社会福祉士とは、福祉に関する相談援助を業とする国家資格です。
法律で定義され、名称を使うことが制限されています。
ただし相談援助の仕事そのものを独占しているわけではありません。
試験に合格しただけでも名乗れず、登録という手続きが必要です。
この記事では社会福祉士及び介護福祉士法の条文と公式データで、この資格の輪郭を確認します。
編集部のアドバイス

社会福祉士は「名称独占」の資格です。医師や弁護士のように資格がないとできない仕事があるタイプではありません。そのぶん採用の入口は広く、資格がなくても同じ職種に就けます。この構造を知っておくと、取る意味をどこに置くかがはっきりします。
社会福祉士とは法律で定義された相談援助の専門職
定義は社会福祉士及び介護福祉士法第2条第1項にあります。
「この法律において『社会福祉士』とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう」
条文を分解すると、次の4つが要素になります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 登録を受けていること | 第28条の登録が定義に組み込まれている |
| 名称を用いること | 社会福祉士の名称を用いて行う |
| 対象 | 身体上・精神上の障害、または環境上の理由で日常生活に支障がある者 |
| 行為 | 相談に応じ、助言、指導、関係者との連絡及び調整その他の援助 |
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この一連の行為を、法律は「相談援助」と呼んでいます。
注目したいのは、定義の冒頭に登録が入っていることです。
登録を受けていない人は、条文上そもそも社会福祉士に当たりません。
社会福祉士とは名称独占であって業務独占ではない

よく誤解される部分です。
法第48条第1項はこう定めています。
「社会福祉士でない者は、社会福祉士という名称を使用してはならない」
禁じられているのは名称の使用だけです。
相談援助の業務を社会福祉士だけができる、とは書かれていません。
比較すると違いがはっきりします。
| 種類 | 内容 | 社会福祉士の場合 |
|---|---|---|
| 業務独占 | その資格がないと特定の業務ができない | 該当しない |
| 名称独占 | その資格がないと特定の名称を使えない | 該当する |
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罰則もあります。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第53条 | 第48条第1項に違反した者などは30万円以下の罰金 |
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名乗ることには罰則がかかりますが、仕事をすること自体は制限されません。
同じ相談員の仕事に、資格を持たない人も就いています。
斉藤さやか「名称独占だから価値がない」という言い方を見かけます。ただし現場では、配置基準や加算の要件で有資格者が求められる場面があります。法律が業務を独占していないことと、職場が資格を求めないことは別の話です。
社会福祉士になるには合格のあとに登録が必要
試験に受かるだけでは終わりません。
段階を整理します。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 法第7条の12号のいずれかに該当して受験資格を得る | 第7条 |
| 2 | 社会福祉士試験に合格する | 第5条 |
| 3 | 合格により「社会福祉士となる資格」を有する | 第4条 |
| 4 | 社会福祉士登録簿に登録を受ける | 第28条 |
| 5 | 社会福祉士の名称を使用できる | 第2条・第48条 |
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第4条は「社会福祉士試験に合格した者は、社会福祉士となる資格を有する」と定めています。
「社会福祉士となる資格」であって、「社会福祉士」ではありません。
そこから第28条の登録に進みます。
「社会福祉士となる資格を有する者が社会福祉士となるには、社会福祉士登録簿に、氏名、生年月日その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない」
試験センターも「登録をしなければ、『社会福祉士』の名称を用いることはできません」と明記しています。
社会福祉士登録簿は厚生労働省に備えられます(第29条)。
登録の実務は、厚生労働大臣が指定した社会福祉振興・試験センターが行っています。
登録できない場合がある
法第3条に欠格事由があります。
| 欠格事由 |
|---|
| 心身の故障により業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの |
| 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わり等から2年を経過しない者 |
| この法律その他社会福祉・保健医療に関する法律の規定により罰金の刑に処せられ、執行を終わり等から2年を経過しない者 |
| 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者 |
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登録後も、法第45条や第46条に違反すれば取消しや名称使用停止の対象になります(第32条第2項)。
名称独占の資格である以上、取得して登録するまでが出発点になります。
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社会福祉士の登録者は321,884人いる

規模を数字で押さえます。
| 項目 | 人数 |
|---|---|
| 社会福祉士登録者(令和8年1月末現在) | 321,884人 |
| 第1回〜第38回の累計合格者 | 342,045人 |
| 第1回〜第38回の累計受験者 | 1,106,334人 |
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累計合格者342,045人に対し、登録者は321,884人です。
差は2万人ほどあります。
登録が任意の手続きであることが、この差に表れています。
毎年の合格者は次のように推移しています。
| 回 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第34回 | 34,563人 | 10,742人 | 31.1% |
| 第35回 | 36,974人 | 16,338人 | 44.2% |
| 第36回 | 34,539人 | 20,050人 | 58.1% |
| 第37回 | 27,616人 | 15,561人 | 56.3% |
| 第38回 | 25,430人 | 15,438人 | 60.7% |
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直近は毎年1万5千人前後が新たに合格しています。
一方で受験者は減少しており、第38回の25,430人は過去最多だった第21回46,099人から44.8%減です。
斉藤さやか合格者と登録者の差が2万人あるのは、登録が任意の手続きだからです。合格証書は届きますが、それだけでは名乗れません。就職の時期と登録の時期がずれる人もいるので、内定先から求められたら早めに手続きしてください。
社会福祉士には5つの義務が法律で課されている

