旅行業務取扱管理者には総合・国内・地域限定の3区分があります。
実施団体が区分ごとに違い、試験日も受験料も別です。
そして国内に合格すると、総合で2科目が免除されます。
どちらから受けるかは、この免除の関係で決まります。
この記事では全国旅行業協会と日本旅行業協会の公式情報で、区分の違いを整理します。
編集部のアドバイス

迷ったらまず国内からです。国内に合格すると総合の「業法」と「国内旅行実務」が免除され、残りは約款と海外旅行実務の2科目になります。逆に総合から受けると、国内の範囲も含めて4科目を一度に仕上げることになります。全科目での合格率は国内34.1%、総合11.7%です。
旅行業務取扱管理者は3区分で実施団体が違う

まず区分の整理です。
| 区分 | 取り扱える範囲 | 実施団体 |
|---|---|---|
| 総合旅行業務取扱管理者 | 海外及び国内の旅行業務 | 一般社団法人 日本旅行業協会(JATA) |
| 国内旅行業務取扱管理者 | 国内旅行業務のみ | 一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA) |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 | 一定区域内のみ | 観光庁 |
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国内と総合はいずれも観光庁長官の試験事務代行機関が実施しています。
同じ資格名でも、申し込む先も試験日も別です。
そもそもこの資格が必要な理由も法律で決まっています。
日本旅行業協会は次のように説明しています。
「旅行業者等は登録の業務範囲により、営業所ごとに地域限定、国内または総合旅行業務取扱管理者試験に合格した者を一人(従業員が概ね十名以上の営業所では二名以上)選任し、旅行契約等に関する事務の管理・監督に関する業務を行わせることが義務付けられています」
営業所ごとに必要で、従業員が概ね10名以上なら2名以上です。
いわゆる必置資格にあたります。
斉藤さやか「どの区分を取るか」は、突き詰めると「どの範囲の営業所で選任されたいか」です。海外旅行を扱う会社なら総合が要りますし、国内専門なら国内で足ります。自分の希望する職場がどちらを扱うかで決まります。
国内に合格すると総合で2科目が免除される

区分選びで最も効いてくる制度です。
全国旅行業協会は次のように書いています。
「国内旅行業務取扱管理者試験に合格した場合は、次年度以降の総合旅行業務取扱管理者試験の『旅行業法及びこれに基づく命令』及び『国内旅行実務』の2科目が免除となります」
総合の試験科目は4つです。
| 科目 | 満点 |
|---|---|
| ①旅行業法令 | 100点 |
| ②約款 | 100点 |
| ③国内旅行実務 | 100点 |
| ④海外旅行実務 | 200点 |
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国内に合格していれば①と③が免除され、残るのは②約款と④海外旅行実務です。
これが総合の受験区分Eにあたります。
| 該当する条件 | 受験区分 | 受ける科目 |
|---|---|---|
| 国内旅行業務取扱管理者 有資格者 | E | ②約款 ④海外旅行実務 |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 有資格者 | G | ②約款 ③国内旅行実務 ④海外旅行実務 |
| いずれにも該当しない | A | ①業法 ②約款 ③国内旅行実務 ④海外旅行実務 |
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地域限定に合格している場合は、総合で①業法だけが免除されます。
同じ年度に両方を受けることはできるが免除は使えない
注意点があります。
「同じ年度に国内・総合の両方の旅行業務管理者試験を受験することは可能です。但し、同じ年度に国内の管理者を合格し、総合を一部免除で受験することは、受験受付締切日の関係上できません」
国内の合格発表は10月16日、総合の申請締切は8月7日です(いずれも令和8年度)。
総合の申込時点では国内の結果が出ていません。
免除を使いたいなら、国内に合格した翌年度以降に総合を受けることになります。
国内と総合で研修と科目合格の相互免除はない
もう1つ混同しやすい点です。
「『国内旅行業務取扱管理者研修(ANTA主催)』と『総合旅行業務取扱管理者研修(JATA主催)』の間で修了者の相互免除はありません」
日本旅行業協会も同じ趣旨を書いています。
「『総合旅行業務取扱管理者試験』と『国内旅行業務取扱管理者試験』との相互免除はありませんので、国内旅行業務取扱管理者試験の『国内旅行実務』に科目合格をしても、翌年度の総合旅行業務取扱管理者試験において『国内旅行実務』の受験は免除されません」
免除されるのは「合格した場合」だけです。
科目合格や研修修了は、その試験の中でしか通用しません。
国内と総合では試験の作りが大きく違う

