「ケアマネの資格が廃止される」という話を見かけた方へ、先に結論をお伝えします。
廃止が決まったのは資格そのものではなく、5年ごとの「更新制」です。
2026年6月に成立した法律で、介護支援専門員証の有効期間と、更新のために受けていた研修が廃止されることになりました。
ただし研修そのものが無くなるわけではありません。
更新の条件としての研修は廃止される一方で、研修を受ける義務が新しく設けられ、受けない場合には業務禁止の規定まで用意されています。
この記事では、どの法律で何が廃止され、何が残るのかを条文の単位で確認します。
資格そのものが無くなるわけではないため、これから取得を目指す場合の計画は変わりません。働きながら進められる講座の費用と学習期間を先に見ておく方法もあります。
編集部のアドバイス

「廃止」という言葉だけが広がっていますが、中身は更新制の廃止と研修義務の新設がセットです。自分の専門員証の有効期間は、施行日が決まるまでは従来どおり管理してください。
ケアマネの資格は廃止されるのか
まず、何が廃止されて何が残るのかを整理します。
廃止されるのは資格ではなく更新制
厚生労働省が公表した改正の概要には、「介護支援専門員(ケアマネジャー)に係る研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止するなど、法定研修に係る見直しを行う」と書かれています。
対象は「更新の仕組み」です。
介護支援専門員という資格そのものを無くすという記載はありません。
試験も登録も続く
資格を取るための介護支援専門員実務研修受講試験、合格後の実務研修、そして都道府県への登録という流れは、今回の改正で廃止されていません。
これから資格を目指す人にとっての手順は変わらない見込みです。
試験の制度はケアマネになるにはで扱っています。
「資格は廃止」という表現が広がった理由
改正の趣旨には「介護支援専門員の資格に係る更新制の廃止」という表現が使われています。
「資格に係る更新制」の廃止であって「資格」の廃止ではありませんが、前半だけが切り取られると意味が変わります。
検索で見かける「ケアマネの資格は廃止」は、この省略形が広がったものと考えられます。
斉藤さやか制度の名前が長いほど、略されたときに意味が反転します。「資格に係る更新制の廃止」は、略すと「資格の廃止」になってしまいます。
ケアマネの更新制廃止を決めた2026年の法改正
根拠になっている法律を具体的に確認します。
社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)
更新制の廃止を定めたのは、2026年に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律です。
参議院の議案情報では、次の日程で手続きが進んでいます。
| 手続き | 日付 |
|---|---|
| 議案提出 | 令和8年4月3日 |
| 衆議院可決 | 令和8年5月26日 |
| 参議院可決・成立 | 令和8年6月19日 |
| 公布 | 令和8年6月25日 |
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※法律番号は令和8年法律第51号です。
ケアマネの更新制廃止は、この法律に含まれる改正項目のひとつという位置づけです。
廃止されるのは専門員証の有効期間と更新のための研修
厚生労働省の法律案要綱では、改正内容が条文単位で示されています。
介護支援専門員に関する部分の先頭は、「介護支援専門員証の有効期間を廃止するとともに、その交付又は有効期間の更新を受けるために受講することとされている研修を廃止する」という内容です。
廃止されるものは2つあります。
| 廃止されるもの | 根拠条文(改正前) |
|---|---|
| 介護支援専門員証の有効期間 | 第69条の7第2項・第3項 |
| 交付・更新のために受講する研修 | 第69条の8 |
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※条文番号は厚生労働省の法律案要綱の記載によります。
有効期間が無くなるため、5年ごとに更新手続きを取るという仕組み自体が無くなります。
施行日は政令待ちで確定していない
ここが実務上いちばん重要な点です。
この法律の施行期日は原則として令和9年4月1日ですが、ケアマネの更新制廃止を含む部分は例外として扱われています。
厚生労働省の資料には「公布後1年6月以内に政令で定める日」と記載されています。
公布日が令和8年6月25日なので、施行はそこから1年6か月を超えない範囲で政令によって指定されます。
2026年10月時点でその政令は確認できませんでした。
つまり「いつから更新が不要になるか」はまだ決まっていません。
施行日が来るまでは現行の更新制が続くため、有効期間が近い方は従来どおりの対応が必要です。
編集部のアドバイス

「2027年4月から」と書かれている情報を見かけたら、それは法律全体の原則施行日です。ケアマネの部分は別扱いなので、政令が出るまで断定はできません。
ケアマネの更新研修は廃止後も受講義務として残る
更新制が無くなっても、研修が無くなるわけではありません。
都道府県知事が行う研修を受ける義務が新設される
法律案要綱には、「厚生労働省令で定める者を除く介護支援専門員は、その資質の保持及び向上を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事が行う研修として厚生労働省令で定めるものを受けるものとする」と記載されています。
根拠は第69条の34第4項です。
これまでは「更新したいなら研修を受ける」という条件でしたが、改正後は「研修を受ける」こと自体が義務として規定されます。
受けないと受講命令が出る