名称独占の資格ですが、義務規定は明確に置かれています。
| 条文 | 義務 | 内容 |
|---|---|---|
| 第44条の2 | 誠実義務 | 担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って誠実に業務を行う |
| 第45条 | 信用失墜行為の禁止 | 社会福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない |
| 第46条 | 秘密保持義務 | 正当な理由がなく、業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士でなくなった後も同様 |
| 第47条第1項 | 連携 | 地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない |
| 第47条の2 | 資質向上の責務 | 環境の変化による業務内容の変化に適応するため、相談援助に関する知識及び技能の向上に努める |
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秘密保持義務は資格を離れた後も続きます。
第45条と第46条に違反した場合、厚生労働大臣は登録を取り消すか、期間を定めて名称の使用を停止できます。
名称使用停止の期間中に名称を使えば、30万円以下の罰金の対象になります(第53条)。
第47条の「地域に即した創意と工夫を行いつつ」という表現は、他の資格の連携規定にはあまり見られません。
地域ごとに使える資源が違う前提が、条文に書き込まれています。
社会福祉士の8割弱は福祉・介護・医療の分野で働いている
実際にどこで働いているかは、公式調査でわかります。
| 現在の就業状況 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 福祉・介護・医療の分野で仕事をしている | 77,576人 | 77.36% |
| 資格者を養成する高校・専門学校・大学等で仕事をしている | 1,234人 | 1.23% |
| 福祉・介護・医療以外の分野で仕事をしている | 9,439人 | 9.41% |
| 仕事をしていない | 10,778人 | 10.75% |
| 無回答 | 1,254人 | 1.25% |
| 合計 | 100,281人 | 100% |
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回答者は10万人を超えます。
77.36%が福祉・介護・医療の分野で働いています。
一方で9.41%は他分野、10.75%は仕事をしていません。
登録者の2割弱は、資格と直接つながらない状況にあるということです。
年収の平均は403.1万円でした(福祉・介護・医療分野で働く77,576人の令和元年の年収)。
社会福祉士と精神保健福祉士は試験科目が重なっている
関連資格との関係も条文と制度に表れています。
社会福祉士国家試験の19科目のうち、12科目は精神保健福祉士国家試験との共通科目です。
| 区分 | 科目数 | 内容 |
|---|---|---|
| 共通科目 | 12科目 | 医学概論/心理学と心理的支援/社会学と社会システム/社会福祉の原理と政策/社会保障/権利擁護を支える法制度/地域福祉と包括的支援体制/障害者福祉/刑事司法と福祉/ソーシャルワークの基盤と専門職/ソーシャルワークの理論と方法/社会福祉調査の基礎 |
| 専門科目 | 7科目 | 高齢者福祉/児童・家庭福祉/貧困に対する支援/保健医療と福祉/ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)/ソーシャルワークの理論と方法(専門)/福祉サービスの組織と経営 |
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精神保健福祉士として登録を受けている人は、申請により共通科目12科目の免除を受けられます。
根拠は社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第5条の2です。
免除を受けた場合の配点は45点満点になります。
両方を同時に受験することもできます。
その場合は2日間にわたる受験になり、共通する7試験地で実施されます。
社会福祉士とはに関するよくある質問
社会福祉士とはどんな資格ですか?
社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格で、福祉に関する相談に応じ、助言・指導・関係者との連絡調整などの援助を業とします。
登録を受けて名称を用いることが定義に含まれています。
社会福祉士は業務独占ですか?
名称独占です。
社会福祉士でない者が名称を使うことは禁じられていますが、相談援助の業務自体は独占されていません。
合格すれば社会福祉士ですか?
違います。
合格により「社会福祉士となる資格」を得たうえで、社会福祉士登録簿への登録が必要です(法第28条)。
社会福祉士は何人いますか?
登録者は321,884人です(令和8年1月末現在)。
第1回から第38回までの累計合格者は342,045人です。
社会福祉士にはどんな義務がありますか?
誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携、資質向上の責務の5つが法律に定められています。
秘密保持義務は資格を離れた後も続きます。
名称を無断で使うとどうなりますか?
30万円以下の罰金の対象になります(法第53条)。
精神保健福祉士との違いは何ですか?
試験科目19科目のうち12科目が共通です。
精神保健福祉士として登録している人は、申請により共通科目12科目の免除を受けられます。
社会福祉士はどこで働いていますか?
公式調査では77.36%が福祉・介護・医療の分野で働いています。
9.41%は他分野、10.75%は仕事をしていないと答えています。
まとめ|社会福祉士とは登録して初めて名乗れる名称独占資格
- 定義は社会福祉士及び介護福祉士法第2条第1項にあり、登録が定義に組み込まれている
- 業務は相談に応じ、助言・指導・関係者との連絡調整その他の援助を行うこと
- 名称独占であって業務独占ではない(第48条)
- 名称を無断で使えば30万円以下の罰金(第53条)
- 合格で得られるのは「社会福祉士となる資格」で、登録を経て名称を使える(第4条・第28条)
- 登録者は321,884人(令和8年1月末現在)、累計合格者は342,045人
- 誠実義務・信用失墜行為の禁止・秘密保持義務・連携・資質向上の5つの義務がある
- 秘密保持義務は資格を離れた後も続く
- 登録者の77.36%が福祉・介護・医療の分野で働いている
- 試験19科目のうち12科目は精神保健福祉士との共通科目
受験資格は社会福祉士の受験資格にまとめています。
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