二級建築士の年収を調べると、さまざまな金額が出てきます。
ただし、公的統計に「二級建築士」という職種区分はなく、資格単体の平均年収として示せる公式データはありません。
二級建築士は職業名ではなく、設計・工事監理を行うための免許だからです。
この記事では、建築士法で定められた仕事の中身と、年収を左右する要素、求人での扱われ方を整理します。
編集部のアドバイス

「二級建築士の平均年収は◯◯万円」という数字の多くは、出所が示されていないか、建築士全体・建築技術者全体の統計を流用したものです。二級建築士は設計事務所・工務店・ハウスメーカー・不動産会社など勤務先の業態が幅広く、年収はその会社と職種で決まります。資格の相場という考え方が当てはまりにくい資格です。
二級建築士の仕事内容は「設計」と「工事監理」
建築士法では、二級建築士を「都道府県知事の免許を受け、二級建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者」と定義しています。
この2つの言葉にも法律上の定義があります。
| 用語 | 建築士法上の定義 |
|---|---|
| 設計 | その者の責任において設計図書(建築工事の実施に必要な図面および仕様書)を作成すること |
| 工事監理 | その者の責任において、工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること |
← 横にスクロールできます →
図面を描くだけでなく、現場が図面どおりに施工されているかを確認するところまでが業務範囲です。
実務では住宅規模の案件が中心になる
二級建築士が扱えるのは、一級建築士の独占領域を除く比較的小規模な建築物です。
木造3階建ての住宅や、延べ面積300平方メートル以下の鉄筋コンクリート造などが該当します。
そのため実務では、戸建住宅・アパート・小規模店舗の設計と工事監理が中心になります。
扱える範囲の詳細は二級建築士ができることの範囲と一級との違いで解説しています。
斉藤さやか「設計=図面を描く仕事」と思って入ってくる方が多いのですが、実務では確認申請の書類づくりや施主との打ち合わせ、現場での確認に時間を取られます。図面を描く時間は思ったより短い、というのは現場でよく聞く話です。
二級建築士が働く場所

免許の使い道は設計事務所だけではありません。
| 勤務先 | 二級建築士の関わり方 |
|---|---|
| 建築設計事務所 | 住宅・小規模建築物の設計と工事監理 |
| 工務店・ハウスメーカー | 住宅の設計、確認申請、現場管理 |
| リフォーム・リノベーション会社 | 改修の設計、既存建物の調査 |
| 不動産会社 | 物件の企画、建築の可否判断 |
| 建材・住宅設備メーカー | 技術営業、設計提案 |
| 官公庁・自治体 | 建築確認、営繕 |
← 横にスクロールできます →
住宅に関わる業態では、二級建築士の範囲と実務がほぼ一致します。
逆に大規模建築物を扱うゼネコンや組織設計事務所では、一級建築士が前提になる職種が多くなります。
建築士事務所の管理建築士になれる
建築士事務所を開設するには、事務所ごとに専任の管理建築士を置く必要があります。
管理建築士になるには、建築士として3年以上の設計その他の業務に従事したうえで、登録講習機関が行う講習の課程を修了する必要があります(建築士法第24条)。
二級建築士でも二級建築士事務所の管理建築士になれるため、独立の道が制度上開かれています。
二級建築士の年収を左右する3つの要素

