旅行業務取扱管理者の難易度は、区分によって3倍近く違います。
令和7年度、免除なしで全科目を受けた場合の合格率は国内34.1%、総合11.7%でした。
さらに同じ区分でも、免除をどこまで使えるかで結果が大きく変わります。
総合では約款だけを受ける区分の合格率が96.5%です。
この記事では両協会が公表した実施結果で、難易度の実態を確認します。
編集部のアドバイス

合格率を調べるときは「どの区分の、どの免除で受けた人の数字か」まで見てください。総合の合格率は26.1%と出ていますが、これは免除を使う人を含んだ数字です。免除なしで受ける人の実感は11.7%のほうに近くなります。
免除なしで受けると国内34.1%・総合11.7%

まず比較できる形に揃えます。
令和7年度、全科目を受けた場合の合格率です。
| 区分 | 受ける科目 | 合格率 |
|---|---|---|
| 国内(全科目) | 法令・約款・国内旅行実務 | 34.1% |
| 総合(受験区分A) | 業法・約款・国内旅行実務・海外旅行実務 | 11.7% |
← 横にスクロールできます →
およそ2.9倍の差です。
差が出る理由は科目数と配点にあります。
| 区分 | 科目数 | 配点 |
|---|---|---|
| 国内 | 3科目 | 非公表(合格基準は事後公表) |
| 総合 | 4科目 | 業法100点+約款100点+国内旅行実務100点+海外旅行実務200点=500点 |
← 横にスクロールできます →
総合には海外旅行実務が加わります。
しかもこの科目だけ200点で、他の2倍の配点です。
海外旅行実務には語学や出入国手続、主要国の観光まで含まれます。
総合の合格点は「各受験科目で満点の60%以上」と明示されています。
1科目でも6割に届かなければ合格になりません。
斉藤さやか「総合は難しい」とよく言われますが、正確には「海外旅行実務が重い」です。配点200点でしかも6割の足切りがあります。ここを落とすと他が満点でも通りません。
総合は免除の数で合格率が96.5%まで変わる

総合には8つの受験区分があります。
令和7年度の区分別の結果です。
| 受験区分 | 受験科目 | 出願者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 業法・約款・国内実務・海外実務 | 2,647人 | 1,948人 | 227人 | 11.7% |
| B | 業法・約款・国内実務 | 107人 | 101人 | 49人 | 48.5% |
| C | 業法・約款・海外実務 | 493人 | 443人 | 26人 | 5.9% |
| D | 業法・約款 | 516人 | 507人 | 294人 | 58.0% |
| E | 約款・海外実務 | 1,520人 | 1,313人 | 389人 | 29.6% |
| F | 約款 | 202人 | 201人 | 194人 | 96.5% |
| G | 約款・国内実務・海外実務 | 8人 | 6人 | 0人 | 0.0% |
| 合計 | — | 5,493人 | 4,519人 | 1,179人 | 26.1% |
← 横にスクロールできます →
約款だけを受ける区分Fは96.5%です。
業法と約款だけの区分Dも58.0%あります。
一方、海外旅行実務が残る区分は軒並み低くなります。
| 海外旅行実務を受ける区分 | 合格率 |
|---|---|
| A(4科目) | 11.7% |
| C(業法・約款・海外実務) | 5.9% |
| E(約款・海外実務) | 29.6% |
← 横にスクロールできます →
区分Cは5.9%で、全区分の中で最も低い数字です。
合計の26.1%という数字は、これらを混ぜた値になります。
免除が効く区分に多くの受験者が集まっているため、全体が押し上げられています。
国内も免除の有無で合格率が倍近く違う
国内にも4つの受験区分があります。
令和7年度の結果です。
| 受験区分 | 試験科目 | 申込者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全科目 | 法令・約款・国内実務 | 11,781人 | 9,759人 | 3,330人 | 34.1% |
| 免除A | 法令・約款 | 539人 | 518人 | 312人 | 60.2% |
| 免除B | 約款・国内実務 | 50人 | 46人 | 28人 | 60.9% |
| 免除C | 約款 | 6人 | 6人 | 5人 | 83.3% |
| 計 | — | 12,376人 | 10,329人 | 3,675人 | 35.6% |
← 横にスクロールできます →
全科目34.1%に対し、免除Aと免除Bは60%台です。
ただし国内は全科目で受ける人が11,781人と、全体の95.2%を占めます。
総合とは対照的に、合計35.6%と全科目34.1%の差は1.5ポイントしかありません。
国内の合格率を見るときは、合計の数字でもほぼ実態に近いということです。
国内の合格率は4年で33%から36%台
推移も確認します。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | うち全科目 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 10,329人 | 3,675人 | 35.6% | 34.1% |
| 令和6年度 | 10,943人 | 3,660人 | 33.4% | 31.4% |
| 令和5年度 | 8,960人 | 3,270人 | 36.5% | 35.7% |
| 令和4年度 | 8,945人 | 3,125人 | 34.9% | 32.9% |
← 横にスクロールできます →
33.4%から36.5%の範囲で、振れ幅は3.1ポイントです。
比較的安定しています。
総合はもう少し動きます。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | うち区分A |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 4,519人 | 1,179人 | 26.1% | 11.7% |
| 令和6年度 | 4,680人 | 1,320人 | 28.2% | 13.2% |
| 令和5年度 | 4,699人 | 1,050人 | 22.3% | 7.9% |
| 令和4年度 | 5,266人 | 1,662人 | 31.6% | 13.5% |
← 横にスクロールできます →
合計は22.3%から31.6%で振れ幅9.3ポイントです。
区分Aだけ見ると7.9%から13.5%で、振れ幅5.6ポイントになります。
令和5年度の区分A 7.9%が直近4年で最も低い数字でした。
受験者の6割は旅行業以外の人