区分を決める前に、試験そのものの違いを押さえます。
| 項目 | 国内(ANTA) | 総合(JATA) |
|---|---|---|
| 試験方式 | CBT方式 | 筆記・マークシート方式 |
| 令和8年度の試験日 | 9月3日〜25日から選択 | 10月25日(日)の1日のみ |
| 試験会場 | 全国47都道府県のテストセンター | 8試験地 |
| 令和8年度の申込 | 6月18日〜7月15日 | 7月16日〜8月7日 |
| 受験手数料 | 8,000円+システム利用料660円 | 13,000円+システム利用料660円 |
| 試験科目 | 3科目 | 4科目 |
| 合格発表 | 10月16日 | 12月10日 |
| 合格証書 | 簡易書留で郵送 | マイページからダウンロード |
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実際に払う金額は国内が8,660円、総合が13,660円で、差は5,000円です。
国内は令和6年度の試験から筆記を廃止し、すべてCBT方式になりました。
試験期間から日時を選べるうえ、会場が全国47都道府県にあります。
総合は年1回の1日だけで、試験地は8つです。
しかも東京都は複数会場がありますが、受験者が会場を選ぶことはできません。
住んでいる場所によっては、総合は遠方受験になります。
試験科目の中身
国内は3科目です。
| 国内の試験科目 |
|---|
| ①旅行業法及びこれに基づく命令 |
| ②旅行業約款、運送約款及び宿泊約款 |
| ③国内旅行実務 |
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総合はこれに海外旅行実務が加わります。
海外旅行実務の中身は幅広く定められています。
| 海外旅行実務の範囲 |
|---|
| 本邦外の運送機関の利用料金、その他の本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金 |
| 旅券の申請手続、通関手続、検疫手続、為替管理その他の本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な法令 |
| 本邦及び主要国における出入国に必要な手続に関する実務 |
| 主要国の観光 |
| 本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な語学 |
| その他本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関する実務 |
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語学が含まれます。
配点も200点と、他の科目の2倍です。
総合が難しくなる理由はここにあります。
全科目で受けると国内34.1%・総合11.7%
区分ごとの実際の通過率です。
免除を使わずに全科目を受けた場合を比べます。
| 区分 | 令和7年度の全科目合格率 |
|---|---|
| 国内(全科目) | 34.1% |
| 総合(受験区分A) | 11.7% |
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およそ2.9倍の差があります。
免除を含めた全体の合格率でも差が出ます。
| 区分 | 令和7年度の合計合格率 |
|---|---|
| 国内 | 35.6%(受験10,329人・合格3,675人) |
| 総合 | 26.1%(受験4,519人・合格1,179人) |
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受験者数も国内が2倍以上います。
総合の合格率26.1%が全科目の11.7%より高いのは、免除を使う受験者が多いためです。
免除区分で受けた人の合格率は大きく変わります。
| 総合の受験区分 | 受ける科目 | 令和7年度の合格率 |
|---|---|---|
| A | 業法・約款・国内実務・海外実務 | 11.7% |
| D | 業法・約款 | 58.0% |
| F | 約款のみ | 96.5% |
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約款だけを受ける区分Fは96.5%です。
免除をどこまで積めるかが、総合では結果を左右します。
斉藤さやか総合を一発で狙うより、国内に受かってから翌年度に総合へ進むほうが、1回あたりの負荷は軽くなります。時間はかかりますが、区分Eなら約款と海外旅行実務の2科目です。国内の学習内容もそのまま活きます。
地域限定を先に取るという道もある
3つめの区分にも免除の効果があります。
地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者には、次の免除があります。
