税込) | 550円 | 550円 | 550円 |
| 合計 | 4,950円 | 7,150円 | 9,350円 |
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※合計は当サイトで算出
1級は9,350円です。
科目合格を使って2回に分けた場合、受験料は全科目受験と同じなのでもう一度9,350円かかります。
2回で合格した場合の総額は18,700円という計算になります。
3級を4,950円で受けてから段階的に上がってきた人にとっては、1回あたりの負担がはっきり重くなる水準です。
受験資格はありません。
日本商工会議所は「どの級からでも受験できます」と明記しており、2級を持っていなくても1級から受けられます。
合格後は5年ごとの資格更新が必要です。
販売士1級の難易度に関するよくある質問
販売士1級の合格率は何%ですか
ネット試験になった2021年7月28日から2026年6月30日までの合計で19.0%です。
実受験者5,465人に対して合格者1,037人でした(当サイトで算出)。
年度別では17.1%から22.6%の範囲で推移しています。
販売士1級は何点取れば合格ですか
各科目70点以上です。
3級・2級のような平均点での判定はなく、5科目すべてで70点を取る必要があります。
1科目でも70点を下回るとその回は不合格になります。
販売士1級に落ちたら次はまた5科目受け直しですか
不合格でも70点以上を取った科目は「科目合格」となり、その受験日の属する年度の翌年度末まで持ち越せます。
ただし受験料は全科目受験と同じ8,800円で、試験時間も90分のまま変わりません。
販売士1級は記述式ですか
半分が記述式です。
1科目あたり記述式穴埋問題が10問、択一式穴埋問題が10問で、5科目合計100問という構成です。
3級と2級はどちらも択一式のみで、記述はありません。
販売士1級はいきなり受けられますか
受けられます。
日本商工会議所は「どの級からでも受験できます」と明記しています。
ただし実受験者は2021年7月28日から2026年6月30日までで5,465人と、2級の30,772人に比べて大幅に少なくなっています。
まとめ|販売士1級の壁は合格率ではなく各科目70点
- ネット試験移行後(2021.7.28〜2026.6.30)の1級合格率は19.0%
- 実受験者5,465人に対し合格者は1,037人
- 3級58.3%・2級54.1%に対し、2級から1級で35.1ポイント落ちる
- 年度別では17.1%から22.6%で、一貫して2割前後
- 合格基準は1級だけ「各科目70点以上」で、平均での判定がない
- 3級・2級にある「1科目50点以上」という下限方式とは考え方が違う
- 出題は1科目あたり記述式穴埋10問+択一式穴埋10問で、半分が記述式
- 記述式は空欄に語句や短文を自分で入力する形式
- 試験時間は90分で、3級の60分・2級の70分より長い
- 70点以上を取った科目は科目合格として翌年度末まで持ち越せる
- 科目合格を使っても受験料は全科目受験と同じ8,800円
- 1級に科目免除制度はなく、養成講習会も設定されていない
- 公式ハンドブック(1級編)からの出題は70%以上で、3割はテキスト外
- 日本商工会議所が指定する1級の通信教育機関は公開経営指導協会のみ
- 受験料8,800円と事務手数料550円で合計9,350円
- 受験資格はなく、2級を持っていなくても1級から受けられる
3級の合格基準と科目免除は販売士3級の難易度と合格率で整理しています。
2級との比較は販売士2級の難易度と合格率で確認できます。
1級に対応した講座は販売士の通信講座おすすめ比較でまとめています。


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