誰が受けているかも公表されています。
令和7年度の国内試験の職業別内訳です。
| 職業 | 申込者 | 割合 | 合格者 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 旅行業 | 1,821人 | 14.7% | 499人 | 13.5% |
| 運送業 | 626人 | 5.1% | 182人 | 5.0% |
| 宿泊業 | 540人 | 4.4% | 129人 | 3.5% |
| 観光業 | 626人 | 5.1% | 180人 | 4.9% |
| 会社員 | 3,894人 | 31.4% | 1,351人 | 36.8% |
| 学生 | 3,715人 | 30.0% | 870人 | 23.7% |
| 無職、その他 | 1,154人 | 9.3% | 464人 | 12.6% |
← 横にスクロールできます →
注:会社員は旅行業・運送業・宿泊業・観光業以外の者(公務員、派遣社員を含む)。
旅行業の人は申込者の14.7%しかいません。
会社員31.4%と学生30.0%を合わせると61.4%です。
業界の人が取る資格というより、これから業界に入る人や関心のある人が受けている構図になります。
合格者で見ると会社員が36.8%へ上がり、学生は23.7%へ下がります。
社会人のほうが通過率が高いということです。
年齢は20代前半と30代が中心
年齢別の内訳です。
| 年齢 | 申込者 | 割合 | 合格者 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 19歳以下 | 1,915人 | 15.5% | 386人 | 10.5% |
| 20〜24歳 | 2,214人 | 17.9% | 594人 | 16.2% |
| 25〜29歳 | 1,385人 | 11.2% | 404人 | 11.0% |
| 30〜39歳 | 2,318人 | 18.7% | 712人 | 19.4% |
| 40〜49歳 | 2,094人 | 16.9% | 643人 | 17.5% |
| 50〜59歳 | 1,716人 | 13.9% | 601人 | 16.3% |
| 60〜69歳 | 657人 | 5.3% | 302人 | 8.2% |
| 70歳以上 | 77人 | 0.6% | 33人 | 0.9% |
← 横にスクロールできます →
最も多いのは30〜39歳の18.7%です。
19歳以下も15.5%いますが、合格者では10.5%に下がります。
逆に50歳以上は申込19.8%に対し合格者では25.4%を占めます。
年齢が上の層のほうが通過率が高い傾向が読めます。
斉藤さやか40代以上の合格者が4割を超えています。学生時代に取り損ねた人が社会人になってから受ける、という流れがはっきり出ています。年齢で諦める必要はありません。
国内は合格基準が事前に公表されない
難易度を測るうえで押さえておきたい点です。
国内はCBT方式のため、仕組みが特殊です。
「CBT試験の特性上、受験者ごとに問題が異なるため、試験問題出題・解答(例)及び配点を試験期間終了後一定期間内に当協会ホームページにて公表します」
全員が同じ問題を解くわけではありません。
合格基準も事前には出ません。
「合格基準については、合格者一覧を掲載する際に当協会ホームページにて公表します」
一方、総合は「各受験科目で満点の60%以上」と明示されています。
目標を立てやすいのは総合のほうです。
なお協会は市販の解答速報について注意を促しています。
「各種教育機関・資格講座業者等がインターネット上に掲載する解答速報、市販参考書等の解答解説、スマートフォン等のアプリケーションなどは、当協会とは一切関係ありません」
教材や講座を選ぶときは、実施団体と関係のない事業者からの勧誘に注意してください。
