一級建築士の勉強時間は「1,000時間」「1,500時間」と紹介されることが多いのですが、どれも公的な根拠はありません。
試験を実施する建築技術教育普及センターも国土交通省も、標準的な学習時間を公表していないからです。
代わりに公表されているのは、科目ごとの配点と合格基準点です。
この記事では、時間ではなく得点から学科の学習計画を逆算する考え方を整理します。
編集部のアドバイス

一級建築士の学科は5科目それぞれに足切りがあり、さらに総得点の基準もあります。つまり満たすべき条件が6つあります。得意科目で稼いで苦手を捨てる戦い方ができないので、まず全科目を基準点まで乗せる計画を立ててから、上積みをどこで作るかを決めてください。
一級建築士の勉強時間に公的な目安はない
センターと国土交通省が公表しているものを整理します。
| 公表されているもの | 公表されていないもの |
|---|---|
| 科目ごとの出題数と満点 | 標準的な学習時間 |
| 年ごとの合格基準点 | 推奨する教材 |
| 合格率と受験者数の推移 | 合格者の平均学習期間 |
| 合格者の年齢・職域の構成比 | 学習方法の指針 |
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「◯◯時間」という数字は、講座事業者の標準受講期間か、合格者の体験を集めたものです。
建築系の学校を出ている人と、二級建築士から進む人では前提知識が違うため、同じ時間でも到達点は変わります。
斉藤さやか受験資格の時点で指定科目を修めているか二級建築士を持っているかなので、全員が建築の基礎を通っています。それでも合格率が1割前後ということは、基礎があるうえで積み上げる量が多い試験だということです。
学科は5科目125点満点で構成される

まず配点を押さえます。
| 科目 | 出題数 | 満点 |
|---|---|---|
| 学科Ⅰ(計画) | 20問 | 20点 |
| 学科Ⅱ(環境・設備) | 20問 | 20点 |
| 学科Ⅲ(法規) | 30問 | 30点 |
| 学科Ⅳ(構造) | 30問 | 30点 |
| 学科Ⅴ(施工) | 25問 | 25点 |
| 合計 | 125問 | 125点 |
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各問題が1点です。
配点が大きいのは法規と構造で、それぞれ30点ずつあります。
この2科目だけで60点となり、125点満点の48.0%を占めます。
計画と環境・設備は各20点、施工は25点です。
令和8年の合格基準点
同じ年の基準点です。
| 科目 | 満点 | 合格基準点 | 必要な得点率 |
|---|---|---|---|
| 学科Ⅰ(計画) | 20点 | 11点 | 55.0% |
| 学科Ⅱ(環境・設備) | 20点 | 11点 | 55.0% |
| 学科Ⅲ(法規) | 30点 | 16点 | 53.3% |
| 学科Ⅳ(構造) | 30点 | 16点 | 53.3% |
| 学科Ⅴ(施工) | 25点 | 13点 | 52.0% |
| 総得点 | 125点 | 94点 | 75.2% |
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※得点率は当サイトで算出
科目ごとの基準はいずれも5割台です。
一方で総得点の基準は75.2%と大きく上がります。
ここが計画を立てるうえでの核心です。
科目基準だけ満たしても合格には届かない

各科目の基準点をぎりぎりで通過した場合を計算してみます。
| 科目 | 基準点 |
|---|---|
| 学科Ⅰ | 11点 |
| 学科Ⅱ | 11点 |
| 学科Ⅲ | 16点 |
| 学科Ⅳ | 16点 |
| 学科Ⅴ | 13点 |
| 合計 | 67点 |
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※合計は当サイトで算出
5科目の基準点を足しても67点にしかなりません。
総得点の基準は94点なので、27点足りません。
つまり全科目で足切りを超えたうえで、さらに27点分をどこかで上積みする必要があります。
科目の足切りは「最低ライン」であって、合格ラインではないということです。
斉藤さやか「6割で受かる試験」と説明されることがありますが、令和8年の総得点基準は75.2%でした。科目の足切りが5割台なので6割という印象になりやすいのですが、合格ラインはもっと上です。
27点をどこで作るかが学習計画になる
上積みの置き方には考え方があります。
| 科目 | 満点 | 基準点 | 上積みできる余地 |
|---|---|---|---|
| 学科Ⅲ(法規) | 30点 | 16点 | 14点 |
| 学科Ⅳ(構造) | 30点 | 16点 | 14点 |
| 学科Ⅴ(施工) | 25点 | 13点 | 12点 |
| 学科Ⅰ(計画) | 20点 | 11点 | 9点 |
| 学科Ⅱ(環境・設備) | 20点 | 11点 | 9点 |
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※余地は当サイトで算出
上積みの余地が大きいのは法規と構造で、それぞれ14点あります。
配点の大きい科目に時間を寄せるのが合理的だという結論になります。
ただし計画と環境・設備を捨てると足切りに引っかかるため、全科目に最低限の時間は必要です。
公的な目安がない以上、学習量の設計は自分で決めることになります。
独学で組み立てるのが難しいと感じたら一級建築士講座のカリキュラム比較に講義時間と教材の量が出ています。
合格基準点は毎年変わるので余裕を持たせる