| 免除が効く試験 | 免除される科目 |
|---|---|
| 国内旅行業務取扱管理者試験 | ①旅行業法及びこれに基づく命令 |
| 総合旅行業務取扱管理者試験 | ①旅行業法令 |
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地域限定に合格していると、国内では受験区分Bになります。
| 国内の受験区分 | 試験科目 | 免除科目 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 全科目 | ①法令 ②約款 ③国内実務 | なし | 120分 |
| 免除A | ①法令 ②約款 | ③国内実務 | 80分 |
| 免除B | ②約款 ③国内実務 | ①法令 | 80分 |
| 免除C | ②約款 | ①法令 ③国内実務 | 40分 |
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免除Bの令和7年度の合格率は60.9%でした。
全科目の34.1%と比べると大きな差です。
ただし地域限定は取り扱える範囲が一定区域内に限られます。
資格として使う範囲と、免除の踏み台としての価値は分けて考える必要があります。
どの区分から受けるかが決まれば、対策に使う教材も決まります。
旅行業務取扱管理者の通信講座を比較で、料金とサポート内容を確認できます。
区分ごとの資格は旧名称でも有効
古い資格を持っている場合の扱いです。
「旅行業法の一部改正(平成17年4月1日施行)により、旅行業務取扱主任者は旅行業務取扱管理者に資格名称が変更されました。過去に旧資格名称で合格している場合であっても、手続や改めて受験しなおす必要はありません」
名称が変わっただけで、資格そのものは有効です。
一方で、選任された後には継続的な義務があります。
全国旅行業協会は「旅行業務取扱管理者定期研修」について、「旅行業者等により選任された旅行業務取扱管理者について、その職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るために、5年ごとに受講しなければならない研修」と説明しています。
合格して終わりではなく、選任された後は5年ごとの研修があります。
区分の選び方に関するよくある質問
国内と総合はどちらから受けるべきですか?
国内からが一般的です。
国内に合格すると総合の「旅行業法令」と「国内旅行実務」の2科目が免除されます。
いきなり総合から受けられますか?
受けられます。
受験資格に制限はなく、年齢・国籍等に関係なく受験できます。
国内と総合を同じ年度に受けられますか?
受けられます。
ただし同じ年度に国内に合格して総合を一部免除で受けることは、受験受付締切日の関係上できません。
国内の科目合格は総合で使えますか?
使えません。
国内と総合の間に科目合格や研修修了の相互免除はありません。
地域限定を取るメリットはありますか?
国内では「法令」、総合では「業法」が免除されます。
ただし取り扱える範囲は一定区域内に限られます。
どちらが難しいですか?
全科目で比べると国内34.1%、総合11.7%で、総合のほうが難しくなります。
受験料はどのくらい違いますか?
国内が8,000円+660円、総合が13,000円+660円で、差は5,000円です。
資格に更新は必要ですか?
資格自体の更新はありませんが、選任された旅行業務取扱管理者は5年ごとに定期研修を受講する必要があります。
まとめ|国内から総合へ進むと2科目が免除される
- 区分は総合・国内・地域限定の3つで、実施団体がそれぞれ違う
- 営業所ごとに選任が必要で、従業員が概ね10名以上なら2名以上
- 国内に合格すると総合で「旅行業法令」と「国内旅行実務」の2科目が免除(受験区分E)
- 地域限定に合格すると国内で「法令」、総合で「業法」が免除
- 同じ年度に両方受けられるが、同年度の合格を免除に使うことはできない
- 国内と総合の間に科目合格・研修修了の相互免除はない
- 国内はCBTで全国47都道府県、総合は年1回の8試験地
- 受験手数料は国内8,660円、総合13,660円で差は5,000円
- 全科目の合格率は国内34.1%、総合11.7%でおよそ2.9倍の差
- 総合は免除を積むほど有利で、約款のみの区分Fは96.5%
- 選任後は5年ごとの定期研修がある
試験日と申込は旅行業務取扱管理者の試験日にまとめています。
合格率の推移は旅行業務取扱管理者の難易度で確認できます。
独学で進める場合は旅行業務取扱管理者を独学で合格する方法も参考にしてください。
講座で対策する場合は旅行業務取扱管理者の通信講座おすすめ7選で比較してください。


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