旅行業務取扱管理者の講座の選び方で、料金とサポート内容を確認できます。
資格商法への注意が公式に出ている
難易度とは別に、公式が警告している話があります。
「資格商法が横行しており、被害に巻き込まれたと思われる事例が当協会にも多数報告されております」
協会が挙げる手口はこうです。
旅行管理者を取得すれば在宅や名義貸しの仕事を斡旋すると勧誘し、合格祝金付や不合格時返金と謳って、教材費・受講費・登録料などを名目に高額費用を請求するというものです。
協会は次のように明言しています。
「本資格は法的に名義貸しすることは不可能であり、また、旅行業者が在宅向けの旅行業務の全てまたは一部を斡旋外注するケースは実際にまずあり得ないと思われます」
仮に在宅で旅行業務を扱う場合も、行政庁への申請と審査を経て、観光庁長官または各都道府県知事の旅行業登録が必要です。
また「勧誘の際に当協会(全国旅行業協会)または酷似する団体名を使用したり、名乗る場合もあるようですが、当協会では一切関知しておりません」とも書かれています。
合格率や難易度を調べている段階で目に入る情報には、こうしたものも混ざります。
旅行業務取扱管理者の難易度に関するよくある質問
合格率は何%ですか?
令和7年度は国内35.6%、総合26.1%でした。
免除なしの全科目で見ると国内34.1%、総合11.7%です。
国内と総合はどのくらい難易度が違いますか?
全科目で比べると国内34.1%に対し総合11.7%で、およそ2.9倍の差があります。
総合が難しいのはなぜですか?
海外旅行実務が加わるためです。
配点200点で他の科目の2倍あり、語学や出入国手続、主要国の観光まで含まれます。
免除があると合格率は上がりますか?
上がります。
総合で約款だけを受ける区分Fは96.5%、国内の免除Cは83.3%でした。
何点取れば合格できますか?
総合は各受験科目で満点の60%以上です。
国内はCBT方式のため、合格基準は合格者一覧の掲載時に公表されます。
合格率は年によって変わりますか?
国内は直近4年で33.4〜36.5%と振れ幅3.1ポイントです。
総合の合計は22.3〜31.6%で振れ幅9.3ポイントあります。
旅行業界の人が多いのですか?
多くありません。
令和7年度の国内試験では旅行業の人は申込者の14.7%で、会社員31.4%と学生30.0%が中心です。
何歳くらいの人が受けていますか?
最も多いのは30〜39歳の18.7%です。
50歳以上も申込の19.8%を占め、合格者では25.4%になります。
まとめ|難易度は区分と免除の組み合わせで決まる
- 免除なしの全科目合格率は国内34.1%、総合11.7%でおよそ2.9倍の差
- 総合は4科目で合計500点、うち海外旅行実務だけ200点
- 総合の合格点は各受験科目で満点の60%以上
- 総合は約款のみの区分Fが96.5%、海外実務が残る区分Cは5.9%
- 総合の合計26.1%は免除利用者を含む数字
- 国内は全科目受験者が95.2%を占めるため、合計35.6%が実態に近い
- 国内の合格率は直近4年で33.4〜36.5%(振れ幅3.1ポイント)
- 総合の合計は22.3〜31.6%(振れ幅9.3ポイント)
- 国内試験の申込者は旅行業14.7%にとどまり、会社員と学生で61.4%
- 30〜39歳が最多で、50歳以上は合格者の25.4%
- 国内はCBTのため受験者ごとに問題が異なり、合格基準は事後公表
- 公式が資格商法への注意を出しており、本資格の名義貸しは法的に不可能
区分の選び方は旅行業務取扱管理者の区分の違いで解説しています。
試験日と申込は旅行業務取扱管理者の試験日にまとめています。
独学で進める場合は旅行業務取扱管理者を独学で合格する方法も参考にしてください。
講座で対策する場合は旅行業務取扱管理者の通信講座おすすめ7選で比較してください。


コメント