正当な理由なく研修を受けていないと都道府県知事が認めた場合、その介護支援専門員に対して研修を受けるよう命じることができます。
根拠は第69条の38第5項です。
命令に従わないと1年以内の業務禁止
受講命令に従わない場合の規定も置かれています。
都道府県知事は、1年以内の期間を定めて介護支援専門員として業務を行うことを禁止できます。
根拠は第69条の38第6項です。
更新制のもとでは、研修を受けなければ専門員証が失効するという形でした。
改正後は、研修を受けないと行政処分の対象になるという形に変わります。
斉藤さやか「更新制が廃止されるから研修を受けなくてよくなる」という理解は、条文を見る限り成り立ちません。負担の形が変わるという話です。
研修の受講状況を管理する機関が置かれる
研修受講の管理に関する事務を行う「指定研修受講管理機関」という仕組みも新設されます。
都道府県知事はこの機関に受講管理の事務を行わせることができ、受講状況の確認のために必要な指示をすることもできます。
根拠は第69条の33の2第1項・第2項です。
ケアマネを雇う事業者にも研修の義務ができる
今回の改正は、働く個人だけでなく事業者にも義務を課しています。
従事・離職の報告義務
都道府県または市町村の条例により介護支援専門員を置くこととされている事業者や施設の開設者は、介護支援専門員を業務に従事させたとき、またはその業務に従事しなくなったときに、氏名などを都道府県知事に報告しなければなりません。
根拠は第69条の40第1項です。
研修を受ける機会を確保する措置
事業者は、雇用している介護支援専門員の資質の保持・向上のため、研修の受講機会を確保するための措置を取らなければならないとされています。
根拠は第69条の40第2項です。
研修の時間を確保する責任が、個人から事業所側にも広がる形になります。
勧告から公表・命令・公示まで段階がある
報告をしない、または受講機会を確保する措置を取っていないと認められた場合の手順も定められています。
| 段階 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 1 | 期限を定めて勧告 | 第69条の40第3項 |
| 2 | 従わない場合はその旨を公表 | 第69条の40第4項 |
| 3 | 指定事業者等には措置を命令 | 第69条の40第5項 |
| 4 | 命令をした旨を公示 | 第69条の40第6項 |
| 5 | 違反を指定権者へ通知 | 第69条の40第7項 |
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※条文番号は厚生労働省の法律案要綱の記載によります。
事業所名が公表される段階まで用意されている点は、押さえておく価値があります。
ケアマネの更新制廃止で費用と時間はどう変わるか
現行の負担がどの程度かを確認すると、見直しの狙いが分かります。
現行の更新研修は最大88時間
東京都福祉保健財団が実施している更新研修は3種類です。
| 研修 | 時間 |
|---|---|
| 更新研修(実務経験者) | 88時間 |
| 更新研修(実務経験者) | 32時間 |
| 更新研修(実務未経験者) | 54時間 |
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88時間の研修は、専門研修Ⅰ(56時間)に相当する研修と専門研修Ⅱ(32時間)に相当する研修で構成されています。
1日8時間に換算すると11日分です。
更新後の研修負担は見直しの対象ですが、取得前の試験対策は別の話です。出題範囲を体系的に追える教材を使う方法もあります。
研修の種類はケアマネの更新研修で詳しく扱っています。
受講料は都道府県によって違う
受講料は実施機関ごとに設定されるため、地域差があります。
高知県社会福祉協議会が公表している令和8年度の開催要項では、更新研修【研修課程Ⅰ】の受講料は29,000円です。
※テキスト代は別途必要とされています。
東京都は募集期間外のため、受講料の掲載を確認できませんでした。
実際の金額は、受講する都道府県の実施機関の募集要項で確認してください。
教育訓練給付の対象になる場合がある
東京都福祉保健財団の更新研修は、厚生労働大臣指定教育訓練講座(特定一般教育訓練)として指定番号が公表されています。
特定一般教育訓練給付金では、教育訓練経費の40パーセント(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。
さらに資格取得などをし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、50パーセント(上限25万円)に相当する額との差額が支給されます。
※給付を受けるには受給資格の確認など事前の手続きが必要で、受講料を本人以外が負担する場合は対象外とされています。
対象になるかは個別の確認が必要です。
国会は負担軽減を求める附帯決議をつけている
衆議院厚生労働委員会(令和8年5月22日)と参議院厚生労働委員会(令和8年6月18日)は、この法律案に附帯決議をつけています。
ケアマネに関する項目では、「更新制廃止後も引き続き受講が求められる法定研修が、実質的な負担構造の継続とならないよう」として、国レベルで一元的な教材を作成すること、研修内容の精査・短時間化・オンライン活用の推進を図ることが求められています。
附帯決議は法的な拘束力を持つものではありませんが、国会が「廃止しても負担は残りうる」と認識していることが読み取れます。
斉藤さやか研修の中身をどう軽くするかは、これから省令や通知で決まります。時間数が実際に減るかどうかは、現時点では分かりません。
ケアマネの資格廃止に関するよくある質問
検索で多く見かける疑問を、改正法の記載にもとづいて整理します。
ケアマネの資格は本当に廃止されるのですか?