計画を立てるうえで注意したいのが、基準点が固定されていない点です。
国土交通省は令和8年の基準点について、次のように説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 想定していた水準 | 各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度 |
| 実際の基準点 | 総得点94点 |
| 理由 | 総じて難度が低かったことから |
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問題が易しい年は基準点が上がります。
90点を目標に置いていた人が、94点の基準に届かず不合格になることが起こりうるということです。
そのため目標は基準の想定より上に置く必要があります。
各科目を過半で止めず、余地の大きい法規と構造で稼いでおく設計が現実的です。
学科に受かっても製図が残っている
学科はこの試験の前半にすぎません。
| 段階 | 令和8年の実施日 | 直近5年の合格率 |
|---|---|---|
| 学科の試験 | 令和8年7月26日 | 15.2%〜23.3%(令和8年は26.2%) |
| 設計製図の試験 | 令和8年10月11日 | 26.6%〜35.9% |
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学科の合格発表は9月2日で、設計製図の試験は10月11日です。
発表を待ってから製図を始めると、1か月余りしかありません。
製図の課題は7月24日頃に公表されるため、学科の直後から製図へ移る前提で年間の計画を組む必要があります。
製図の詳細は一級建築士の設計製図試験にまとめました。
一級建築士の勉強時間に関するよくある質問
一級建築士の勉強時間はどのくらい必要ですか?
公的な目安はありません。
センターも国土交通省も標準学習時間を公表していないため、期間を示した数字は講座事業者や合格者の体験によるものです。
何点を目標にすればよいですか?
令和8年の総得点基準は125点満点の94点でした。
基準点は毎年変わるため、想定より上に目標を置く必要があります。
どの科目に時間をかけるべきですか?
配点が大きいのは法規と構造で各30点です。
基準点からの上積み余地もそれぞれ14点と最大になります。
苦手科目を捨てても合格できますか?
できません。
5科目それぞれに合格基準点があり、1つでも下回ると不合格になります。
独学でも合格できますか?
受験資格を満たしていれば独学で受験できます。
ただし学科の後に設計製図があり、図面をまとめる練習は独学だと環境を整えにくい部分です。
学科だけ先に合格しておくことはできますか?
受験申込には「設計製図の試験」のみの受験区分があり、過去の学科合格者はこの区分で申し込めます。
働きながらでも取得できますか?
令和7年の設計製図試験の合格者は、建設業34.9%・建築士事務所29.6%・住宅メーカー14.3%と、実務に就いている人が中心です。
まとめ|一級建築士の勉強時間は得点から逆算する
- 標準学習時間を示した公的データは存在しない
- 学科は5科目125問125点満点で、法規と構造が各30点と最も大きい
- 令和8年の基準点は科目ごとに11〜16点、総得点94点
- 5科目の基準点を足しても67点で、総得点基準に27点足りない
- 上積みの余地が大きいのは法規と構造で各14点
- 基準点は毎年変わり、令和8年は想定の90点程度から94点へ上がった
- 学科合格後、設計製図まで約5週間しかない
- 製図の課題は学科の2日前に公表される
合格率の推移は一級建築士の難易度にまとめています。
講座で対策する場合は一級建築士の通信講座おすすめ6選で比較してください。


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