公的な平均年収がない以上、見るべきは「何が金額を動かすか」です。
要素1:勤務先の業態と規模
同じ二級建築士でも、大手ハウスメーカーの設計職と地域の工務店では給与水準が異なります。
年収は資格ではなく、勤務先の給与テーブルで決まる部分が大きくなります。
要素2:担当できる業務の範囲
確認申請まで一人で通せるか、現場で工事監理ができるか、施主との折衝ができるかによって評価が変わります。
資格を取った直後と、実務を数年こなした後では、同じ免許でも市場価値が違います。
要素3:一級建築士を持っているか
大規模建築物や特定用途の建物は一級建築士でなければ設計できません。
そのため、扱える案件の幅がそのまま年収の上限に影響します。
住宅中心のキャリアなら二級で足りますが、非住宅の大型案件に関わりたい場合は一級が前提になります。
二級建築士の求人はどう出ているか
求人票での二級建築士の扱いは、おおむね次の3パターンです。
- 応募条件として「二級建築士以上」と明記されている(設計職・工事監理職)
- 「二級建築士歓迎」「資格取得支援あり」と優遇条件になっている(工務店・リフォーム会社)
- 資格手当の対象として給与欄に記載されている
建築士事務所として登録するには管理建築士が必要なため、有資格者を確保しておきたい事業者は一定数あります。
一方で、資格だけで応募できる求人は多くありません。
図面の実務経験・使用できるCADソフト・確認申請の経験といった実務要件とセットで見られるのが一般的です。
未経験から二級建築士として転職できるか
二級建築士は、指定科目を修めて卒業していれば実務経験0年でも受験できる場合があります。
ただし、免許登録の段階で実務経験が必要になるケースがあり、求人側も実務経験を見ます。
受験資格の条件は二級建築士の受験資格と指定科目の単位数で確認してください。
免許を取る段階でかかる費用は、後から回収する前提で考えることになります。
二級建築士の通信講座にかかる費用で、料金とサポート内容を確認できます。
年収を上げたいなら「取得後」に何を積むかで決まる
二級建築士は、取得した瞬間に収入が変わる資格ではありません。
変わるのは「任される仕事の範囲」です。
設計・工事監理を自分の名前で行えるようになることで、担当できる案件が増え、その積み重ねが評価につながります。
令和7年の合格率は学科の試験が40.9%、設計製図の試験が46.4%、総合で22.6%でした。
決して簡単ではありませんが、学科に合格すれば翌年以降は学科免除を受けて製図に集中できます。
試験の仕組みは二級建築士の難易度と合格率で解説しています。
学習方法の選び方は二級建築士は独学で合格できる?をご覧ください。
斉藤さやか年収の話をするとき、私はいつも「資格手当がいくらか」より「その資格でどんな案件を任されるようになるか」を見てくださいとお伝えしています。手当は数千円でも、担当が変わると数年後の年収は変わります。
二級建築士の年収・仕事に関するよくある質問
二級建築士の平均年収はいくらですか?
公的統計に「二級建築士」という職種区分はなく、資格単体の平均年収として公表されているデータはありません。
二級建築士は設計事務所・工務店・ハウスメーカー・不動産会社など勤務先の業態が幅広く、年収は職種と会社の給与水準で決まります。
二級建築士の資格手当はもらえますか?
会社の規程によります。
求人票の給与欄に資格手当として明記されている場合もあれば、基本給に含めている会社もあります。
応募前に求人票の記載を確認してください。
二級建築士だけで独立できますか?
できます。
建築士事務所を開設するには管理建築士が必要で、建築士として3年以上の業務経験と登録講習機関の講習修了があれば、二級建築士でも管理建築士になれます。
一級建築士を取ると年収は上がりますか?
扱える建築物の範囲が広がるため、担当できる案件の幅は確実に広がります。
ただし年収そのものは勤務先の給与制度によるため、一級を取れば一律に上がるわけではありません。
女性でも働きやすいですか?
住宅設計やリフォームなど、二級建築士の範囲と重なる分野では在宅対応や時短勤務の求人も見られます。
働き方は会社ごとに異なるため、求人票の勤務条件を個別に確認してください。
まとめ|二級建築士は「免許」であって職業名ではない
- 建築士法上の仕事は設計(設計図書の作成)と工事監理(図面どおりかの確認)
- 実務では戸建住宅・アパート・小規模店舗が中心になる
- 公的統計に二級建築士の平均年収はなく、勤務先の業態と職種で決まる
- 建築士として3年以上の業務経験+講習修了で管理建築士になれる(建築士法第24条)
- 求人は「二級建築士以上」「二級建築士歓迎」「資格手当」の3パターンが中心
- 年収を動かすのは資格そのものより、任される業務の範囲
住宅に関わる仕事を続けるなら、二級建築士は実務に直結する免許です。
まずは受験資格を確認し、学科の突破から計画を立ててください。
二級建築士の通信講座おすすめ8選で、学科・製図の対策講座を比較できます。


コメント