介護支援専門員という資格そのものを廃止するという内容は、改正法の概要にも要綱にも含まれていません。
廃止されるのは介護支援専門員証の有効期間と、更新のために受ける研修です。
更新制の廃止はいつからですか?
ケアマネの更新制廃止に関する部分の施行日は、公布後1年6月以内に政令で定める日とされています。
公布日は令和8年6月25日です。
2026年10月時点では政令を確認できなかったため、具体的な日付は未定です。
更新制が廃止されたら研修は受けなくてよくなりますか?
改正後も、厚生労働省令で定める者を除く介護支援専門員は都道府県知事が行う研修を受ける義務があります。
正当な理由なく受けない場合は受講命令の対象になり、命令に従わない場合は1年以内の業務禁止の対象になります。
今持っている専門員証の有効期間はどうなりますか?
施行日が来るまでは現行の制度が続きます。
有効期間が近い方は、従来どおり更新研修の募集時期を確認する必要があります。
施行後の取り扱いは省令や通知で示される見込みです。
更新研修の時間は短くなりますか?
国会の附帯決議では研修内容の精査や短時間化が求められています。
ただし具体的な時間数は改正法では定められておらず、今後の省令や通知によります。
現時点で何時間になるかは分かりません。
主任ケアマネの更新研修も廃止されますか?
改正法の要綱で廃止が明記されているのは、介護支援専門員証の交付・更新のために受講する研修です。
主任介護支援専門員の研修の取り扱いについては、公表されている要綱の範囲では確認できませんでした。
実施機関への確認が必要です。
事業所は何をすればよいですか?
介護支援専門員を業務に従事させたとき、従事しなくなったときの報告義務と、研修の受講機会を確保する措置が定められます。
措置を取っていないと認められた場合は、勧告から公表・命令・公示へ進む規定があります。
施行日までに具体的な運用が省令で示される見込みです。
まとめ:ケアマネの資格は廃止されず、更新制が廃止される
ここまでの内容を整理します。
- 廃止されるのは介護支援専門員証の有効期間と、更新のために受ける研修
- 介護支援専門員という資格、試験、登録の仕組みは廃止されない
- 根拠は社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号、公布は令和8年6月25日)
- ケアマネ部分の施行日は公布後1年6月以内に政令で定める日とされ、2026年10月時点では未定
- 更新制の代わりに、都道府県知事が行う研修を受ける義務が新設される
- 正当な理由なく受けない場合は受講命令、従わない場合は1年以内の業務禁止の対象になる
- 事業者にも報告義務と受講機会を確保する措置が課され、勧告・公表・命令の規定がある
- 現行の更新研修は東京都で最大88時間、高知県の研修課程Ⅰの受講料は29,000円
- 国会は附帯決議で研修の短時間化やオンライン活用による負担軽減を求めている
「廃止」という言葉だけを見ると資格が無くなるように読めますが、実際には更新制が研修受講義務に置き換わる改正です。
施行日が政令で決まるまでは、現行の更新制が続きます。
試験の仕組みはケアマネ試験の難易度、受験の条件はケアマネの受験資格で扱っています。
出典一覧
- 厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要」(2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱」(2026年10月9日確認)
- 厚生労働省老健局「社会福祉法等の一部を改正する法律について(報告)」社会保障審議会介護保険部会(第135回)資料1(2026年10月9日確認)
- 参議院「社会福祉法等の一部を改正する法律案」議案情報(2026年10月9日確認)
- 東京都福祉保健財団「更新研修(実務経験者)88時間」(2026年10月9日確認)
- 東京都福祉保健財団「特定一般教育訓練給付金制度」(2026年10月9日確認)
- 高知県社会福祉協議会「令和8年度高知県介護支援専門員更新(専門)研修【研修課程Ⅰ】開催要項」(2026年10月9日確認)
- 厚生労働省「教育訓練給付金制度(特定一般教育訓練)関係手引」(2026年10月9日確認)


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